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13話  土属性魔法   / 未知と不可知 2

 【 7歳 初夏 】



 紙の第二次試作計画。

ちょうど良い植物が見つからないー

周りにいっぱい草はあるが使えそうなものが無い、漂白も出来ないしな。


正直山羊の(ふん)を洗った方が適当な繊維が取り出せそうな気がするわ~

こんなに苦労する物なのだろうか……


煮込んで柔らかくするより発酵させた方が良いかもしれん。無駄に繊維が頑強だ。

いっそ岩海苔でも探して白いインクで書く方向で行くか? 強度に問題が出るだろうか?

とりあえず草が枯れる秋に再度探すか~




 商人に依頼した物が到着した。

米の導入準備として水路の構築を領兵が行ってくれる事に。


領主邸の東の川より実験用に水路を引いて貰う、かなり小さいが水田用を確保。

無いとは思うが河川が氾濫したら困るからな、ほんの少しだけ水取り用に引いて貰う。



授業で習っても使える気配の無い魔法を間近で見る機会が訪れた!


「魔法使うとき手を触ってても良い?」

「マナは流さないでくださいよ」

「そのマナの働きが判らなくて……」

「なるほど…… 触ってみて結果が出るか判りませんがやってみましょうか」


何かをしてるのしか判らなかった…… 



「まずは対象を包む事を試して見るべきでしょう。石を持って自分の中にあるマナで接続し自分の一部と思い込むのです。自分の腕なら曲がるはずでしょう?」


思い込む…… 思い込む……


その日は覚えれず、持ち帰った石で部屋で練習する事にした。


まー、それでもダメで領兵にお願いし、仕事帰りに違う種類の石をいくつか持って帰って貰った。



それでもダメで……


属性との相性なのか?! 土魔法の適正無し?!

マナは判るが土に干渉する意味が判らん!

誰か使える他の人に聞くことにした。教え上手な人は居ないものなのか?



商人なら顔が広いと思って尋ねたところ、行商人の一人が使えたので話をする事になった。

その人も自分の一部と思い込むって習ったらしいんだが、同じく苦労したらしい。


そこでもっと具体的に白い石を持って「これは俺の骨だ!」ってやったらできたらしい。


無茶苦茶だな……


だがそっちの方ができそうな気がしてきた。

感謝の言葉を伝え、白い石を収集して帰宅。



骨だ! カルシウムだ!

頑丈、骨太…… これは俺の指だ!


適正無しなのか?



そこから小一時間続けるも変化無し。

んぅ~む


……


白い石を歯で軽く噛む……



「歯ぁ~っ!」


何かが通った! んな馬鹿な……

ガムみたいに石が曲がる!


何だこれは……


やっといて何だが原理が判らん。

いや待て、そうじゃねぇ! 慌てて吐き出し舌で自分の歯の方を確認する。


……よ、良かったーーっ、無事ですよ! あなた!!



もうちょっと安全な鍛錬方法を考えよう。

ちょっと焦ったわ。巨大な歯石ができるかと思ったぞ。


完全に教え方じゃねーか!!

しかし、何とか土魔法を覚えたぞっ!!




 一度できれば包むとか通すって感覚が掴めてきて、負荷があるもののホンの少し離れても包めた。

この感覚の文章化、表現は難しいな。

自分の一部と誤認させると良いのだが、そうすると思い込むって表現になるから最初に教えてくれた魔法使いは間違ってない。


そうだな、手の神経を研ぎ澄まして輪郭を確認しようとしてもできるようで出来ないだろ?

目を瞑って6本目の指を想像して行えばできてしまうのだ。

この誤認を意図的にできれば包めるはずだ、判らんが。

こっちの人間の臓器の数が前世と同じかも不明だからなぁ

まぁ、どのみち文章化は難しいのよ~


繋がっていれば自分の体を動かすように抵抗無く曲がる。

いや、抵抗はあるんだが筋肉が疲れるって部分が体力じゃなくマナなのだ。



すっげーー嬉しい。異世界に来た実感が湧いてくるわ~




 土魔法の使用感想。

岩の造成、形状変更が可能。建物が岩っぽいのも納得、便利ではある。

しっかし、意外と使えねーなぁ


色々確認していくが土と砂は感覚が違うな……

これ、どちらかと言うと石魔法じゃないのか? 土を土のまま操作する方が難しい。


セラミックを作る事はできないのかな?

