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第5話 モンスターの肉を焼いてドラゴンに食べさせたら、反応がヤバ過ぎた

「す、凄い! ヴァンパイアワイバーンを倒しちゃった!」


 そう。

 ディザが相手をしたのは、このダンジョンに出現したというヴァンパイアワイバーンの可能性が高い。


 まさか、S級モンスターにも勝てるとは。


「別に凄くないだろ。そんなに強くなかったしな」

「え?」


 今のディザはコストを半分にして召喚している為、能力が100分の1しか出せていない。

 そんなディザがそんなに強くないと言っているのであれば、人違いならぬモンスター違いなのだろう。


 ヴァンパイアワイバーンはS級モンスターなのだ。

 そう簡単に倒せるモンスターではない。


 下手をすれば死人が大勢出るのがS級モンスターだ。

 食べ物の恨みを込めたパンチだけで倒せる相手ではない。


 確かにエミがスマホで確認した画像と比較しても非常に似ていたが、そういうモンスターもいるのだろう。

 エミはうんうんと頷きながら、納得した。


「あ! ヴァンパイアワイバーンは、誰かが倒してくれたみたい!」


 エミはスマホ画面をスクロールしながら、ダンジョン運営からの連絡を確認する。

 どうやら、ヴァンパイアワイバーンの生体反応が消滅したらしい。


 これで安心してダンジョン探索が続けられる。


「それにしても、誰が倒してくれたんだろう?」


 エミは見知らぬ探索者に感謝の気持ちを送る。


「ありがとうございました! ということで、またまた料理をしますか!」

「まだ料理できるのか!? って、すまねぇ! さっき砂糖をぶん投げちまった……」

「大丈夫! 今度は肉料理だから!」


 本来であれば、デザートであるスライムゼリーを後に食べるべきだが、まぁいいだろう。


「肉……? あれか!」


 先程倒したヴァンパイアワイバーン……の多分そっくりさんから、肉がドロップしたようだ。

 ちなみにダンジョンでドロップした肉は加工済で、切って焼くだけで食べることができる。


 例えるならば、スーパーで売っている肉のような感じである。


「これで何を作るんだ? このまま食うのか?」


 ディザは10年間ドロップアイテムではなく、モンスターを直接食べていたので、加工肉は初めて見た様子だ。


「焼肉だよ!」

「ヤキニク?」

「うん!」


 先程に引き続き、ディザに似た黒いエプロンを着たエミが調理を始める。


「最初に包丁で薄く切ります!」

「ほうほう!」

「で、焼いてください!」

「火を出せばいいのか?」

「優しくね! 焦げちゃうから!」


 ディザはエミが薄く……スライスした? (厚切りベーコンみたい)肉に軽く火を浴びせる。


「い、色が変わった!!??」

「後は仕上げ! 半分の肉には塩をかけます!」

「し、しししししシオオオオオオオ!? 砂糖じゃないのか!? どう見ても砂糖だろそれは!! 絶対に砂糖だ!! 俺は覚えてるぞ!!」

「ちっちっち! これは砂糖とは全然違う味なんだよ!」


 叫ぶディザに対して、エミは得意気な表情で人差し指を揺らしながら言った。

 そして調理を続ける。


「そして、もう半分の肉には焼肉のタレをかけます!」

「や、ややややや、ヤキニクのタレ!!?? なんだそれは!!」

「美味しくなるタレだよ!」

「そうか! 楽しみだ! 後は?」

「これで完成だよ!」

「おお! 早速食べるか!」


 ダンジョン内に設置してある机に、移動していざ実食。


「いただきます!」


 ナイフとフォークを使用して、エミとディザは食事を開始。

 まずは塩だ。


「しょ、しょっぱい! でも美味いぞ! これが塩!! そして生のモンスターも上手いが、焼いた肉は更に美味いぞ!!」

「え……!? 初めて食べたけど、モンスターの肉ってこんなに美味しかったの!? なんか凄い高級な食感で柔らかいんだけど!」


 前家族で凄い高級な肉を食べたことがあったエミだが、それに似ていた。

 この柔らかさ……明らかに数万円の肉質だ。


「次はタレだけど、絶対こっちも美味しい!」

「そうだな! モグモグ!」


 タレの方も食べたエミ達であったが。


「おお! やっぱり美味しい! こんなに美味しいなら、もっと高級なタレ買ってくれば良かったかな!」


 と、エミは普段と変わらぬ、でも安心と信頼の焼肉のタレがかかった肉を目を輝かせるようにして食べた。


 一方ディザの反応はというと……


「…………」

「ディザさん?」


 口に運び、噛んで飲み込む。

 その動作を終えた途端に、動きが完全に止まった。































 まるで……世界の動きが止まったようだ。



















「う、うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 10秒くらい経った後に、ディザは突然発狂したように叫ぶ。

 そして、そのままバタリと倒れてしまう。


「でぃ、ディザさん?」


 気を失っているようで、エミの呼びかけにも応じない。

 しかし、また10秒くらい後に起き上がる。


「美味すぎる……! なんだこれは!! 砂糖と塩とは全然違うぞ!!」

「多分砂糖と塩も入っているけどね」

「そうなのか!? だが、砂糖と塩を混ぜてもこうはならないだろ!」

「他にも色々入っているからね!」

「人間の食べ物は、恐ろしいな! こんなに美味いなんて!」

「気に入って貰えて何よりだよ! 私も料理をしたかいがあったってものだよ! えっへん!」


 その後もディザは肉を食べる。


「やっぱり美味い!! 美味い!! ……う……ま……す……ぎ……て……む……り……」


 再び倒れるが、今度は光の粒子になってカードに向かって吸い込まれた。


「ディザさん!? 美味しすぎて深く気絶したの!? 嘘でしょ!? さっきモンスター相手に、あんなに暴れてたじゃん!!」


 そして、タイミング悪くモンスターがやって来る。


「ええ!? もしかして、うるさくし過ぎた!?」


 あれだけ叫んだのだ。

 モンスターが来てもおかしくはない。


「スラァァ!!」

「ただのスライムじゃない!? これはビッグスライムだ!」


 ビッグスライム。

 中ボスクラスのスライムだ。


「これはやばいんじゃないの!?」

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