第五十一話 遮断機
第五十一話 遮断機
とりあえず、ぬる燗2合がやって来た。
「日本酒はなんか懐かしいなぁ〜」
「タイにもあるやろう、まあ、でも飲まんわな」
「そうやねん、やっぱ地元の酒飲むよな、わかってるやん、流石酒呑み!」笑笑
「たり前やん、おい、お土産だせよ」
「おう」とホン・トークを二本出した。
「なるほど、流石通やな、甘いとか言われるけど安くて美味い。地元の二級酒」
「おう、最近はハイボールにするらしいけど、ポケット版だからストレートで飲めよ」
「おう、寝る前に飲むわ」
「いっちゃん」と早苗ちゃんが、例のやつ見たいな顔をしたので、シルバーを出した。
「これお土産、一番好きなやつを選んで」と、いっちゃんは、透明な袋に一個ずつ入れ替えていたカレンシルバーを出した。
「えっ、選んでいいの?!」
「うん、遠慮しないで、一番好きなやつにして、かずみちゃんの為に買ったけど、なかなか決めれなかったから」
「うん、これが良いわ」とあっさり、髪を束ねる綺麗な渋い輪っかを選んだ。
いっちゃんも実は一番カッコいいと想ったやつだ。
「髪を伸ばす事にしたから、付けてみたい」
「おう、ええやん、でも髪伸ばすん」と丸男が言うと、
「うん、恋活しようかな?!」
「おい、俺がおるやん」とすかさず丸男が言って皆んな笑った。かずみちゃんが選んだ後に、
「ぢゃあ、こっちの二つは、早苗ちゃんとお母さんにあげる」といっちゃんは、早苗ちゃんに渡した。
早苗ちゃんのお母さんはとっくに亡くなっている。知ってるかずみちゃんと丸男は何かを察したが、丸男が、
「ええなぁー 俺にもくれよ」と言うと
「おまえ髪薄いやないか」と周りも爆笑になっていた。かずみちゃんは少し羨ましそうな顔をしたが、
「髪が伸びる頃には、男出来るかなぁ〜」と言って、早速髪を後ろで束ねて見せた。
ショートカットと言っても女の人は後ろを束ねるくらいの髪の毛はある。
かずみちゃんは、宝塚の男役の人みたいに顔だちがはっきりしていてカッコ良かった。
「だから俺がおるやん」とまた丸男が被せて爆笑になったが、かずみちゃんは、すぐに、手鏡で後ろを見ながら、
「これ綺麗ねぇ〜更に別嬪になるわ」とか言うと、丸男が
「かずみちゃんは最高に綺麗だよ」と言うと
「はいはい」とかずみちゃんは言っていた。
それから色々と、旅の話になった。
タイがもう家族連れの観光地になっている事、早苗ちゃんのお父さんの奥さんが若い事、屋台が美味い事、心地よすぎて帰りたくなくなった事、銃を撃ちまくった事などを話して夜は過ぎていった。
「ねえ、今度は皆んなで温泉でも行こうか?!」とかずみちゃんが言うと、丸男が、
「おう、良いねえ、その下呂温泉でも行くか?!」と言うと
「確か牛肉美味ったぞ」といっちゃんが言うと、かずみちゃんも
「行きたいわねぇ〜 浴衣来て、雪の中を歩いてみたいわ」
「うん、ミズキさんの実家も行ってみたいし」と話は尽きなかったが、
「もう、帰らなきゃ」とかずみちゃんが言ってお開きになった。
いっちゃんと早苗ちゃんは、居酒屋の皆んなにもドライフルーツやナッツを渡し、『飛魚』を後にした。
帰り道で、早苗ちゃんが、
「明日学校に行くの?!」と言うので
「サボるに決まってるやん」と言うと、
「私もサボろう」と言って笑った。
朝の開かずの踏切の阪急電車の黄色黒の木のバーの遮断機もじっとして動いていなかった。
「あ〜 タイに行くと心がゆっくりになるなぁ〜」といっちゃんが言うと
「そうね、人生何とかなるね」と腕につかまってる早苗ちゃんが言った。
渡った瞬間、遮断機が降りてちんちんと鳴り出した。
「ちんちんやって」
「馬鹿ぢゃないの?!」
と言って二人で笑った。
続く〜




