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第四十七話 おっさん

第四十七話 おっさん

 汚いのにデカい店で、タイの曇りの日には、何だかスカスカのメリーゴーランドに観えた。ホールケーキの外側に柱を何本か立てて、屋根を乗っけたような感じの円形になっていた。

「こんな店あったっけ?!」

「行ってみたい連れてって」

「ああ、でも、渋すぎるなぁ〜」

モノクロの店って感じだった。現地人しか入らない様な店だった。

 偶にこういう店もある。上海とかの高層ビルから少し離れた所にいる、上半身裸の男が生活している、ジャッキーチェンの映画に出てくる地域の店みたいだった。

「ハロー、オッケー?!」と言うと、どうぞと言う感じで手のひらで座席をさしてくれた。

「凄いわね、いい感じ」

「いや〜この店知らんなぁ〜 初めて」とか言うと、奥の方から

「日本人か?!」とタバコをがっつり吸いながら、日焼けした男がいた。

「はい」とか言うと

「最近、普通の連中も来るようになったなぁ〜」とか言っている。完全にぶっ壊れた人だった。

「にいさん、一杯奢ってくれよ」

「自分で呑んでください」と言うと

「ケッ、」とか言いながら、そのまま帰ってしまった。

「え〜っ怖かったわね〜」

「まあ、帰ってくれただけマシやん、日本人らしい」と言うと、早苗ちゃんは、どういう顔をしていいかわからない顔をしていた。

タイでぶっ壊れて破滅していくひとは多い、それは日本人だけではなくて、世界中から来てぶっ壊れる。皆んな働きたくなくなるのだ。

「まあ、日本で生活してるだけましか?!」

「そうね、仕事は何でもあるし、もう辞めるね、その話」

 早苗ちゃんは恐ろしく感が良いので、いっちゃんが結構困っているのを知っていたのだ。そういう所が早苗ちゃんのイイ所だった。もういっちゃんは今度の旅行で早苗ちゃんを嫁にするつもりでいた。

「ありがとう、何とかするよ、それと、九州の母親に会って貰おうかなぁ〜」と言うと、

「いっちゃんのお母さん、九州に帰ってるの?!」

「来ないだ尼から移動して、山口市に住んでたけど、長崎に帰っている」

「へー ちゃんぽん食べたい」

「食べるばっかしぢゃん」

「でも、なんで山口市?!」

「妹家族がいる、お金持ちだから良くして貰っている」

「何で帰ったの?!」

「言ったっけ?! 母親はもうそろそろ山口の家から、老人ホームに行こうと決めていたんやて、そしたらたまたま大学生の娘が、学校の実習で老人ホームに行く事になって、そこで実際見て来て、扱いがあまり良くなかったらしい。それでホームに、ばあばを入れないでって、泣いていたらしい」

「へぇ〜」

「母親になついている娘で、優しい女の子なんよねぇ〜 で、それを母親がたまたま聞いてしまったらしい」

「なるほど、それでひとり暮らしを始めたの?!」

「それで、向こうの妹の姑さんが心配して、何か不都合な事がありましたか?!みたいに言われたらしい。皆んな良い人で心配してくれらしい。それでもう、ひとり暮らしをしようと想ったらしい」

「なるほどねぇ〜、それは辛いわねぇ〜

いっちゃんもお母さん大事なんや」

「全然!!」

「えっ?!」

「殺してやりたいと想っている」

「え〜っ、人間的に最低ぢゃん!!」

「合わないのよねぇ〜」笑笑

「笑笑 冗談にしても酷いわ、それ」

「まー 早苗にはわかんないよ、優しいお母さんだったんでしょ」

「うん、おおらかだったし、上品だった」

「まあ、実際心で想っても、殺すなんて出来ないけど、合わないもんはしょうがない、けれど母親には会って欲しいかなぁ〜」

「だったら、お母さん好きなんぢゃないの?!」

「知らん」

振り返るとさっきのおっさんがぶっ倒れていた。


 続く〜

 

 

 

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