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第11話 S級を超える悪魔、暴食のグラトニーデビル

 金髪お嬢様と3日後に料理対決をすることとなった。

 負ければ、アイスクリーム工場で3日間タダ働きをしなくてはならない。


 貴重な夏休みを減らしたくはないので、負けられない戦いだ。


「ということで、ディザさんには肉を取って来て貰います!」

「肉?」

「うん! 私まだ弱いモンスターしか倒せないから、なんか強そうなモンスター倒して来てよ!」

「強いモンスターの方が美味いのか?」

「そうとも限らないんだけど、どっちかっていうとそういう傾向が強いかな?」

「おお! なら取ってきたら俺にも焼いてくれ!」

「OK! ということで!」


 今は自宅から比較的近い上野ダンジョンにいる。

 エミはそこから出ると、電車で渋谷駅にまでやって来た。


 渋谷駅の近くにもダンジョンがあり、場所が場所なだけに結構なにぎわいだ。


「ディザさん、下の層に潜ってモンスターの肉取って来て!」

『ああ! 任せろ! だが!』

「肉は分けようね! 料理は任せて!」

『よし来たっ! お前はそこで待ってりゃいいんだから、フルパワーで召喚しろ!』


 全部で8000あるコストを全て支払うことにより、ディザをフルパワーで召喚することができる。

 普段は他の魔法が使用できなくなるので、能力を100分の1まで落とすことにより、半分のコストで召喚している。


「しゃーっ! いくぜー! 肉ーっ!」


 大人気海賊漫画の主人公の如く、肉と叫びながらディザは下層へと向かった。


「え!? 潜れってそういう意味じゃないんだけど!?」


 なんとディザはダンジョンの地面を砕き、文字通り下の層へと潜ってしまった。


「あ、塞がった」


 地面に空いた穴は、すぐに塞がったので大事にはならずに済んだが、こんなこと前代未聞である。



「肉肉肉―っ!」


 ディザは次々と地面を突き破り、やがて最下層へとやって来た。


「俺達の肉はどこだ! ……おっ! あいつらは美味そうだな! 一気に5体とは、ラッキーだぜ!」



 ディザが目を付けたのは、とある女性配信者の目の前にいる5体のモンスターのことである。


「はは……みんなごめん……今日で最終回だ……」


 地面に尻を付けた彼女は、剣を握ってはいるが立つ気力も残されていないようだ。

 恐怖を隠した笑顔を、ドローン型カメラに向ける。


・諦めるな!

・今助け呼ぶからとにかく逃げろ!


「コメントありがとう! みんなのことは忘れないからね!」



 本来であれば諦めたくはない。

 だが、目の前にいるモンスターは自分とは格が違う。


 七つの大罪を思わせるモンスターが、ダンジョンには存在する。

 目の前にはそんな七大悪魔の内の1体、グラトニーデビルがいるのだ。


 S級モンスターに分類こそされてはいるものの、それを超える力を持つことは間違いないと言われている。

 今まで討伐されたこともないという。


 おまけにその配下として、S級モンスターであるカオスオーガも4体いる。

 勇者パーティーでも、この状況で生き残るのはきつい。


「私って、ついてないなー……いや、最後にバズって死ねるんだから、配信者としては幸運か……な……」


 実際にバズるかは分からないが、今も同接が多く、更にはグラトニーデビルがいるのであればバズる可能性というのはかなり高いだろう。


・だったら勝ってバズってる所一緒に見ようよ!

・勝たなくてもいい! 逃げろ!


 この状況で逃げるのは難しい。

 それは彼女も、そして配信を見ている皆も分かってはいるのだろうが、それでも希望を捨てるなというメッセージなのだろう。


「そうだよね……! できるだけやってみるよ! なんてったって! 私は配信者だあああああああああああああああああああああああ!!」


 彼女は立ち上がり、剣を思い切り振るう。


 駄目だ。

 当たらない。










 が








「ヌボオオオオオオッ!?」

「え?」


 彼女が剣を振るったその直後のことである。

 モンスター達が吹き飛び、壁にめり込んでいた。


・え!?

・何したんだ!?

・あー、最初から台本だったのか、本気で心配して損したわ。登録解除します

・しょ、衝撃波……?

・衝撃波だとして、あいつら倒せるの?


「えっと……え……?」


 困惑していると、モンスター達は全員光の粒子となって消滅し、ドロップアイテムを落とす。

 だが、なぜか肉だけが現れたと思ったら消えた。


(自分で言うのもなんだけど、私はベテラン探索者なハズなのに、そんな私の目でも正確にはとらえられなかった。でも、確かに何かが通った。私はきっとその何者かのおかげで助かったんだ。多分、同じ探索者仲間だよね? ありがとう! 名も無き探索者!)


・すげー!!

・今同接凄いことになってるぞ!!

・覚醒したのか!!

・ともかく、やらせでもなんでもいい!! 生きててくれてありがとう!!


 いつの日か直接会ってお礼をしたい。

 彼女はそんなことを考えていた。



「っしゃあ!」

「あ! 早かったね!」


 地面を突き破ってエミの前に登場したディザは、ドロップアイテムである肉をエミに渡す。


「ありがとう! この肉、素人目に見てもなんか凄い美味しそうだよ! モンスター強かったでしょ?」


 アイテムボックスにドロップアイテムである肉を収納しながら、エミはディザに問いかけた。


「スライムよりは強かったぞ!」

「いや、それはそうだろうけど」

「だってよ俺、俺がいたダンジョン以外の敵を知らねぇし、さっき戦った敵もすぐ死んだからよく分かんねぇぞ!」

「でも、この肉だったら料理対決で勝てるよ! 向こうが技術ならこっちは素材の味を活かす!」


 勝負は3日後。

 果たしてエミは勝てるのだろうか?

次回料理対決!

負けたらアイスクリーム工場でタダ働き!!


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