お化けアパートと夜の倉庫
第五十六話 お化けアパートと夜の倉庫
いっちゃんの学費、所謂ハローワークの給付金は早苗ちゃんに全額取られる事になってしまった。
給付金の入金と借金引き落としはいっちゃんの同じ口座なので、その通帳もキャッシュカードも早苗ちゃん預かりになってしまった。足りない分と貯蓄の為に、早苗ちゃんが口座に毎月お金を足してくれるのだ。いっちゃんは、マルカリとタイメーだけがお小遣いという訳だ。完全管理されてしまった。
お昼は、早苗ちゃん弁当があるし、タバコ代とウヰスキー代はタイメーとマルカリだけが頼りだった。マルカリは時々依頼があった。丸男や、友人達に代行を頼まれたりするのだ。マルカリのルールで、代行が出来るようになっていたのだ。なので合法的に取り引きが出来た。報酬は二割だったが、今は三割に上がった。
その時々で、オークションに変えたり、値段引いたり、売る為の努力、駆け引きも大事で、しかも、梱包発送全てひとりでやっているので報酬は貰って当然だった。
しかしタイパを考えると、三割では足りないのだ。
なので、今月から四割取る事にした。結構時間を使うからだ。
しかし、それほど稼げる訳ではなかった。時々お宝や、ポケモンカードが出て来るが、ポケモンカードはオークションで鬼の様に高額になる事があるが、高級品でもマニアに見て貰えない限り、一般人には関係ないのだ。そもそも、安く買う為にマルカリをやっているのに、高額取り引きなんか有り得ないのだ。ただ時々目利きの人がポーンと買ってくれるのもあるので、値段設定も難しかった。
「値段の設定って難しいわね、ジェミニっ子の設定は大体あっているけど、ネット上の過去のデータからしか判断出来ないから高額設定になる事も多いし、逆もあるわね、それより勉強してね。堂々と面接に行って欲しい」
「お、おう」
と、早苗ちゃんは頼りになった。お母さん的と言うか、もう完全に嫁に仕切られてる感じだった。そもそももう、バイトとマルカリなんかやってるくらいなら、勉強と就職活動をやる方がましなのだ。
なので、タイメーは、週二回、マルカリは、ラッキーな事に友人のツテで、お金持ちの倉庫を一個を預かる事になったのだ。急がなくていいよ、と言われているし、四割で契約してくれた。そのうち古物商の免許も取る事にした。
これで準備は何とか整った。後は勉強と就職活動だけだ。早苗ちゃんにや友人達には大感謝である。
「ふ〜何とかやって行けそうやなぁ〜」と早苗ちゃんに言うと、
「これからでしょう、まあ、それでも良かったわね、いっちゃんの怒っている顔は見たくないから」と早苗ちゃんも久しぶりに優しい顔になった。いっちゃんは時々キレるが、そもそもは二人とも穏やかなので、幸せな時間が普通なのだ。一般の普通の庶民、これをキープして行く事が結構大変な事だと言う事が、今回の事で見に染みた。
学校が終わって、夕ご飯を食べてから少し復習をして、倉庫に早苗ちゃんと出かけて、写真を撮ったり、値段設定とかしながら毎日が楽しくなって来た。
「意外と幸せやね」と二人で笑った。
続く〜




