35話 光属性魔法
【 9歳 秋 】
ロァヴェルナさんに回復魔法を教えて貰えた。
本当は火属性魔法の使い方を教えて貰おうと思ったのだが、順番があるらしく回復魔法からとなった。どうも俺が弱すぎて回復系魔法が最優先ってのと、土、火、水の 3つは連続だと覚え難いそうだ。
うん。覚える順番で難易度が変わるなんて、こっちの教科書には一切載ってない内容だ。
ちなみに、火は火球を飛ばすような魔法では無いらしい。
その発想が判らないとまで言われてしまった。
「そのまま加熱、燃焼するならまだしも、飛ばすんじゃ躱す猶予ができるんじゃない?」
「そうなのかな?」
「まぁ、相手に近づきたくないって気持ちは解かるけど、飛ばすって事が既に風属性じゃない」
できなくは無いが複数の属性使って、更に損失しないように補助してやっとできるかも? らしい。
そうなのかもな。
確かに火の玉って当たって痛いのか?
ナパーム弾のように、張り付いて焼き続けるほうがダメージがある気がする。
まぁ、どのみち後回しだ。
……
何と言うか、教師としての力量が全然違う。
塩の精製魔法の時にも思ったが、兎に角、理論的で合理的だ。
「回復というのは、体内のマナを傷口に集める事で再生力を増やす魔法なのよ。だからマナが理解できている以上、あなたは使えるはずなのね。ひとまず、使える事を疑ってはダメよ?」
「はい」
「その上で土属性とはマナの扱い方が全く違います。塩精製の時に血を土属性で操ったけど、粒として扱ったでしょ? 生命属性では生き物として認識しないといけないの」
「生命属性?」
「そう。生命属性は体の一部一部を生き物と「生命属性?」して…… ん?」
「無属性では無いのですか?」
「無属性って何??」
「あっれ~ そこからなのか……」
「?」
「生命属性でお願いします。すいません。続きを教えてください!」
……
すげー、すげー、すげーっ
追加で少々説明して貰ったあと、あっけなく使えるようになった。
言葉遊びで解決したって訳じゃない。
ほんとにマナを込める対象をきちんと認識しないと魔法が働かないんだわ。
土属性魔法は原子、分子に対してマナを込めてたけど、生命属性は細胞に対して込めないとだめなのだ。
例えば骨折の場合、骨にカルシウムとしてマナを込めても再生力など発揮しない。
再生させるに骨細胞として意識した上でマナを込めないといけないのだ。
だからこそ他人がけが人に回復魔法を施せるんだわ。
理解した。
その人のマナを傷口に移動させただけなのね。
そのあとは強化された細胞の力で回復してるんだ。
これが間違って無属性って別途分類された理由でもある。
他の属性魔法に他人のマナで起動できる物は無いんだわ。
真実は自己治癒自体は生き物の能力で、魔法で治癒した訳じゃないって事なんだ。
マナを集めた回復能力強化。強化魔法なんだな。
凄い衝撃だ。魔法の教科書に追記しようと思ったが、止めだ。
もう、新規で書くわっ
根本から間違えすぎっ
道理で複数の魔法が使えない訳だわ。
自分の中で属性を変化させてる、とかなんかじゃない。
魔力の供給先を変えろって話なんだ。
その感覚を掴めた人だけが複数使えるようになってるんだな。
誰か気付いて残そうとしなかったのかな?
この日は追加で知覚強化、身体強化を教えて貰った。
生命属性魔法か……
うん。そりゃ、同系列だよな。納得だわ。
そーだよな。土属性を覚えたら生命属性が使えないのも納得したわ、ホント。
そしてマナを目視する方法も習得できた。
知覚強化で、色では無く明るさの感度を強化すると見えた。
弱体化とは違うので痛く無い。
目の構造知らないから助かるわ~
◆
父に魔法の属性の事を話し、兵士の為にエルフの先生を追加で呼んで貰おうと提案した。
「無理だな」
「金銭的に?」
「そうでは無く、一人派遣して貰ってる時点でかなり幸運なんだ。敵対しないか未だ不明な勢力を鍛えてくださいとは言えないだろ」
「それもそうかもですが…… こんなに差があるのに敵対します?」
「我々が強くなったとして、隣国の人間が教えて欲しい、金は払うと言って来たら教えるか?」
「なるほど、そうなるのか~」
「まずは隣人として信頼を得なさい。子供だから許されてる面もある。彼らも人間側と仲良くなれるか模索してるのさ」
「はい」
「……良いかい。もし私が判断を間違ってると思う事が起きるようなら、迷わずエルフ側に付きなさい。結果的にそれが人間という種族全体の為になるだろうしな」
「……間違っては嫌ですよ?」
もみくちゃに撫でられた。
「まー、程よい距離の隣人と言うのが理想だな」
「そうですね~」
こればっかりは文化の違いで争ったり、商人が暴走したりするかもしれないから予想ができない。
誰かが争うと言うなら、絶対に妨害してやろうじゃないかっ!
