44話 水属性魔法
一部修正致しました。
【 10歳 秋 】
遂に元素系魔法の3つ目、水属性魔法を教えて貰う事になった。
エルフをして最高難易度と言われる程に発動が難しいらしい。とにかく効果が分離し難いんだそうだ。まず、火と同じく熱を操作できる。そのくせ、土と同じように物質が生成できてしまう。その所為で成功したと思ってても別属性を使ってたなんて事が普通に起こるらしい。
水属性と呼んでいるのは水が生成できるからで、土だと出来ないんだとか。
「土属性魔法で水って作れないんですか?」
「大気から水よ? できる?」
「できないのかな?」
酸素と水素を指定し加圧してみる……
元素番号差が小さすぎて無茶苦茶難しいな……
「……ダメですね」
「でしょ?」
化学反応の工程が足りないわ。
?
あれ? ガラスから酸素は抜けるのに無理なのか?
……一回、疑うのをやめよう、多分見えないだけだ。
対象体積を増やした上で力押ししてみるか。
ん?
「……あっ でき…… ないのか……」
何故だ??
水素が捕まらない感じ?
「出来ちゃうと水属性魔法を覚えるの苦労するかもよ?」
「そうなんですか?」
「水属性は水の生成で覚えるのが一般的だもの」
「うーむ」
「ホント水属性は説明に困るのよね~」
「記憶送信だと無理ですか? まだ水属性は使えないので失敗しても問題は無いと思うんですけど」
「無理無理。水属性を教えようとして火属性と土属性が使えなくなった事例もあるもの」
「そんな事になるんですか?!」
「この3つは特性が似すぎて扱いが難しいのよ。だから水は大体一番最後にされるの。いっそ間違えて火より先に水を覚えた子の方が後々楽になるくらいよ」
「うーん」
情報が足りなすぎっ
そもそも水属性魔法が解らないのに、どうやってマナで水素と酸素を判定してるんだ。
空気から水は成功しなかったので、試しに水から空気への変換も行なってみたがダメだった。
「空気をぎゅーっと絞る感じなんだけどね~」
ロァヴェルナさんの手元から水が滴る。
やはり酸素、水素は忘れてみよう。この世界の人が元素を考慮してると思えないし。
マナで周辺を覆い渦巻くように締め上げて行く……
「……おっ? できたかも?」
「お~ 優秀ね~」
「あっ できなくなった…… あれ? 今、何を触ってたんだろ?!」
「ありがちね~ 一度出来たんだから何回か試すしかないわね」
あれから全然発動しなかったんだが、水以外を試したらいきなり成功した。
くっさーーっ
アンモニアができた…… 換気、換気。
これは液体の魔法ですら無い! カテゴリーを間違えている、水関係無い!
これはあれだ。電子操作の魔法か何かだろ。もしくは電磁波とかかな?
ちょっ まぢ臭ーいっ
電気分解は判るが逆ってできるんだったか?? あっぶね~~ 適当に覚えてた化学式で死にかけた…… 発火や放電が無いので電気とは別原理なんだろうが、化学をもっと記憶できていればーってなる。
水魔法属性怖いわ~
そりゃ窒息や爆発して後継者消えるわ。もしかしたら水が一番死人だしてるんじゃ……
人間の使い手が少ないわけだ。納得だ。
換気してたらメイドにおねしょを疑われた……
違いますが、ご迷惑をお掛けします。
……大体、こんな濃い匂いの尿が出たら死ぬわっ
しかし、良くこんな分かり辛い魔法を認識できたな。気のせいかと思ってしまいそうだ。
「ロァヴェルナさん、火と水って似てるのに良く発見できましたよね」
「当初は同一だと思われていたらしいわよ。暫くして使い手が増えてから結果が異なるって判ったんですって~ もちろん相当昔の話だけどね」
「両方使える人じゃないと差が判らないんじゃないですか?」
「魔法自体が解釈違いで生まれてるからね。両方加熱と冷却ができるでしょ? でも到達可能な温度が全く違うから別物って気付いたのよ」
温度差?
「水属性で冷却?? できるんですか? と言うか、火魔法って氷まで行けるのですか? 違うっ! 水属性で加熱??」
「あれ? どういう解釈してるのかしら? 水の生成が出来ているようだし追加の説明はしないから試してみなさい?」
コップに水を生成する。
ん~、そもそも水属性で加熱できたっけ? 電子操作だろ?
