オレの仲間になろう
前略。退魔巫女になった私はアメリカに転移させられた。
目を開けたら急にアメリカの砂漠にいた。不安で心の中で両親と先輩と稲荷さまのことを呼んでいたが、神社でのことを思い出すと、私は「自分は今日本に帰れない」と意識した。
「面白い。つまりその『霊脈』でアメリカに来たかい?」
私はある金髪女性の車の中に座っている。今は果てが見えないカリフォルニア砂漠の走行中。
「日本も変なものばかりだなぁ。その『先輩』と呼ばれるやつなかなかやるんじゃ?オレみたいな強い魔法使いだって全然魔力を感じなかったぞ?」
「あの、さっきの警察官は何者ですか?」
「1980年代ってさ、数人のLAPDとCHPの警察官がチームを組んで職権に通じて若い女性を狩っていた」
運転手の金髪の女性が軽い態度で説明している。私は聞きながら外を見ている。
本当に、アメリカに着いたね…
「1989年までに、少なくとも46人の若い女性が彼らに殺された。彼らは1990年逮捕されて、1992年年中に各々監獄に死んだ」
「LAPDとCHP?」
「ロサンゼルス市警察と道路警邏隊だ」
なんか日本の小さな町で生きていた私が絶対に負担できない情報を聞いた。
「最近、この区域では変なことがたくさん起こった。若い女性が一人でこの区域に入るとその警察みたいな未知実体に遭遇して、そして行方不明になる。21人の女性が消えたのに警察はどうしよもねぇ…でもよ、22人目の女性が消える前にスマホでその『警察みたいな実体』の警察番号を家族に教えた。その番号は、1980年代のクズ警察たちの番号と同じだ」
「つもり、悪い警察官の幽霊がこの区域にいるってことですか?」
「正確な叙述は、この区域には知らない異常現象があり、この現象に伴って現れた未知実体は1980年代のクズ警察たちと関係ある、だなぁ。精度が高い叙述が大事だ。まぁ、オレのお仕事はその実体のサンプルをLAPDの技術調査部門に渡すだけさぁ」
「あなたは、警察?」
「オレはただのサブコンだ。一人でスタジオを作って、様々なお客様から様々な依頼を受ける。LAPDの欲しいものを入手したし、今日のお仕事終わりだ。って、オレのことどうでもいい。お前、もう帰れないんだっけ?」
と言いつつ飲料水をくれた。
「いい提案がある。お前、オレの仲間になろう」
「え?」
「お前の言う通り、今のお前が日本に帰れるとすぐに丸吞される。だからオレのパートナーになれば?たくさん面白い相手と戦って、強くなれよ。安全な日本と違う、北米大陸には偉いものと恐ろしいものがたくさんあるぞ。どう思う?」
アメリカで自分を鍛え上げる。女性は重い提案を私に出した。
島国の日本と違う、北米大陸での恐ろしいものってなにかなぁ。さっきみたいな警察の形の未知実体、とか?
不安になって、私は金髪女性の顔を見た。
身長は日本人の男性より長くて、スタイルが日本人女性よりよくて、ちょっと臭くて、服も性格もだらしなくて、運転しながらお尻を掻いている女性。
「断りたくてもいいぜ、ロサンゼルスまでお前を乗せる。そこにも児童保護所があるぞ」
「…児童ではないです」
もしかしてここの人にとって私の顔は完全に子供なの?そうなったら困ります。
この人を信頼してもいいかなぁ?強くなる前に日本に帰るな、凜先輩もこう言ったし。
もしこのままロサンゼルスに行くなら…怖い。東京と大阪どころか神戸にさえ行くことがないのに急に一人でロサンゼルスに行くなんて。
「すみません。わかり、ません…」
泣きたくなった。
何も持っていない。計画も予定もない。急に身寄りのない状況で未知の世界で生きていかなくちゃいけないなんて、ものすごく不安が心の中に芽生えた。
「考えさせて、お願いします」
「悪い、もうすぐ着いたぞ」
「…」
「そもそもそんなに考える必要がないんだろう?考えるよりやってみることこそがいい方法だ。おいみこ、お前は日本の巫女だなぁ?」
車がある建物の前で止まった。
道はここで終わる。これ以上前に進むと砂漠に入る。そして、見るからに動くこともできない、ボロボロなキャンピングカーがここにある。
「これがオレのお家、オレのスタジオだ。お前、今の自分の力を確認できたら覚悟を決められるようになるでしょう?すぐに戦ってみよう」
私は女性と一緒に車から降りた。一体なんですか…
「もう一度質問する。みこ、お前強くならければいけねぇのかい?」
「…はい。これからこの国でなにするのかわかりませんが、強くなりたい、です」
「だったら、こいつと倒せぇ。そしてオレのパートナーになるが、ここを離れて他の場所で修行するのか、自分で判断しよう」
と、お尻を掻きながら、女性は知らない粉末を砂漠に入れた。
「これはお前でも倒せる弱いやつだ。さぁ、やろう」
変なものが地下から現れた。
武器を持っている、苔だらけの死骸でした。
(人・ω・)。o↓↓↓