第四十四話 仕事
第四十四話 仕事
しかし、外国にいると金を使う。
なんやかんやでお金が出て行くのである。
クレジットカードの明細も、キャッシングしたのに何か買ったみたいな伝票になったりするし、カードによっては全く使えない。旅行前にバイトやスロットで稼いだ金も段々と底をついて来たのだ。
(ミリオンGOD凱旋復活してくれ〜い)
しかし、なんとか早苗ちゃんにお金を借りずにしのぎたいものだ。
ある程度の収入があって、定職もあるのなら、普通に恋人にお金を借りたって、すぐに返せるのだから、それは、どーって事はない普通の日常生活だが、金ない時に、彼女に借りるのは、表情に露骨に現れて、辛すぎて格好悪過ぎて、やはり御法度なのだ。
昔から借金で、恋人に悲しい顔をされて来た嫌な想いでもあるし、なんぼ借金大王でも、大貧乏でも、最後の最期まで、恋人にお金を借りてはいけない。
良く友達に金を借りたら友達無くすのと同じだ。仲が良ければ良い程そうなのだ。
けれど、金がないのは、しょうがないのだ。ハローワークから出ているお金は最低限だし、アルバイトも制限されている。
なので、毎月僅かなバイトで得た収入をしょぼいスロットで増やしている。
ここんところ、勝っているので何とかなっているのだが、飲み代は全て丸男が払っている。丸男はボンボンだし、一流企業の独身貴族なので、収入はデカい。
「いつか小説が売れたら、必ず数十倍にして返す」とか言っている。
そんな儲かる話はそう簡単にあるわけはない。小説サイトで『注目作品』とかに何回もなったって、薬屋みたいにスカウトされ、ネットフリックスに動画が全世界で流されるなんて夢のまた夢だ。もし、ツキがきて出版出来たりしても、売れるかどうかわからないのだ。誰でもいつかそうなりたいと願っている。
高名な作家やアーティストは死んでからしか有名になれないし、死んでからぢゃ、話しにならない。
いつか、なにかの偶然と神のうい奴に選ばれ、世に出たいものだ。
さて、早苗ちゃんのお父さんと会うのも今夜で終わりだ。
豪華にしゃぶしゃぶとすき焼きを両方出してくれた。量も丁度良い感じだ。
両方上手にわけてくれていた。ミズキさんも早苗ちゃんのお父さんも偶には、日本から来た知り合いと鍋を囲みたいのだろう。
「いっちゃんは、もし就職出来なかったらどうするの?!もし、早苗と結婚したとして、食べさせてくれるん?!」
「もちろん、プログラマーに成れなくても、何でも仕事はやりますよ。最悪、郵便局に戻ると言う手もあるし」
実は、友人で出世している郵便局長の女から、二、三日前に電話が来て、
「遊んでいるなら、うちの局に来てよ、雇ってやるから」と電話が来たのだ。
はっきり言って郵便局のアルバイトはキツイ。正社員と全く同じ仕事をさせられる。けれど、他所のアルバイトよりは給料は高い。それはそうだろう。正社員と全く同じ仕事をさせられるのだから。
まあ、それでも何とか家族を養えるだけの年収はくれるのだ。残業すれば、中小企業のサラリーマンと同じくらいくれるのだ。だから逆に辞めれないのだ。一度アルバイトで入ったら、正社員になるまでは、我慢したり、辛いものがあるのだ。
交通事故や客とのトラブルも笑えないくらい気をつけなければならない。
それはどんな仕事をしたって同じだ。何処の世界の仕事だって、みんな苦労しているが、一度、人間関係で嫌になると、もう行きたくない職場ではあった。
「それなら良いけどね」
と、少し真顔で言われてしまった。
「いっちゃんは大丈夫よ」と、早苗さんはフォローしてくれた。
続く〜




