第十一話 早苗ちゃん
第十一話 早苗ちゃん
早苗ちゃんとは、西口で待ち合わせした。
「お待たせ、何処に連れて行ってくれんの?!」と言うので、
「焼肉でいい?!」と言うと、
「うん、お腹空いた〜」と言う。
「じゃあ、行こうか」で、しょんべん横丁に向かったが、最近もしょんべん横丁と言うのか知らんが、全然雰囲気が変わっている。大昔、自分が好きな美味しいエアガン大好き店長のお店もあったが、今回見つける事はできなかったので、新しいお店に入った。
「ここ良く来るの?!」
「初めてだよ」
「ねえ、十三あまり来た事ないから、ハシゴしたいわ、安い所を少しづつ食べて、色々連れて行って」と言う。
金ないので、その方が助かる様な気がするが、逆に金かかりそうな気もする。
気を使っているのか、いないのかよくわからなかったが、自分もその方が楽しいし、その方が仲良くなれそうな気もした。
「とりあえず、タン塩行こうか?!」
「良いねえ」と彼女はタン塩二人前頼もうとしたが、
「四人前頼んで、不味かったら、違う店に行こう」と言うと、
「それ面白いわね」と早苗ちゃんは言った。
「地元でさぁ、タン塩美味い店があって、ひとりで行く時はいつも、四人前頼んで、気分が乗ったら追加するけど、周りがうるさかったり、混んでいる時は、気を使って、すぐに次の店に行くのさ」と言うと
「へー、そのお店タン塩めちゃくちゃ美味しいんだ」
「さいっこうだよ」と言うと早苗ちゃんは笑っていた。
このお店も結構美味しかった。
「あたしのお父さん、真面目な人やったけど、お母さんが亡くってからは、外に飲みに行くようになって、私が就職したら、外国に行っちゃった」と言う。
「へー でも、いーんぢゃね、気持ちはわかるよ、男だからね」と言うと、
「だから、私も外で色々飲んでみたいのよ、お父さんの気持ちを感じてみたいわ」と言う。
「そうか、ぢゃあ、そのうち、一緒にお父さんに会いに行こうか?!」と言うと、
「やっぱあなたって、ちゃらいわね、会ったばっかじゃん、チャラいおっさん」と言って笑った。
「ははは、でも、何処の国に居るの?!」と言うと、
「今はフィリピンみたいね。タイからフィリピンに移ったみたい」
「へー 」
「女の人と一緒かどうかは知らないわ」と言う。
「いーんぢゃね?! アジアの女の人は情がアツいよ、昔、タイ人の彼女が会いに来てくれた時にさぁ〜 前の女の歯ブラシを入れっぱにしていて、しまった〜と思った時にさぁ〜 自分のマグカップと歯ブラシを玄関に置いたんだよ、奥ゆかしいなぁ〜と思って」と言うと、
「それって、入って来んなという意味ぢゃないの?!」と早苗ちゃんは言った。
「あっ、そうかなぁ〜」と言うと、
「お間抜けさんね〜」と爆笑している。
「いや、でも、優しかったんだよ、全てにおいて優しいし、私が私がみたいに前に出ないタイプの娘だったし」
「そうなんかなぁ〜情熱的なんぢゃない?! 玄関に置くなんて、逆に熱いわよ、私の男を盗るな!!みたいな」
「ん〜 大人しいけど、情熱的かぁ〜」
「男って、馬鹿ねぇ〜」と笑っていた。
それから、ハートとハラミを少し頼んで、次の店に向かった。
「立ち飲み行こう」
「良いわねぇ〜 女の子はなかなかひとりで入れないから」と言うので、上級者の東口の店ほどではないが、まあまあ中級者の、女の子は入りにくいだろう的な立ち飲みに連れて行った。
「なんか良いわねぇ〜、ええ感じ」と喜んでくれた。
続く〜




