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第1話 14歳になった女子中学生、ダンジョンデビューをする

 時は2024年。

 世界にダンジョンが現れてから、今年で10年になる。


 ダンジョンとは、ドラクエなどのゲームに登場するような生物が生息する空間のことである。

 その中を探索する者は、文字通り探索者と呼ばれた。


「これで私もダンジョンデビューだ! 心が躍るぜ!」


 この目を輝かせている少女は、【星札ホシフダエミ】。

 本日2024年7月30日に14歳になった、黒髪ショートの女の子だ。


 14歳になることにより、はれて探索者になる資格が与えられるのである。


 彼女は、近くの森の中にあるダンジョンへ向かって走る。

 走るのだが……


「み、道に迷ったー! 未知の世界を冒険する気で来たのに、道に迷っちゃったー!」


 ついうっかり場所を間違えてしまい、気がついたら今にも崩れそうな崖の上に立っていた。

 下には木がしげっており、その中がどうなっているかは分からないが、落ちたら確実に死ぬレベルの高さである。


 まずは落ち着かなくては。

 そう考えていた彼女であったが。


「え?」


 まるでアニメのように、運悪く彼女の立っていた足場が崩れ、落下してしまう。


「うっそおおおおお!? こんなの絶対骨折するって!! 折角の夏休みなのにー!!」


 彼女以外の人物であれば、まず死を連想しそうなものだが、彼女が連想したのは骨折によって残りの夏休みを病院で過ごす自身の姿であった。

 エミは天に向かって叫びながら、そのまま地面に叩きつけられに行く。

































「いてて……あれ? 怪我してない!」


 立ち上がって手足を眺めるが、どこも怪我をしていない。

 確かに落ちたはずなのだが、少し痛いくらいで済んだ。


「一体どうして? というか、ここは?」


 洞窟のような場所だ。

 そして、上を向くとそこには虹色の渦巻きがあった。


 これはダンジョンゲートというものだ。

 ダンジョンに入る際には、このゲートをくぐる必要がある。


「ってことは、ここは隠しダンジョンって奴では?」


 周囲を見渡し、冷静に今の状況を分析する。


「あのまま地面に叩きつけられてたら、絶対骨折してたからね……私は運がいい!」


 彼女はそっと胸を撫でおろした。


「さてと、折角ダンジョンに来たんだし、スキルを確認しないとね! ステータスオープン!」


 ステータスをオープンし、スキルを確認する。

 そのスキルはwikiにも載っていないスキルであった。


「カードバトラーって何?」


 彼女のスキルは【カードバトラー】といったスキルであった。

 カードと聞くと、最近流行のあれを思い出す。


「ポッケモンカード?」


 気がついたら、カードゲームサイズのカードが右手に収まっていた。

 束になっており、全部で40枚ある。


「ポッケモンカードかぁ! 私やってないけど、あれって確かめっちゃ高値で売れるんだよね!」


 だが、おそらくこれはスキルに使うカード。

 彼女はスキルの詳細を確認する。


「なるほど! このカードにモンスターとかを封印してそれで戦うスキルってことか! やっぱりポッケモンカードだね!」


 しかし、今のカードは白紙だ。

 彼女の持つ40枚のカードには何も書かれていない。


「って言っても、このダンジョンモンスターがいないからなぁ」


 奥へと進みながら辺りを見渡すが、モンスターがいない。

 あっという間に奥へ奥へと行き、ついには階段を10階程降りてしまった。


『勝てそうにないモンスターがいたら、すぐに引き返すこと!』


 これはネットに書かれていた、探索者をやる上で知っておかなくてはならない心得の1つだ。


「モンスターいないなぁ……。でもそのおかげで、引き返さなくて済んでるんだけどね!」


 文字通り勝てそうにないモンスターがいれば戻ろうと考えていたが、そもそもモンスターが出ないので、戻るという発想は無かった。


「それにしても、10層って上級者でも死ぬレベルでしょ? 初ダンジョンでここまで来られる私って、実は凄いんじゃないのか!?」


 と、得意げな表情で行き止まりの箇所まで向かう。

 もしかすると、宝箱があるかもしれないからだ。


「む? 客か?」

「え!?」


 行き止まりにいたのは、黒い皮膚で覆われ、大きな手足や翼をたずさえたドラゴンであった。


「って、モンスターが喋った!?」

「喋っちゃ悪いか?」

「いや、別にいいけどさ! ほら、今の時代多様性だからさ!」

「そうか。それにしてもお前は俺が怖くないのか?」

「なんで?」

「いや、俺の方がかなりデカいし、お前弱そうだからな。でも丁度良かった。皆俺を殺そうとして襲って来る奴ばかりだったからな。話せるモンスターが来てくれて俺は嬉しいぞ!」

「モンスター?」

「ん? 違うのか?」


 エミはドラゴンに人間のことを話した。


「人間……生き物ってことは、やっぱりモンスターと同じなんじゃないか?」

「ちょっと違うかな? それにしても、ドラゴンさんは他の人間に会ったことないの?」

「ないな。ここにいるのはスライムとゴブリンだけだ。定期的にどっからか出てくるが、すぐに食料にしてしまうがな! ただ、そろそろ飽きて来たな」


 ドラゴンはちょっと残念そうにため息をついた。


「いつからここにいるの?」

「10年前くらいだ」

「そんなに!? その前はどこにいたの?」

「分からん! 気がついたらここにいた! お前もそうだろ?」

「言われて見れば確かに……」


 生まれる前の記憶はない。

 というよりも、生まれた時の記憶すらもない。


 おそらく、ほとんどの人間がそうなのではないか?


「そんなもんだ!」

「外に出ようとは思わないの?」


 そう言った瞬間、ドラゴンは目を輝かせ、大きな声を出した。


「外に出られるのか!?」

「勿論! ……って、あっ……」


 エミはドラゴンから目を逸らす。

 モンスターはダンジョンの外へ出ることはできないのだ。


 つまり、他のダンジョンへ連れて行くことも不可能ということになる。


「いや、待てよ!? カードの出番だ!」


 彼女は1枚のカードをドラゴンに見せる。


「なんだそれは?」

「ここに封印すれば、契約成立になって私のモンスターになる! つまりは、ポッケモンみたいに連れて行けるってこと!」

「封印!? 絶対狭いだろ! 嫌だぞ!」

「じゃあ、ずっとここで暮らすの?」

「それも嫌だ! もう飽きた! 契約してやるから、ここから出せ!」

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