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第四十一話 普通

第四十一話 普通

普段お酒が強い早苗ちゃんも、ワインガブ飲みは結構酔う。ワインは後から酔ってくるのだ。特にアルコールは精神的ショックが大きい時は酔うのである。

 よくサラリーマンが、嫌な事があって、居酒屋とかで酔い潰れている時みたいな感じだ。いつもの早苗ちゃんではない。

 (ここは何とか雰囲気変えなきゃなぁ〜)と思いながら、色々考えて、

「ミズキさんは、日本料理ですか、西洋料理ですか?!」とかつまらない事を聞いてしまったのだ。

「えっ、両方ですね、家が旅館をやっていたんで、子供の頃から修行してました」

 と、つまらない事を聞いた割には、リアクションは幅が拡がりそうな予感だった。

「へ〜旅館か〜 せやから、家の中が綺麗出し、品があるんですね、家の中が整理されて気持ち良いです」と言うと、

「ありがとうございます。子供の頃から親が厳しいかったので、毎日雑巾がけとかさせられていました 笑笑」

「何処の旅館ですか?!」

「実家は愛知県の下呂温泉街ですね」

「へぇ〜良いとこですよねぇ〜 昔、金髪ストリップに行きましたよ」と言うと、

「いっちゃん!!」と早苗ちゃんに怒られてしまった。昔、真冬の下呂温泉に行った事があって、吹雪の中、居酒屋のあと、ストリップ小屋に行って、女の子触りまくって、

「踊り子さんには触れないでくださ〜い」と怒られながらも、そこで知り合った連中と一緒に、南米から来た小柄な白人女の子を触りまくりながら、ワイワイやった想いでがあるのだ。

 その女の子は日本語が少し出来きて、楽しくて、いっちゃんに少し気がありそうだったが、人気があり過ぎて、抜いてもらうまでの順番待ちが長くて、諦めて帰って来たのだ。次の日は彼女はもう居なかった。

 そんなくだらない話しをついついしてしまったが、ミズキさんには、受けてしまった。懐かしかったのだろう。子供の頃からそう言う世界を観てきて、巡業で世界中から女の子達がやって来た時期があるらしい。バブルが終わっても十年くらいはまだ日本の景気は良かったのだ。

 もちろん下呂温泉は川が綺麗だし、酒も美味しくて、家族連れも多くて綺麗な心安らぐ温泉街だ。

「いっちゃんはそんな話しばかり、男って馬鹿ね」と早苗ちゃんが言うと、

「そうよね、でも、お客さん達は皆んな満足そうな顔をして帰ってくれたわ。旅館に来てくれたお客さんが帰る時には、少し寂しかった。でも、またお客さんがやって来るのも嬉しかった。その繰り返しね」と言うと、

「なんか、風情あるなぁ〜」といっちゃんが言うと、意外と良い話しに変わってしまった。

「ねえ、ねえ、ミズキさん、私達も今度温泉いきたい」と言うと、

「大歓迎よ、まだ実家旅館やっているから」と言うと、二人ではしゃぎ出した。

 (なーんや、ええ感じになって来たやん)といっちゃんも、お父さんも安心して来た。

 それと、お父さんとも少し打ち解けて来たのだ。馬鹿話のおかげで、皆んな極々普通の人間だとわかると、お酒を飲むペースもゆっくりになって来た。

 早苗ちゃんのガブ飲みも収まって、ミズキさんの料理も追加が出て来た。

「凄いわね、ミズキさん、これ全部自分で作ってるの?!」

「慣れよ慣れ、子供の頃からよ、やらされてたって感じ?!」笑笑

 意外と打ち解けると皆んな普通の良い人ばかりだったのだ。

 普通が一番尊い。


 続く〜

 

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