◆
今日はロァヴェルナさんを連れて養護院に来た。
勉強ばかりも何だし、飽きさせる訳にはいかないからな!
なもんで今日はうどんデーに決めました。
「うわぁ きれ~」
「若様、だぁれ?」
ここ、いつも人多いな。卒院してるだろうに減らないのか?
飢饉の類は起きて無いはずなんだけど。
「ちっさーっ いっぱいね~ 愛らし~」
「「えへへっ~」」
「 16歳までの子供が居るんですよ」
「今日はこの子達と遊ぶの?」
「この子達も勉強や仕事あるはずなので、時間が空いてればですけどね」
「そうなんだ……」
小さな子達がロァヴェルナさんを取り囲み、周りをくるくる回っている。
おまえら、それは何かの儀式か……
そして何故かロァヴェルナさんも釣られて回りだしてるから不思議。
楽しいなら良いけどさ。
管理者に子供の数を聞いたところ、例年より入ってくる数は減ってはいるらしい。
それでも全く無いって事は無いそうだ。
減った理由は南の森が開墾されたからで、今は各集落から人が出て余裕ができたからだ。
ただ、しばらくしたら緩やかに増えだすだろうとの事。
その理由も単純で、開墾してそこに新たな社宅ができたって事は世帯数が増えるんだわ。
元の家族側もいままで我慢してた所は余裕があれば増えだすはずだと。
まぁ、10年は先の事だとは思うがな。
今日はロァヴェルナさんに距離属性魔法で小麦を運んで貰ったので差し入れにしようと思う。珍しいだろうし子供達と一緒に製粉し、小麦粉を練り、うどんを打った。
全員分は結構大変だが、ここの子は普段からしてるので手慣れている。
その後、お昼を一緒に食べ、お昼寝してから領主邸に帰った。
「楽しかったですか?」
ロァヴェルナさんは終始にっこにこだ。
「小さい子があんなに居る光景を見たのは初めてだわ。幸せが溢れてる感じよねぇ」
独特な感想だな。
エルフじゃ有り得ないんだろうけどさ。
そしてお昼を過ぎ、お暇をしているエルフのお二人にお土産のうどんを渡した。
「「これは?」」
「うどんです。小麦粉を練った物で、茹でたり炒めて食べるんですけど」
「へ~ ねぇ、これ、色が違うけどアレに似てない?」
「あー、似てるって言えば似てなくも無いかもしれないわね」
聞くと、どうもエルフ領には葛切りのような物があったそうだ。
ただ人気が出ず、今はほとんど食べられては居ないらしい。
その後うどんを食べ、気に入った二人は養護院を訪ねる事となり、子供達に懐かれ入浸る事となった。
◆
今日、光魔法を覚えた。
それほど難しくは無かったんだ。
ただ、ちょっと衝撃的な事実を知って混乱している。
光属性って魔法の属性は無いらしい。
おかしいだろ? 使えてるんだしさ。
人間が『光』と『無』って呼んでるものはやってる事が同じらしく、同属性扱いなのだとか。エルフの解釈ではこの二つは両方とも生命属性との事らしい。
光るのに?
そして、これと対局だと考え、人間が『闇』と呼んでるのは精神属性との事だ。
こちらは年齢が上がるまで教えてくれないそうだ。危ないってさ。
分類から違うとかさ!!
習って良かったーーっ
自分だけでやってたら絶対たどり着けなかったわっ
で、何で生命属性なのに光が曲がるんだって?
気合らしい……
説明になってねーっ
いや、出来るんだけどさ!
マナがある一定の量を超えると光れるし、光を曲げれるらしい。音もだ。
物理法則が仕事してない!
いや、副業してるっ!!
「生命の属性で遮光もできるのよ? 光とか闇って分類だと理解に困らないのかしら?」
「人間に使い手が少ないのを考えると困ってるんじゃないですかね?」
魔力があれば自力で超生命体になれるのか?
いよいよ、魔力量多いエルフとは争えないだろっ
ようやく書きたかった魔法考察!
エピソードタイトルに書いといてなんですが、光属性さん消えました。
今後光属性とは出てきませんが、光魔法(光を操る生命属性魔法)としては文章で出てきます。
気合は超重要です!
この世界のエルフはスーパーなヤサイ人になれます。
ブックマーク増えました。してくれた方ありがと~~




