第六十八話 液体クリスタル えっちとI2C
第六十八話
液体クリスタル えっちとI2C
タバコ休憩が終わり、教室に戻っても結局、なんにも出来ず仕舞いだった。
ただ、面接の練習は今日は無しになって、月曜日に最後の面接の練習をする事になった。火曜日は学校休んで、会社の試験を受けに行く事が決定したのだ。
そう言えば今日は金曜日だった。
丸男から電話が掛かって来て、今、十三に居ると言う。
「おい、ちょいと寄ってけよ?!」
「おう、いいよ」と返事して、早苗ちゃんに電話を入れた。
「しょうがないわねぇ〜 でも週末だから、たまには丸男さんと呑んどいで」と、あっさりと許してくれた。
ディープな東口の有名な上級者の立ち飲み屋に寄った。
と言っても、もう、中は綺麗になって、入り口でしかタバコが吸えなくなっていた。
「へーなんか、綺麗なってんなぁ〜」
と、中に入って行くと、カラムーチョをアテに、丸男が濁り酒を飲んでいた。
ハイボールと、砂ずりを煮たやつを頼んで、
「おい、何時から呑んでんねん」
と言うと、
「今来たばっかりや」
と言う。
「面接の練習どないやねん?!」
「いやぁ〜」
「落ちて来たらええやん、数や数」
「お前、夏子ちゃんみたいな事を言うなぁ〜」
「夏子ちゃんで誰や、また新しい女か?!」
「ちゃうちゃう、前からの友達や、今梅田のラウンジで働いている、連れてけよ」
「お前、金はらえよ」
「払えねえよ」
と、言いながらも、丸男はいつも全額払ってくれるのだ。
この店は基本年寄りの男だらけだが、中年のカップルも多い。皆んな友好的だが、心地よい距離感もある。ぷらっとひとりで入って来ても心地よい。
「昨日、飛魚の大将が、今度はまぢで店閉めるとか言うとったぞ」
「へーそうなんや、行くとこ無くなるやん」
丸男は、土日はいつも、開店前の十時半から呑んでいる」
「寂しくなるなぁ〜」
「そうやなぁ〜」
「で、大将はどうすんの?!」
「西宮の豪邸で隠居するらしい」
「土日だけやってくれへんかなぁ〜」
「どうやろな、なんぼ金持ちでも、土日だけぢゃあ、家賃も払えないだろ?!」
「まーなぁ〜 酒呑みの慈善事業ぢゃ無いからな」
「それより、本番の面接行けそうか?!」
「知らん、お前現場行ってる時は、シーケンサー持ってあちこち行ってたんだろ?!どんな感じやねん、ITの会社って?!」
「行かなわからん」
「そら、そうやけどな」
「それよりなぁ〜俺会社辞めるわ」
「は?!なんで」
「おもんないねん」
「笑笑 おい俺が就職相談してんのに、辞めるってか?!」
「次行こか?!」
と、丸男は会計を済ませて外に出た。
それから反対側の西口に向かって、歩いて行った。
(なんかまぢかなぁ〜丸男らしくねぇ〜なぁ〜)
と、思いながら、西口の座れる居酒屋に入った。
「おい、冗談やろ、辞めたら俺みたいに苦労するぞ」
「おかん、水割り、麦」
と、丸男は人の話を聞いてなかった。
「今日なぁ〜 転勤する気はあるか?!」言われたんや」
「何処に?!」
「東京?!
「出世か?!ええやん」
「嫌がらせや、今度来た上司と話が合わん、形式上は出世になるが、この歳で誰も家族もおらん東京なんか無茶やん、最期のチャンスやでぇ〜 と言いながら、嫌がらせや」
「でも、給料上がるんやろ?!」
「一応な。役職も二つ上がる、元々出世拒否やったからなぁ〜 年齢からすると、それくらい上がっていても不思議ではない」
今日は二人とも結構飲んでいる。
どちらかと言うといっちゃんの方がハイボールを呑んでいた。
いっちゃんは、気分治しに、ウヰスキーの水割りを頼んだ。
“おかん”と呼ばれていた年配の女の人が、持って来てくれた。
ちょうど残ったウヰスキーを全部入れたのか、少し上等の方のニッカを手に持っていたが、持って来てくれたウヰスキーの水割りには、下の方だけに水が溜まっていた。
一瞬、かき混ぜんの忘れたんかなぁ〜と思ったが、
「博多割やん」
いっちゃんは想い出して、笑顔になった。
続く〜




