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37話  生命属性魔法

表現は大幅に配慮したつもりです。

 【 9歳 初冬 】



 商人たちの話ではうどんとピザの影響で小麦が追加注文されたらしい。

おまけでチーズも固定客ができたわけだ。


それと、酒が結構売れたとの事だった。

どれが売れるか判らないので他領産の珍しい物やウチの領でも希少な物まで種類を揃えてみたらしい。


一応は全部買い取っては貰えたらしいが、他領の物は販売価格で割に合わず。ウチの領の物でも原料の違いで好みが随分と分かれたそうだ。


よしよし、そう言った情報が欲しいのだ。

売れるなら増産したら良いさ。当然味の改良も、工程の見直しも必要だろう。


一番評価が高かったのはカクマクアと言う名前の苺に似た作物のお酒だった。

植生は似てるんだが、苺より遥かにデカいし硬い。

領内の人気はそれ程でも無いが高く売れるなら増産だな。




 【 冬 】



 ちょっとした思い付きから新魔法ができた。


極表面回復魔法である!



そばかすが魅力的(チャームポイント)なメイドさんが居たのよ。

でな、そばかすとは何ぞや? って疑問にぶつかったのだ。


日焼けなのか?


思考の海に溺れ長々と見つめていたらしく、視線に気付いたメイドさんとロァヴェルナさんに問い詰められたんだ。で、何と言い訳しようか迷ったんだが、そのまま聞く事にした。


「そばかすって何なのでしょうか?」

「くっ ふふふっ 何で彼女を見つめてたのかと思ったらそんな事考えてたの?」

「さぁ、何なんでしょうか?」

二人とも首を捻る。


「これって治癒魔法で治らないのですか?」

「怪我じゃないし治らないんじゃないかしら?」

「皮膚を削ってから回復掛けたら消えるんでしょうけど、そこまでする気にはなれないですね」

「怖い怖い」

メイドさんの案ならいけるらしいがそこまでの話じゃない。


ただの思い付きだが実験に付き合って貰おう。


メイドさんに顔を貸してもらう。


まずは位置の確認。目視じゃ深さは判らんがな。


表面から奥へと治癒魔法で干渉してみる。

多少多めに魔力を込めるが一切変化が無いようだ。

土属性魔法での干渉も元素番号の差が小さく量も少ないため判別できず。


色素が異物だったら排泄(はいせつ)されるだろうしなぁ

必要があって細胞が作り出した物では治癒の対象では無いのか?


ん~


でも実際、日焼けは時間が経てば(おさ)まるじゃないか。


新しい皮膚のサイクルが増えれば良いのか?

(あか)として表面が削れて行けば消えるんだろうか?

と言うか、脱皮出来たら解決しそうなんだけどなぁ



生命属性魔法は細胞の力を強くできる。

ではなぜこれで回復しないのだろう?


……


この際、表面を無視して魔法の範囲を内部、真皮(しんぴ)のみに制限してみようか。



……何だろ微妙に効果がある気がする。


逆の効果も追加してみるか。


表皮(ひょうひ)弱体化(デバフ)、真皮に強化(バフ)

両手のそれぞれで逆の効果の魔法を使う。


お~

何か良いぞ!


「器用ね~、ホント……」

「……」


両手でメイドさんの顔をふにふに触りながら魔法を続行する。

もうひと押し……


よし、追加じゃ!

血管内部健全化、血流上昇させ発汗を(うなが)しつつ表皮の古い角質を落とす(ピーリング)


瑞々しさよ、来たれいっっ!

大・再・生っ!!



お~、中々良いんじゃね?


思い付きでやっただけだが、指でつつくとかなり皮膚が柔らかくなってるように感じる。

つるつるプニプニで、そばかすどころか肌の色が白くなってる気がするわ。


メイドさんも姿見魔法で自分の状況を見ているのか、見開いた目がちょっと怖い!


……


……やっっばっ


収拾(しゅうしゅう)が付かん。消しゴム掛けてるみたいだ。どんどん落ちる。

「えーと、首までで良いk「お願いしまーすっ」」


うおぃ!

