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第五十九話 幸運のイフェクト

第五十九話 幸運のイフェクト

次の日、倉庫の管理をしている社長に電話した。

「やばいの出て来ましたけど、どうしますか?! 売れないっしょ〜 マーチンなんか」

「ああ、気づいた?!ご主人のスタジオだろ?! ケンタウロス置いてたらギターもどっかにあるわな、ケンタウロスは売って良いよ、ご主人亡くなって、娘さんと奥さんにはゴミでしかない。ギターは皆んなで相談しよう。楽器屋に売ったって叩かれる、マルカリもすぐには売れないだろうしね」

「ですよねぇ〜 でもケンタウロスは良いんですか?!」

「たぶん、いちゃん、気づくと思っていたよ、ご褒美でいーんぢゃね?!」

 社長は緩かった。売り上げも全然請求しない。いっちゃんはお金持っていると使い込んでしまいそうだったので、ちょくちょく渡したかったが、社長は、

「テキトーにいつでも渡してくれたらいいよ、いっちゃん信じているから」と、びっくりする様な事を言うのだ。しかし、逆にその方が人間きっちりする様になるのだ。一度信頼を失ったらもうこの仕事は出来ない。ある意味おいしい仕事だが、怖い仕事でもあった。ケンタウロスは、マルカリより、ヤッホーの方が売れそうだった。オークションは荒れる。ちなみにおいくらで売れたか過去のデータを見てみると、八十万から百万円越えだった。その四割だと手数料、送料引いても四十万くらいにはなるのだった。残りの六割の取り分は、社長と倉庫の持ち主がどういう風に分けているのかは知らないが、社長はかっちり四割くれるので、早速ヤッホーに出すことにした。結局エフェクターの保存状態が物凄く良かったのと、タイミングが絶妙に良かったのかも知れないが、オークションで120万円になってしまった。いっちゃんの借金は、残り三分の二になってしまったのだ。ただの金色の箱が百二十万円、お金持ちっぽい外国人が買ってくれたみたいだった。

 社長は、いっちゃんが借金で苦しんでいたのを知っていたので、

「これでだいぶ落ち着いて就職活動も、倉庫の仕事も出来るやろ」と笑っていた。

 大感謝であった。

 しかしギターまで売っぱらうのは気が引けたので、

「上がりは遠慮しますよ」と言うと、倉庫の持ち主の親娘は、お父さんのギターが高価なのだとは知らなかったみたいで、

「これは、ギター弾きの魂で、大事なものですよ」と娘さんと奥さんに言うと、娘さんが、

「子供が大きくなったら弾かせてみようかな」と言って、売るのは保留となった。

 (形見やからなぁ〜)といっちゃんは思ったが、何故かいっちゃんが自由に、いつでもスタジオに入ってギターを弾くのを許して貰えたのだ。

「良かったやん」と社長は笑っていたが、いっちゃんは嬉しかった。

 いっちゃんは、ギターもエレキヴァイオリンも売っぱらって楽器は何一つなかったので、少し寂しかったのだ。

 借金も少し減ってギターも弾けるし、最高だった。

「こんなラッキーな事もあるんやなぁ〜」

「社長や奥さん、娘さんに感謝しなきゃね」と早苗ちゃんは更に夕方のアルバイトデートを手伝ってくれるようになった。もちろん最後に二人だけのコンサートがあるからだ。しかし毎晩はしんどいし、仕事しなくなるので、ライブコンサートは週末だけにする事にした。

 そういう楽しい日々が続いていて、このまま続けば良いと思っていた時、

 夕方に先生から、

「帰りに少し話があるから、下の相談室に来てくれと言われてしまった」

 (なんかやってもたかなぁ〜)と思いながら、エレベーターを降りた。


 続く〜


 

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