第6話 初心者探索者、ユニークスキルで中ボス相手とやり合う
中ボスクラスとは、そのダンジョン内で出現する可能性が高いモンスターの中で、大体中間クラスのモンスターを指す用語である。EからSまで存在するモンスターランクとの関係はない。
このダンジョンではビッグスライムがそれだ。
本来であれば、このエリアには登場しないモンスターのハズなのだが……
「ここのエリアって、スライムとフレアスライムしか出ないんだよね!? さっきのヴァンパイアワイバーンのそっくりさんもそうだったけど、なんかおかしくない!?」
ビッグスライムは初心者にしてみれば手ごわいモンスターだが、慣れた探索者であれば正直そこまでの相手ではない。
ダンジョンの運営スタッフを呼ぶか、徘徊しているその人達がここを通りかかるのを待てば、どうにかしてくれるだろう。
だが……
「こっち凄い睨んでくるし、戦うしかないよね!」
エミはカードを引き、魔法を使用する。
「ファイアボール!」
元はフレアスライムが使用していた魔法で、魔法としては初心者レベルの威力だ。
しかし、それでもビッグスライムにダメージは通る。
スライム系は特に魔法に弱いとされており、それはエミも知っている為、10ポイントを消費させてそれを放った。
「ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール!」
ディザの召喚には8000ポイントか4000ポイントが必要になるのだが、それに比べればファイアボールは雀の涙だ。
エミは遠慮せずに、それを連射した。
「スラアアアアアアッ」
「よし! 効いてるみたい!」
ビッグスライムは叫びをあげる。
ゲームのようにHPゲージはない。
しかしもしもそれがあったのならば、半分くらいは削っているだろうといくらいの叫びだ。
「スラッ!」
ビッグスライムは口からネバネバした液体を発射する。
これはビッグスライムの得意技で、ヒットするとしばらく身動きが取れなくなってしまう。
「しまった!」
攻撃がヒットしそうになりピンチのエミであったが、ここで運営の50代くらいのベテランっぽい男が、エミとビッグスライムの間に入る。
「お嬢さん、大丈夫かい!?」
「ダンジョン運営の人!?」
「そうだ! 今の内に攻撃を!!」
男は体中がネバネバになりつつも、ビッグスライムに体当たりをする。
この状態でも動けるのは、さすがダンジョン運営のスタッフと言ったところか。
「せいやーっ! 食らえ! 運営タックル!!」
「スラッ!?」
「お嬢さん、今だ!」
「はい!」
エミはビッグスライムに向けて、ファイアボールを連射する。
先程のように叫びをあげて、ビッグスライムは光の粒子となって消滅した。
「よし!」
その後、運営の男はこのエリアにビッグスライムを侵入させてしまったことを謝罪し、この場を去って行った。
後々、会議にて今回のようなことが起こらないように話し合うとのことだ。
エミはまたビッグスライムが来てしまったらもう戦うのは厳しいだろうということで、ダンジョンの出口へと向かう。
出口で受付のスタッフに謝罪をされたが、特に気にしていなかったエミは「楽しかったからいいですよ!」と答えてダンジョンをあとにした。
そして彼女、星札エミが知らない所では今回のヴァンパイアワイバーンを討伐したのが誰なのか? ということが話題になっていた。
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