メイドさんが服を脱ぎだした。


俺は今、両手(ふさ)がってるんですが……

どう言う状態だ? ロァヴェルナさんの視線が痛い。


女性の首を両手で撫でまわす男児と中腰で服を脱いでる少女、そしてそれを頬杖付いて眺める妙齢の女性。

カオスだ。


この場に警察が来たとしたら一体誰が捕まるのだろうか……


「ちょ、どうしろと?」

9歳とは言え男の前で全裸は無いだろ。躊躇(ちゅうちょ)しろ躊躇っ


「真っ赤よ?」

「えっ?」

手元を確認するが白く見える。


「いえ、あなたの顔が」

「しょーがないでしょ!!」

「ふふふっ わたしもやって貰おうかしら」



フ、フルメンテナンス完了しました……


疲れた、精神が持たんわ。




 翌朝、朝の食卓で俺を見る母の目が怖い。


もしかして言ったのか?!

俺は被害者だろっ!!


急いでご飯を食べ、撤収(てっしゅう)(はか)る。

「ちょっといらっしゃい」


やっばっっ


「あれはしょーがなかったのですっ」

振り返りもせず脱兎(だっと)と化す。


あんなのの説教とか、どんな羞恥プレイだっ

だいたい、罪状は何よぉ


母、安定の高機動モード。俺の両足が床から離れる。

終わった(なーむー)……



俺は個室に連れていかれ、状況説明と弁明をする事になった。


弁明をしていたはずが何故か効果の説明に……

そして何故か母とメイド長の治療をする事になった……


()せぬー



母のお肌のケアをした。


驚きの白さっ 元はこんなに白いんか……

母、白っ! 白っ!!


日焼けしてない人に施しても意味無いと思ったが、日の当たらない肌も、もやし状態まで行くようだ。何より肌のぷにぷに具合が凄い上がった。


二人から(かつ)て無い感謝の言葉を戴いたが、母からの次の言葉には本気で許しを()うた。


俺の本気の懇願(こんがん)も届かず、追加である人を治療する事に。



施術(せじゅつ)に際し前以(まえもっ)てロァヴェルナさんに(おけ)へ氷を用意して貰う。


次の治療対象は当家のラスボス! 父である!


両手で触らなければいけない関係上、間違っても父のお野菜(アレ)収穫時期に(大 き く)なられても困る!!



治療中はガンガンに冷やしながら行なった。

「これは中々恥ずかし…… ん、ぐぅぇあ」


それは俺のセリフだっ!

泣きたいっっ!!!



「あの…… ルァニエスさん、ちょっとお願いあるのですけど……」


俺の(いや)し枠、次妻(じさい)のウァルエルタさんが話掛けて来た。

当然あの件だろうが……


「いろいろとその、こちらも恥ずかしいのですが……」

「私だって恥ずかしいですが、エルフでも無理って聞いたのですけど…… 目隠ししながらとかではどうですか?」

「たぶん(まだら)になるし、時間が掛かるだけなんじゃないかと……」



両親達の仲が一層良くなり家の雰囲気も良くなった。


ただ、恥ずかしすぎる!


とりあえず、誰かに教えるか?

父が覚えれば良いのだろうが、父って肉体強化以外全く使えないのよね。


いや、いっそ魔道具化できないだろうか?

眼鏡と同じで人によって違うなら専用の道具にしてしまえば良いんじゃないか?


検討しよう。

色と潤いで機能を分けても良いだろうしな。


誰かに刺されてからじゃ遅いんだよ!




 冬の寒さがきつくなって来た頃、火属性魔法を教わった。


ただし、加熱以外は後日との事。

使い方が特殊らしく、原理を理解しないと難しいらしい。


「暖かい~」

「まずはその感覚だけを覚えてね。人によっては土属性が使えなくなったりするから」

「解りました」


今は河原石を加熱している。

火属性魔法で直接分子を振動させてるんだ。


そりゃ火球なんてありえんな……


火、土、水が連続で覚えれない理由だが、この3つが原子を対象にする点で同じだからだ。

無理では無いだろうが似ているので混乱してしまうらしい。


なるほどだよね~


それと土属性同様、軽元素の方が効率が良いみたいだ。

魔道具の事もあるし、これが置けるくらい耐熱性のある素材でも作れないかな?


