第二十一話 早朝バイキング
第二十一話 早朝バイキング
週末が来た。
今日も早朝から、アルバイトに行って来た。昼からは飲み会だし、早苗ちゃんもやって来る。ぱっぱとやっつけよう。
いっちゃんはやる気まんまんだった。
今日は上等のホテルの洗い場のバイトだ。ここんとこ、ろくなバイトが無かったので、お上品なホテルなら、トラブルはないだろうと、お試しで申し込んだのだ。
朝は、七時、早朝スタートだった。
中に入ってフロントに行って、まずは二次元コードでチェックイン入力だ。
それからレストランに入ると、
「下膳やって」とか言われた。
所謂、配膳下膳、下膳の事だろう。
お客さんがお食事後、セルフで、ぼんごと棚に戻してくれるのだが、それを洗い場まで持って行くという、単純な作業だった。
色々な職場があって、入った瞬間に嫌な所は雰囲気でなんとなくわかるのだが、今回は逆に良すぎた。
今まで最悪の職場は、三十分くらいでぶち切れて帰った事もあるのだが、ここは流石、そこそこの高級ホテルだった。
全てに上品さがあったのだ。
なので、最初からええ感じだった。
従業員の人は最初から優しく教えてくれたのだ。
まずは、食器の重ねかたや、洗い場まで持って行く段取りを学ぶ。思ったより人の流れが早いので、要領良くやらないと棚はいっぱいになってしまう。
なので、最初はそのまま、ぼんごと何個か洗い場まで持って行って、スペースを作る。それからは出来るだけ同じ食器をかさねて、プラスチックのケースに入れて、台車で運ぶのだ。
その時、最初の頃は、コップを良く飛ばしてしまうのだ。水用のコップはプラスチックなので助かったが、割ったら面倒そうな皿もあった。手が汚れるのはしょうがなかったが、殆どみんな綺麗に使ってくれているので、そこまで汚れる事はなかった。
以前、他の、山程の外国人が泊まる、あまり上品ではないホテルで、部屋の掃除のバイトもやったこともあるが、とんでもない部屋だらけだった。どこの国の習慣なのか知らないが、料理を自分たちの部屋でやるのである。
殆どは鍋料理なのだが、食材を半分以上残して、カセットコンロや調理器具も買って来て、置きっぱにして帰るのである。
しかも、調味料も沢山残して行く。
外で外食するより、安上がりなのだろうか?! 真夏に部屋に入ると、速攻で窓を開けないと吐きそうだった。
せめて鍋に残った食材くらいは処分して帰って欲しかった。
さて、今日のバイトの話に戻ろう。
最初は段取り悪かったものの、一時間もしないうちに要領は良くなって来たが、やはり本職の女の子に少しだけ手伝って貰って何とか助かったが、ピーク時は流石にきつかった。
九時ちょっと前くらいになって、やっと手すきが出て来たので、合間にテーブルを吹いたり、余裕が出て来た。
更に、余裕が出て来たので、皿洗いの人の手伝いに行った。
皿洗いや、食器洗いは、最初に、残った食材を落として、ざっと洗い、食器洗いに入れる。中で綺麗になるので、今度はそれをすぐに拭かなけれならなかった。
なので、拭く人も結構忙しかったので、拭き係のヘルプに入った。
食器洗いから出したばかりの皿は熱かったし、鍋なんかは「あちっ、あち」と言いながら吹いた。
拭く作業も大事だ。
それは、すぐに、バイキングの所に食器を戻さなければならないからだ。
レストランのお客さんはかなりの数なので、食器もすぐに足りなくなる。
時間三十分前になって、料理長が、
「休憩行くから時間なったら帰ってね〜」ともう一人のバイトの人と一緒に言われて、従業員は休憩になった。
それから更に三十分経って
「もういいよ、今日はありがとう、ドリンクバーで飲みたいだけ飲んで帰ってね〜」
と言われて、この後呑みがあるので、炭酸水を飲んで、バイトのチェックアウトしてホテルを出た。
(さー早苗ちゃんに会える〜)と思いながらバスに乗った。
続く〜