材料が違うのか、粒子の細かさが必要なのか……

綺麗な色の粘土を作れたら商売になりそうじゃね?


領内に焼き物をする人居ないかな?

でもさ、そういやこの世界、そもそも炭使って無いんだよね……


壺とかもなんか材質が違うし、汚いガラスのような物なんだよねぇ


王都に行けばもっと便利な使い方を学べる可能性はあるのかね? 凄い不安になるわ~




 農業技術の研究~

水田とは別に普通の畑も作る、もちろん小さいぞ!

間隔を離して植えて実験だ。

ついでに肥料の実験をしようと思う。山羊の糞、バッタ、狩りの廃材……


なんでこんなに材料があるのに肥料になって無いんだろ?

少し離れた場所に生ごみを積んで貰い蠅が来ないよう土を掛ける。


……理由は蠅やミミズもでかいからだった。

蠅が5cmを超えるんだぜ。対策しないとダメだな。


蠅対策に綿毛ちゃんに出陣して貰う。

枠を作ってゴールネットのように三方向、上も入れると四方向囲んで貰った。


俺はできんがメイドさんは意思疎通できているっぽい。


「完全にできるわけじゃないですよ? 網は偶にお願いする事があるんですよ」


そうなんだ…… 綿毛ちゃん、働き者だな~


「なるほど~」




 空いた時間で紙製造の改良を行なう。

……糊を作ろうと思ったが玄米じゃ無理だな。

多分だがべとべとする部分は中央だけなのだろう、分離するか全部米粉にした方が良さそうだ。


土魔法ですり鉢を作ってごーりごーり……

結構精米って奥が深いな。

棒も改良しよう。


何故か最終的に石臼みたいな恰好になった。

精米してから米粉にすると目的は果たせたが別の何か探したほうが良い気がするわ~


米が食べたくなってきた……

田を拡張したいがホントに農家になってしまいそうなので我慢だ。

ここで米に向かうと番組変更のお知らせになるぞ。


ぃゃ…… いやいや。

藁増産は一考に価するのでは在るまいか?

そう、紙は必要だよな! 食用分の米も確保するがね。




 【 閑話 】   母の展望


「商人から見てあの子は投資のし甲斐はあるのかしら?」

「今回が失敗であろうとすぐに別の商品を見つけ出すでしょう。そしていつかは当てると思います」


「……あなたの下の()を行儀見習いで預かっても良いわよ」


「……良いのですか?」

「一先ずは娘の遊び相手として連れてきなさい。あの子が商人や学者になるにせよどこかの貴族に婿入りするにしろ、この領の商人に協力者が居た方が良いもの。もちろん断っても(とが)めはしないわ」

「是非、宜しくお願い致します」



「もう少し落ち着きが出てくれると良いのだけど、何とかならないものかしら?」

「好奇心を抑え込んでしまえば落ち着かれるでしょうが……」

「好奇心が本体の様なものだから無理ねぇ」

「……でしょうなぁ」


「体も気も弱いのに安全だと判るとすぐ行動範囲を広げるんだもの」

「気付かれない程度に褒めて誘導するのが良いかもしれないですなぁ」

「それは良いわね。一人で行動する事も無いでしょうし指南書(マニュアル)でも作ろうかしら」

「それが宜しいかと」




__________


 【 未知と不可知 2 】



好奇心は未知との出会いから起きる。


もしも誰かがその未知を既知の物であると証明してしまえば、年齢に関係無く好奇心は失われてしまうだろう。   

つまり未知の持つ、不確(ふたし)かな価値こそが好奇心を生むのだ。


子供は未知が多くあるが故に、多くの事柄を知ろうとする。


親は子の行く末を狭める事も広げる事もできるだろう。


だからこそ、心得て欲しい。


その子供の今の可能性は不可知である。



ようやく魔法習得!

未だ小1くらいなので当然早いです。文字はひらがなしか無いので特別秀才扱いされてません。


主人公は自分の取説がメイドに配布された事を知らない……



最終話まで書いてますが、整合性と話しの増強の為にちょっと間を開けます。

毎日同じ時間に投稿するより一日に何回かを求められてるようです。


もし、続きが気になって貰えましたら是非っ ブックマークお願いします!

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