第四話 ブレッドボード
第四話 ブレッドボード
夏子ちゃんと楽しい時間を過ごして、彼女は、お店に出勤した。
夏子ちゃんは昼も夜も働いている。
同伴してあげたかったが、今は全くお金が無かった。それに夏子ちゃんはそんな事をしなくても十分稼げるのだ。
「来れる時で良いからね」といつも言ってくれる。超別嬪は余裕だ。
じつは、学校の事だが、今の学校は夏休みもあって、休みの期間中、三日程学校に出なくてはならなかったのだが、母親のわがままで、妹の家から、母親の田舎の空家に付いて行かなければならなくなった。
草ぼうぼうの田舎の家を、住める様にしなければならなかったのだ。
女帝母親のワガママだ。
親父が死んで、お世話になっていた妹の家は、旦那さんの実家がお金持ちで、良くして貰っていはずだが、割とエリートの家で、皆んな夜は自分自身の部屋で勉強する事が日課らしい。
なので、全く知性も教養のない母親は、夜ひとりでテレビを観ていて、つまらなかったらしい。
昼間は、妹や孫達と買い物に行ったり、料理をして、楽しかったらしいが、その後の寝るまでの夜は、やっぱり寂しかったと言っていた。
もちろん彼女は、スマホも使えなかったので、話相手が欲しかったのだろう。
ずっと専業主婦だった母親は、世の中の普通の一般の人が、そんなに暇ぢゃないのがわからなかったのだ。
それで、「九州の田舎に帰る」とか急に言い出し、自分が護送者になったのだ。
幸いな事に、九州の田舎の家は、まだ綺麗で、周りの草ぼうぼうだけが、面倒なだけだったので、自分がAmazonで買った草刈り機で、草を刈って住めるようにしてやったのだ。なので、それが理由で学校を休んでしまった。
学校では、その間にアナログ回路の授業があって、聴いていないのだ。
何とかデジタル回路の授業には間に合ったのだが、アナログ回路がわからないと、もちろんデジタル回路もわからない。
じつは、最初、ブレッドボードの使い方すらわからなかったのだ。
それで、ブレッドボードや、チャイナ製の安い電子部品セットもAmazonで買ってみたが、ブレッドボードの裏の両面テープを剥がして、配線見るまでは、何のこっちゃわからなかったのだ。
ブレッドボードの鉄ピンの配置を見て、初めて配線図がわかったのだ。
そして、昔、子供の頃やっていたはずの電子工作もすっかり忘れていて、FMラジオを一個作ってやっと思い出したのだ。
そして、古いテレビも一個直して、やっと配線の理解や、ハンダゴテも昔みたいに使えるようになった。
ブレッドボードはハンダゴテは必要ないが、普通のニッパーでコード線を剥いていたら、先生に「器用なんですね〜」とか言われて何のこっちゃと思ったが、実は、今はコード剥きの専用工具があったのだ。
一度専用工具で楽をするともう戻れない。とにかく何というか、やっと電子回路には追いついた。
しかしこれからが、地獄のC言語に突入するのだ。組み込みシステムの勉強をやっているので、ソフトもハードもある程度バランス良く理解しなければならない。
データシートも読める様にならなければ、配線も組めない。
マイコン(マイクロコントローラ)にプログラム言語をぶち込むには、配線も出来なければならないのだ。
基本ハードをいじるのは大好きだが、プログラムはお経だった。
なので、写経をやっていると言う訳だ。
言語は基本英語なので、英語を使う外国人の気持ちにならないと、つーか、(古い英語の語源がベースなので訳がわからんわ)と思いながら毎日苦しんでいる。
関数と言いながら数学の関数とは少し違うし、地獄なのである。
それで、辞めていたタバコ吸い出してしまった。夏子ちゃんは、タバコを吸う人が嫌いではなかったので、よしとするが、元々気管支が弱いので肺も苦しかった。笑笑
しかし、向上心!!やるからには、きちんと勉強したかった。
なので、公文式、写経をやっていると言う訳だ。
「あー、いつまで苦しむのだろうか?!」
続く〜