と、思ったが諦めて土魔法で河原石を載せる土台の形状を工夫して終わった。

そんな化学系の知識、当然無いもん。




 【 晩冬 】



 ロァヴェルナさんの希望でエルフの集落に一時帰省した。

今回は贈り物としてハサミと爪切りを持って来てみた。

各長老に一つずつだけどな。


受け取っては貰えたが反応は微妙だ。

鉄が嫌いなのかな?


理由を聞くと刃物は()ぐと()り減るから使い難いらしい。


石と違い鉄は簡単に補充できないので修理ができない事で使うのが躊躇(ためら)われるそうだ。

村の立ち上げを何度も行なったので、手に入り易い材料を使う習慣になったらしい。


寿命が長いからそう思うんだろうが、そんなに削れんだろ。

もし気に入ってくれたら、是非追加で注文して欲しいものだ。



集落を歩いているとエルフの女性たちに拉致(らち)された……

着いて早々、ロァヴェルナさんが皆さんに自慢したらしい。


その所為で夕飯まで治療し、夕飯後も治療する羽目になった……


やーばーいーっ

エルフの男性に刺されかねない!


……!


いや、あいつらなら出来るんじゃね?



翌朝、女性陣に捕まる前に男性を捕まえ相談した。

刺されたくないからな!


希望者に教えると伝えたところ尋常(じんじょう)じゃない数が集まった。

ひと先ず生命属性が得意な人を優先でって思ったのだが、ここでエルフのポンコツっぷりを聞かされる。


何と、エルフで治癒が得意な男性は存在しないらしい……

ウチの父様かな?



聞けば、理由もつまらん。

何と、治癒は女性にして貰うものらしい!


傷を負ったら大げさに振る舞い、それを優しく治療して貰うのがお約束(マナー)らしいんだ。


ふざけてんのか?!


男性は治療されたいから治療を覚えず、女性もモテたいから治療は習熟(しゅうじゅく)する。

お互いモテたいが為に利害が一致したらしい。


死ぬぞ、おまえらっ!!



美白魔法に特化したらモテるかもしれないだろ?

良いから、覚えろっ!


取り合えず、両手でそれぞれ強化、弱体化を覚えて貰う。

後は皮膚の深度だけだ。



難航(なんこう)するかと思ったのだが、ヤル気の出た男性エルフたちの本気は凄まじい。


俺の両手で別々の魔法を使う技をあっけなく模倣してみせた。

上から目線が(マウント)したかった訳じゃないが、少しは苦労して欲しかったよ……



その後、表皮、真皮の説明をすると彼らは自らの足の皮膚を躊躇無く切り、傷口を光魔法で拡大、目視しながらできるまで回数を(こな)し、その日の夕方には美白魔法が使えるようになっていた。


俺は両手で2種類ずつ同時に行なうのだが、彼らは2工程を選び潤い魔法は美白魔法の後にするらしい。難しいと言ってるがウソくせ~ 時間掛けたいだけだろっ


しっかし、身体強化はできるんだからできるとは思っていたが、早すぎっ



この夜、彼らは意中の方に技を披露(ひろう)しに行くのだろう。

皆、何ともご機嫌である。


俺としては恨まれなければどうでも良いよ……


この日、エルフの森に新たなる伝統が生まれた。



ちなみに、彼らは未だに傷の治療だけはできないと言い張っていた。


そっちも継続するんだ……

紳士だ(ブレない)な……




 この年、俺に弟妹ができる事が判り、エルフの集落にもベビーブームの訪れが判明した。



ちょっとした思い付きで大惨事っ


第二婦人は後妻じゃないし妾でも無いので、次妻としてます。


鏡を作るのにガラス板へ蒸着する技が美白魔法の技に繋がっていたりします。


彼らはデートに誘う為なら血まみれも(いと)いません。

誰が始めたか判らない程に古い、エルフのコミックなロマンス。

「伝えたいことがあるんだ……」     ♪



この物語のエルフは青春の時期が凄い長いんです。

当然、性よk(ry




今回の更新はここまで。


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