第三十九話 奥さん
第三十九話 奥さん
甚兵衛と浴衣でタクシー乗り場に行くと注目の的になった。早苗ちゃんは、また子供に寄られている。誰でも着物や浴衣で、外国を歩くと、必ず声をかけられたり、子供は写真を撮らせてくれとか言って来る。
特に女の子の着物姿は最強だ。浴衣も同じだ。
「相変わらず子供すっきやなぁ〜」と言うと、
「知らん」とか言っていたが、やっぱり構ってあげているのである。そうこうしてるうちにやっとタクシーに乗れた。海の方の地区に行くことになった。
ウォンアマットと言う高級リゾート地だ。雰囲気が全く違っている。
「なんやお父さん金持ちなんや」
「知らんけど、でも引っ越すらしいよ、日本人街に住むんだって」
「へー」とか言ってる間にタクシーはついた。早苗ちゃんパパのお家は、やっぱり思ったとおりの高級マンションだったが、イメージした雰囲気と違っていた。
まず有人ゲートで引っ掛かる。日本の高級マンションの比ではない。マンションの玄関にも近づかないのだ。そこはお父さんが出て来てくれたが、なんかオートロックの鍵自体なんかもない顔認証だ。
エレベーターもプライベートリフト(自分の階しか止まれない)だった。どちらかと言う、遅れた国の金持ちほど、世界の最先端にいるが、そもそもパッタヤー、タイ自体もう後進国ではない。医療にしろ元々が隠れ先進国だが、インフラも5Gが普通に飛び交いAIもあらゆる所に進行している。QRコードも日本より普及していて何でもQRコード決済だ。それにデジタル適応力が凄いらしい。若い連中はもちろん、年寄りも日本みたいに拒絶しないらしい。
後で聞いたが、早苗ちゃんのお父さんはタイのインフラ系に携わっているのである。退職して遊んでいたけど、仕事でもタイに来ていたのだ。
エレベーターを降りて、お父さんについて行くと、「いらっしゃい」で日本語が聞こえて来た。
日本人の奥さんだったのだ。しかも、早苗ちゃんと年が殆ど変わらない。
(おい!!あんた言ってることと、やってる事違うやん!! 笑笑)で、逆に安心してしまったのだ。
「えーっ、お父さんやるやん」と若いお母さんとお父さんに言っている。
「初めまして、瑞希です」
(うわっ、可愛いやん)と思ったが、
「初めまして、一生です」ときちんと挨拶した。
早苗ちゃんの反応が意外だった。若いお母さんだったので、嫌な表情すんのかなぁ〜と思ったけれど意外だった。
(でも本当は嫌なんちゃうかなぁ〜)とかも思ったが、今日の早苗ちゃんはよくわからなかった。
「早苗ちゃんって、呼んでイイ?!」と若いお母さんは早苗ちゃんに言った。
「しゃあないな、イイよ」となんか仲良くなれそうにも見えた。とにかく中の座敷に通されると、
「おお、」
と、日本食のオンパレードだった。
「いやぁ〜美味そうですね」と言うと、早苗パパは、
「ミズキは料理人だからね、日本料理店で働いているよ」と言った。
(日本人街でどーせナンパしたんやろ?!)
と思ったら、全くそのとおりだったのだ。しつこく通って、誘い出し、しゃあなしに付き合ったと、奥さんは言っていた。
(おまえは、時期が来たら逃がしてくれとか俺には言いながら、自分はかっちり結婚しとるやないかーい)と思ったが、逆に(ふ〜っ)っと安心した気分になった。笑笑
続く〜




