第三十六話 ツリータウン
第三十六話 ツリータウン
ツリータウンに着くと、深夜でも若者で溢れ返っていた。パッタヤは夜も昼もパッタヤだ。賑わっているのが普通の日常だ。なので昔、タイ人の彼女は、日本のいっちゃんのおばけアパートで、
「サイレンス」と言ってスヤスヤ寝ていた。特に最近のツリータウンは凄い。
ここ一年くらいでごっつい派手になり出したのだ。その中でも、一番目立つゴーゴーバーに入った。女の子ぎっしりなのであった。
「凄いわね」と早苗ちゃんも流石に圧倒されていた。ポールダンスでは殆ど裸の女の子が踊り、周りの女の子も山程踊っている。
「ここは竜宮城かよ」と思ったが、まさに竜宮城だった。ステージ以外にも、その辺に若い女の子が溢れ返っているのだ。気に入った女の子がいれば、ママとか店員に連れ出したいと言うと、直ぐに金の交渉になるのだが、買わずに女の子だけイジって、喋って呑んでばかりの白人男性も多い。今は知らないが、昔、白人の男はあまり評判良くなかった、金を使わないのだ。その点日本人は湯水のように金を使っていたのだった。
「日本人の女の子に相手にされないから東南アジアにばかり行く」といった検討はずれの事を言う人がいるが、殆どが日本の風俗飽きて、タイに来ているのである。確かに白人の男はそんな感じのやつもいるが、大騒ぎしてる白人はろくでもない遊び人だ。
まあ、遊び人が偉いわけではないので、これくらいにしておくが、誰にも迷惑をかけていないなら、世の中が大っ嫌いな世捨て人を優しい目でみて欲しいと思う。経済には貢献しているのだから。
とにかく、ゴーゴーバーで何とか奥のカウンターで注文をした。三人ともジントニックを注文もし、何故かこう言う時はジントニックが多い様な気がする。笑笑
「綺麗な人ばかりねぇ〜 ダンスも上手だし」と早苗ちゃんが言うと。
「でしょ、芸術的だろ?!」とお父さんが言っていたが、娘の前で裸の女の子を良く観れるなぁ〜とは思ったが、確かに芸術的なのである。女の子達は知らぬ間にひとりずつ消えて行くが、また帰ってくるので、全然収まる事がなかったのだ。
それから一時間くらいして、外に出た。
もうすっかり、酔いは覚めていて、早苗ちゃんが有料のトイレに行ってる間、外でお父さんと二人きりになった。
お父さんは落ち着いて、
「早苗の事を大事にしてくれているのはありがたいんですが、もしも早苗がもっと大人なって逃げ出したくなったら逃がして貰えますか?!」
昔の嫁と付き合ってる頃に、立ち飲み屋のマスターに言われた事が、また再現されてしまった。
「わかってますよ、もしもその時が来たら、逃がしてあげます」
「流石、大人ですね、安心しました。今のあなたの言葉でホッとしました。そういう経験がお有りなんだ。
「ええ、まあ」
(別に最初からそのつもりさ)とは思ったが、ほんの少しだけがっかりしたのは事実だった。43歳の時に23歳の女の子と知り合って結婚したが、三年と続かなかった。
(しょうがない、なる様に)といっちゃんは思った。
続く〜




