第17話 Eランク探索者が、Dランクダンジョンでドラゴンと一緒に鉄を採ってみた!
エミは、ディザ、ヒユと共にDランクダンジョンを進んでいく。
カメラマンはヒユに任せ、エミとディザがダンジョン内を探索する。
たまにモンスターと戦闘をし、後は鉱石の採掘だ。
「鉄だ! 売ればお金になるね!」
「グオオオオオオ!」
ディザはいつも通りに、人の言葉を喋らない。
それはなぜだろうか?
(私はまだ中学生だし、普通にダンジョン探索楽しみたいし)
喋るモンスターなど、前代未聞だ。
バレてしまえば、バズる所の話じゃすまないかもしれない。
最悪研究施設に隔離される可能性もある。
そう考えたエミは、動画撮影中はモンスターらしく振舞うようにと、ディザにお願いをしたのだ。
そして、約1時間後。
「よしっ! これくらいでいいかな!」
ダンジョン内で探索を終えたエミはヒユからスマホを受け取り、ポケットにしまう。
ディザはカメラを複数持てるからという理由でヒユをスカウトしたらしいが、結局1台しか使わなかった。
「ヒュ……」
ヒユはどこか寂しそうな眼差しを、エミ……ではなくディザに向けた。
「そんな寂しそうな顔すんなよ! また来てやるからよ! な? また来るよな!」
「え? ああ! 勿論だよ!」
もうこのダンジョンに来る予定は特になかった。
他にもDランクダンジョンはあるので、色んなダンジョンに行こうかと思っていた。
しかし、今のヒユを見ると首を横には振れなかった。
「つーわけだ! 今日の所はここでおさらばするぜ!」
「ヒュ!」
「どうした? 俺の名前か? 俺の名はディザ! 勝手にそう呼ばれているぜ!」
「またね!」
「ヒューッ!!」
エミはディザと共に、ダンジョンをあとにするのであった。
◇
「ヒュドラね~」
パソコンで動画編集をしながら、スマホで「ダンジョン 首9本 竜」で検索をかけてみる。
すると、ヒユそっくりなモンスター、ヒュドラについての解説ページが出てきた。
Sランクモンスターで、毒での攻撃を得意としているらしい……が。
「Dランクダンジョンにいる訳ないよね」
きっと人違いだろう。
エミはスマホ画面をスリープさせると、動画編集を再会する。
動画編集と言っても、余計な部分をカットして少し字幕を付けるくらいだ。
それだけなのだが、今までこういった作業をしたことのないエミにとっては、それだけでも大仕事である。
「うおおおおおおおおおお!!」
エミは気合と根性で、動画編集を終わらせた。
素人感ある仕上がりになったが、実際に素人なので仕方がないだろう。
エミはMytubeに動画を投稿した。
動画タイトルはこうだ。
「“Eランク探索者が、Dランクダンジョンでドラゴンと一緒に鉄を採ってみた!”これでよし!」
勿論鉄を採るだけではない、モンスターとの戦いも収録してある。
主にファイアボールを連発した、ゴリ押しの戦闘動画だが、Eランク探索者がDランクダンジョンのモンスターを倒したという事実が凄いので問題ない。
「どれくらい凄いかは不明だけどね!」
◇
1時間後。
・そんなに凄いことか?
・ドラゴンをテイムしているのは、そこそこ凄いとは思う
そんな感じのコメントが来ていた。
初心者ダンチューバーがコメントを貰えるのは、非常にありがたいことらしい。
なので……
「“ありがとうございます! ネットの世界は広いですね!”っと!」
こんな感じで返信してみた。
「コメント来ただけで、満足かな!」
1つ上のランクのダンジョンを探索しただけでは、そこまで凄くないらしい。
それが分かっただけでも収穫だろう。
「それにしても、流石インターネットだね!」
エミが想像しているよりも、凄いことをしている人は既に沢山いるのだということを、再認識した。
「あっ! そろそろ夜ご飯の時間だ!」
作業に集中していたあまり、時間を忘れていた。
エミは急いで椅子から立ち上がると……
「♪」
丁度スマホに着信が来ていた。
部屋中に、メロディがなり響く。
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