第四十五話 現実
第四十五話 現実
フォローして貰った所で、現実の就職は厳しそうだった。
実は何社か面接に行っている。意外とハローワークの学校は、巷の会社の人事部には評価が高い。
なので、定期的に会社の人事部の人が説明会に来る。
「年齢なんか関係ないです。事実、六十歳を過ぎた人が入社して、バリバリ頑張っています」と言ってくれる会社もあるのだが、稀だろう。
基本、35歳までが、SEやプログラマー募集は多い。毎日授業が始める前に、今日来た会社の求人の紹介から始まって、
「応募する人は、直接先生に申し出てください」と言われる。担任の先生は、若手、中堅、クラス主任の年配の先生が三人もいて、手厚く対応してくれるのだ。
いっちゃんのクラスの生徒は、現役のプログラマーやSEだらけなので、門外漢のいっちゃんみたいな連中など相手にせずに黙々と勉強している。同じ門外漢でも若いやつには求人が良く来る。
最初に入学した時に、自分自身のプロフィールを書き、学校が会社に対して、
「こんな人がいますよ」とアプローチ文章を送ってくれるのだが、クラスに入った若いやつには、プログラム未経験でも、すぐにスカウト求人が個人宛に送られて来るのだ。それはもちろんプライバシーがあるので、個人コードだけを会社に送り、会社が個人のプロフィールだけを見て判断し、学校に「面接してみたい」と返事が来るのだ。
「スカウト来てるよ、どうする面接行く?!」と先生と就職担当の人からアプローチが来るのだ。
いっちゃんはまだ一度もスカウトが来ていない。それどころか、求人の会社に問い合わせをしてもらった所、
「来て貰っても良いけど、システム開発の部署は難しいかもです」とはっきり年齢的には無理とは言われなかったらしいが、
「最初から覚え直すのはキツイのでは?!」
と言う感じだったらしい。学校に求人に来た会社は、まず専門の職員が会社の人事部に電話をしてくれるのだが、
「面接に来るだけ無駄」とまでは言われないが、なかなか厳しい事も多かった。
学校ではそこそこ優秀な成績でも、現場ではすぐには使えないので、殆どの会社が研修から始まるらしい。で、ずっと勉強だ。一丁前になるのに最低は三年はかかるらしい。
実はいっちゃんは、大学の就活の時、当時、世界最大級の外資系のソフトウエア会社にSEで内定貰っていた。
※今は何とかパッカードに買収され消滅している※
ゼミの先生は、
「超凄いやん、うちの大学からは珍しい、行くんでしょ?!」と言われたが、郵便局の試験が土壇場で合格してしまったので、
「あまり仕事したくないんで、公務員になります」と断ってしまったのだ。しかし、現実の郵便局は、残業の嵐で労働環境は良くなくて、しかも営業が強化されてからは、皆んな自爆して、年賀葉書や暑中見舞いの葉書をチケットショップに持って行ったり、家族や親戚に何とか便の商品を送ったりする事になるのだが。ちなみにそれはその後、マスコミに取り上げてられて、コンプラで禁止になり、今は郵便物も減りまくっているので、それほど仕事はキツくはなくなったらしいが、通販の商品の再配達は少しきついらしい。
まあ、とりあえず過ぎた事をごちゃごちゃ言っても、現実的には再就職しなければならないのだ。厳しい現実に直面している。
さて、早苗さんお父さんミズキさんと遅くまで飲んで仲良くなれたのは、せめてもの救いだった。
次の日の朝、早苗ちゃんとお父さんの家を出て、明日帰る事になった。
「気をつけて日本に帰ってね」とミズキさんの表情は明るかった。早苗ちゃんに会えてホッとしたのだろう。
「まあ、何とか頑張って行きます」
とだけ告げて、早苗ちゃんお父さんの家を後にした。
続く〜




