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第四十二話 いっちゃん

第四十二話 いっちゃん

ミズキさんは、話が上手だった。会話していて嫌な感じがしないのだ。最近の若いやつ(昔は自分自身も言われていたのに、ついに言う側になってしまった。笑笑)と会話すると、マウント取るのに必死になる事が多くてうざいのだ。いっちゃんらの時代と違って、借金するほど遊んでいないので、何も知らないのだ。何も知らない癖に自分の知っている世界で、会話をまとめようとしてくるのだ。マウントにこだわり、自分自身を守るのに必死だ。学校にもたまにいるが、会話をしても面白くないのだ。知らない事は知らないで面白がって聞けば良いのにYouTubeで観たとかで、自分自身の世界で納得し、相手にも言うのだ。

 自分自身が経験しないと、現実は全く違うというのがわからないのだろう。昔自分自身が言われていた事を、今は自分自身が言っている。不思議な感じだ。太古の昔から石碑とかにも「今の若いやつは、」と書かれているらしいが、メディアの発達が耳年増をどんどん倍増させている。しかし、知識も大事だ。今の若い連中も年取ったら言うのだろう。しかし、ミズキさんと会話しているとそれを感じない。客商売の中にいたので、慣れているのかも知れないが、元々の生物的なタイプが話を聴けるタイプなのだろう。なので、容姿や若さだけでなく、そういった魅力に早苗ちゃんお父さんも参ってしまったはずだ。まあ、結局は、年齢はあまり関係なしに、会話が出来ないやつは出来ないのだが。

「早苗ちゃん、いっちゃんさんとは、何処で知り合ったの」

「梅田の酒場でナンパされたの 笑笑」

「なるほどね、いっちゃんさん、面白いもんね」

「いっちゃんで良いですよ、皆んなそう呼んでるから」と言うと笑って、

「じゃあ、いっちゃん、早苗ちゃんを大事にしてね」と、もうお母さんだった。

 早苗ちゃんも口は達者だが、ミズキさんの方が上手だった。落ち着いているのである。いっちゃんも早苗ちゃんも完全に飲み込まれてしまった。

 (女の人は子供出来ると強くなるのか、元々そういう人なのだろうか?!)といっちゃんは想いながら、

「ミズキさんは、落ち着いてますねぇ〜 なんだか、大人と話してるみたい」と言うと、皆んな爆笑になった。

「いっちゃんが子供なのよ、でも男の人はその方が楽しいわ、お父さんもそんな感じだから宜しくね」と早苗ちゃんもなかなか負けてはいなかった。でも勝ち負けではなく、嫌な気分にならなければ、返しの言葉は、意外性と言うか、展開に油を入れるような返しの面白さは大事だった。

 会話はスムーズになって来て、お父さんとの初デートの話とか、いっちゃんとよく行く“飛魚”の話とか、お互い面白い話で盛り上がって来た。そのうち料理も無くなって、早苗ちゃんも、ミズキさんとキッチンに立ってデザートを準備したりし出した。

 座敷のテーブルには、スルメとかちょっとした酒のアテとデザートで、ゆっくりとした時間が流れて、早苗ちゃんお父さんとも打ち解けて来た。

「いっちゃんは、就職どうするの?!行きたい会社とかあるの?!」

「ええ、まあ、もろプログラマーも良いんですが、レーダーの点検とかの会社とか面白そうですね」

「へー確かに面白そうやね」

「学校で習った事も大事ですけど、やっぱり実際、現場行って覚えなきゃならないらしいです」

「まあ、いっちゃんなら、何処行っても適応出来そうぢゃん」

 と、お父さんもいっちゃん呼びしてくれるようになってなんだかええ感じに打ち解けて来た。


 続く〜

 

 

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