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第六十四話 松竹梅

第六十四話 松竹梅

 次の日の放課後、また練習をやってくれた。今回先生直々の紹介だ。

 負ける訳には行かねえ〜 ひとり前の学生は相変わらずつまんない事を言っていた。扉の向こうから微かに聞こえてくるのだ。

 ホンマに最近のガキはつまらん、お前ら雄かよ?!と思う。スーツ着たって漢のフェロモンくらい出して、ガツンと主義主張しろよと思う。無難な事を言いながらの自意識過剰、気持ち悪いねん。ち◯ぽついてんのか?!と思う時がある。

 女の子は女の子で、「私がぁ〜 私はぁ〜 」ばかり言っている。

 (知らんがなお前なんか、誰もお前に興味ないって、皆んなおんなじ顔にしか見えんし、なんか面白い事言えよ)と思ったが、他人の事はどうでもいい。今は自分自身と早苗ちゃんとの暮らしのためには何とか勝ちを貰わなければならなかった。

扉が開いて、

「山谷さん、入って」と言われた。

入る所から本番だと言われている。

「失礼します」

「初めまして、面接官の田中です、この会社に入ってどういう生き方をしたいですか!!」

 (あれ?!なんか変化球を投げて来たな)

何回もシュミレーションをやっているので、ありきたりな事は聞かない事になっている。(ヒントをくれたか?!)

「そうですね、彼女との生活の為に生きます。会社の為だなんて思ってません、昨日彼女は、鮑とウニを晩御飯に出してくれました。借金あるのにです。自分が就職活動を頑張る為に、夜の倉庫のアルバイトも手伝ってくれています。必死なんです。会社の為だなんて想っていない。もうすぐ家族になる彼女の為です。しかし、その為にはしっかり働いて会社で利益を生み出さなければなりません。必死になったら何でも出来ます。アルバイトは100種類くらい行ってます。別にプログラムが組めそうでなければ営業行きます。ある程度の知識は学んだので売り込みも出来ます。家族のためなら何だってやります」

 と、偽面接官の先生三人にぶちまけた。

 先生達は黙っていたが、松竹梅の中堅の竹先生が、

「一応感動するけどなぁ〜 その話ではつまらん。そんな感じでは無く、技術的な事に絞ってみてはどうだ?!彼女とジェミニ使ってマルカリやってんだろ?! 今後のAIとか、なんか面白い事言ってや、正直な情熱は良かったよ、今更、気取った奴なんか中途採用をとる会社には要らねえしな、けれど、現実的には具体性だよ、その彼女とのAIを使った話を拡げてみてはどーだ?!例えばさぁ〜 阿保な事を平気で言う、アメリカの大学院の学生みたいなすっとんだ話と、山谷さんの現実の暮らしとの融合が、今後のITの向かうべき姿とか、超センスいい話とかが出来るんぢゃないの?!年取っても少年みたいな魅力的な人はいる。山谷さんは体力ありそうだから、言わなくても働くのはわかるさ、情熱はわかったけど、面白みが欲しいねんなぁ〜 面白くねえよ、また明日しよう。山谷さんの場合はチャンスが少ないんやから、これにかけて欲しい。なんか考えて来て、今のままぢゃ駄目よ」

 竹先生はきつかった。今回は竹先生の直々の推薦なのは皆んな知っている。事務局の女の職員さんからも頑張ってと言われている。

 タバコ友達は、

「いちゃんなら楽勝やろ?!」とか言ってるが、また帰りに缶のハイボールを買ってしまった。

 (思いもつかん、俺も歳とったかなぁ〜)

と思いながら、350ミリハイボールを半分飲んだ。

まぢで面白くなかった。

 

 続く〜

 

 

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