あ~~ ヒーターか。電子動かして抵抗値で発熱量が決まると……
いや待て待て、水に抵抗値??
第一、操作するのは電子だぞ?!
……電流値を上げろと?! 動かす量を増やせば良いのか? 一瞬で終わるぞ?
いや、できるわ。電子を最短距離を流すんじゃなく、ぐるぐる回し続ければ良いのか。
試してみる。
「できた?」
「今のところ加熱は何とか……」
できてはいるが、発熱もかなりゆっくりだ。
水の抵抗値低すぎっ
あと、動かせる電子も少ないのか。
「冷却はその応用で熱を移動させるのよ。火と同じ考えだと失敗するのよね~」
うー、難しい。冷却?? 火と違うって言ったって……
「熱を鎮めるんじゃなく?」
どういう理論だ?
「そう止める訳じゃないの。移動ね。片方が熱くなるように操作すると良いかも」
……おぅ! ペルチェか! 冷却と言うか吸熱!
「できそう。で、できた!! できたーーっ」
難いわっっ
半導体も無しに電子移動できるんだから無っ茶苦茶。火じゃなく水を先に覚えた人は冷却しろって言われて相当試行錯誤したんじゃなかろうか。
「お~流石だね~ 良い生徒! この早さはエルフでも中々いないよ~」
抱きしめられる。
胸当たってます! この人、スキンシップ激しい~
抱きつき返しっ
「お~、グッと来た?」
来てないぞ! ダメダメ
「こう言うやり取りも良いよね~ うふふ」
揶揄うだけなら良いのだけど、どっちだ?
水属性魔法が若干理解できた気がする。
たださ、氷まで行けそうにない水魔法ってどうなのさ。
試したら火の方が低温に行けたわ。
火の玉と同じだな。氷の魔法を再現するにしても、水を生成してから冷却するんじゃ実用性は無さそうだ。飛ばすのは別の手段が必要だしさ。攻撃には使えないわ。
なんか地味だよなぁ
折角覚えた水属性魔法なんだが、使い道が全く思いつかない。
素材の形状変更は土属性の方が楽だし、加熱は火属性の方が楽なんだ。一般的な物語のように火と氷な分別だったら活用の機会もあったろうが、電子とか電気の操作だぞ? 化学の知識無いから電気分解とか電気メッキとかに使うにも対象となる溶媒が用意できない。
電子レンジの代わりができるかもだが、囲いも無しにやって、後から他の電子線が当たってました、とかは嫌だろ?
魔力もあるから大電力な何かもできるのだろうに、その何かが思いつかない。
レールガンとか試すか?
正直、原理の詳細を知らないからやる気が起きない。後ろに飛んだらどうすんだって感じよ。
他に何か電力を必要とするもの無いかな~
取り合えず磁石を作ってみた……
磁石を何に使えと? って言う話なのよねぇ
【 晩秋 】
立て続けに妹が2人できた。
俺のやらかしによるものだが大きくなっても真相はバレて欲しくない。
だって、反抗期に反抗されそうじゃん~
赤ちゃんが小さい内は余り人と会わせない文化なんだが、すぐ下の妹2人と養妹は手伝いで会ってるらしい。可愛いー、可愛いーのと説明になってない説明を受けた。手伝い中は外での訓練は中止らしく、時間がある時は俺が3人に魔法を教える事にした。
3人は優秀なようで生命属性の身体強化の他、生命属性の光操作と火属性の加熱まで使えるようになった。俺にとっては土属性の方が簡単なんだが、エルフでは火属性を優先するらしいので助言に従う事にしたんだ。
「「「暖か~い」」」
冬前だし丁度良かったかな。
土属性魔法での気体から液体への変換は、最初に必要量の体積を指定する必要があります。
水属性魔法では手元で化学反応をさせ続けると言う違いがあったりします。
別の理由で土属性の液体合成は難しいです。
作者も調査中…… 無理なのかなぁ
他の作品の水魔法とは違い、空気から製造してる関係上大量には出せません。
大量に出すと気圧が下がるし、局所的に酸素が減るんじゃないかな?
電子レンジは原理的に再現不可能です。レールガンはできそうな気がします。
一部削除……




