第2話 仲間にしたドラゴン、戦い方が暴力的過ぎる
「じゃあ、行くよ! 封印!」
エミがかざしたカードから、眩い光があふれだす。
その光に吸い込まれるように、ドラゴンの体が光の粒子となっていく。
やがて、彼女の目の前からドラゴンは姿を消した。
その代わりに白かったカードに、イラストなどの彩りが加えられる。
「よろしくね! えーと……【地獄破壊龍ディザスタードラゴン】さん?」
カードにはモンスターの名前も記述されていたが、ただのドラゴンではなかったらしく、そこそこ長い名前が記されていた。
「さてと! そろそろ帰ろうっと!」
疲れたからここで野宿でもしようか?
「でも心配させちゃうだろうしなぁ、連絡してもお母さん怒るだろうし。怒られたら気分は最悪だ! 今日はしっかりと帰ろう! ということで、ディザさん召喚!」
ドラゴンのイラストが描かれたカードを、右手の人差し指と中指で挟み、かざす。
すると、まるで地面から現れるように先程のドラゴンが出現した。
ちなみにディザさんとは、エミが決めたドラゴンの新たな呼び名である。
「よっしゃあああ! やっぱり外の空気は美味いぜ! ま、中も快適だったがな!」
「それは良かったね!」
エミはここでディザにお願いをする。
背中に乗って、ダンジョンゲートまで行って欲しいと。
「飛んで行ける範囲に出口があるのか!?」
「多分モンスターは出られないけどね」
現実世界にモンスターは出ることもできず、ダンジョン内で獲得したものを持ち出すこともできないのは、ダンジョン好きであれば周知の事実である。
「仕方ねぇ、乗れ!」
ドラゴンの背中に乗り込むと、そのまま低空飛行であっという間にダンジョンゲートへ到着……しようとしていた。
「ABOOOOOOOOOOOOOOO!!」
「モンスター!?」
なんと彼女達の目の前に現れたのは、巨大なオーガであった。
赤い体にたくましい肉体、いかにも強そうな相手だ。
石でできた巨大なハンマーも持っており、それを構え彼女達へ向かって走る。
どうやら、殺す気らしい。
「スライムとかしか出ないんじゃなかったの!?」
「いつもは出ないんだがな……仕方ねぇ!」
ディザはオーガからハンマーを振り降ろされるが、それを右手で受け止める。
「おお! 強い!」
「だろ?」
ディザはハンマーをそのまま粉砕し、オーガの頭をぶん殴る。
その後、片手で壁にめり込むくらい叩きつけた。
最後に気を失ったオーガを口の中に入れ、それを噛み、胃の中に入れていく。
「た、食べるの!?」
「いくら襲ってきたとはいえ、ただ殺すだけっつーのは悪ぃと思ってよ!」
ディザ曰く、肉質はゴブリンよりも硬めらしい。
☆
次の日。
「私さー! 夏休みの宿題は、残り1日にならないとやらない派じゃなくて、宿題やらずに先生が宿題の存在を忘れるまで引き延ばす派なんだー!」
『よく分からないが、やるべきことはやった方がいいんじゃないのか?』
自室でお菓子を食べながらゲームをするエミ、そしてなぜかダンジョンから持ち出せたディザのカードが机に置かれていた。
一体なぜ……?
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