0話 コールドオープン
【 とある秋の日 】
俺は何かバチの当たる事をしたのだろうか?
異世界に転生して早 11年、俺は今、安全装置も着けずに空を飛んでいる。
魔法が何かを理解してからなら僅か 5年しか経っていないってのにだ。
いや、4年かな? つーか、飛ぶ練習に関してはひと月もしてねーわっ
正直、夢なら早急に覚めて欲しいっっ!
◆
ただ海が見たいな~とか思っただけなのに、向かった先の森でエルフに出会ってしまった事で俺の人生はハードモードに突入したらしい。巨大なナメクジに丸呑みされるわ、雲より高い山の上からダイビングさせられるわと、現在進行形で散々な目にあっているのだ。
今回だって秋の祭り用のお肉を獲りに行くから一緒について来いって、エルフが言い出したのが始まりだぞっ 小学生くらいの子供を気軽に酸素も届かないところへ連れてくんなと言いたい。
今、周りでは山脈の頂上より飛びたった大量のエルフが、魔法と体術を駆使して風に乗りサーフィンをしている。ここから 2班ずつ 3部隊に別れ獲物を捕獲し、ゆっくりと地上に降ろす予定なのさ。
そして、その狙う獲物とは何と 4本脚に2枚の羽を持つ空飛ぶ鰻っ
山羊みたいな頭なのに細長い胴体。
去年肉を食べた時はこんな形をしてるなんて思ってもいなかった。
腕と羽が外されて直火焼きされたら蒲焼きにしか見えんて。
『 3班、4班! 捜索継続中。適当なのは見つからないか?』
『今年のは全体的に大きいのばかりですね。3班ずつで大きいのを 2体の方が良かったですかね?』
そんなエルフ同士の魔法での念話が聞こえる。
『居ないはずは無い! それにでかいのは不味い。小さめのを探せっ』
『了解!』
ほんとに居んのかよっ! 軒並み 30m超えてるぞ!!
風属性魔法で重力の影響力を下げ軽量化を行い、水属性と風属性を組み込んだバックパックの形をした魔道具で自身の高度を更に上げる。
寒い、寒い、寒い。
火属性魔法で衣服自体の熱を上げ、風魔法で空気との摩擦を遮断しているのにも関わらずだ。
多分高度は 8000mとかそんなんなんだ。獲物は白い毛が保護色となってて非常ーっに見難いっ 下側の雲の近くに居る連中はほぼ見えず、横方向も雲海に紛れて見える。
どこに居るn…… いやっ 居たっ!
俺の持つゴーグル型 多方向カメラの魔道具が上方向に居るのを捉えた。
『居ました! 私たちより結構上を飛んでます!』
念話を飛ばす! 親子連れとは言え、小さい方の個体でも 10m以上あんだが?!
『! あれか! 良くやった。3班、4班上がるぞ!』
『『おうっ』』
『ルァ~ニ~ がんばれ~』
地上のエルフのお姉さまから魔法での声援を頂く。
まぁ、やれるだけやってみましょうかっ
◆
俺もがんばったよ?
何故か親の方を捕まえちゃったけどさ……
だがそんな事は些細で、問題が起きたのはそのあと!!
漸く見つけた獲物に取り付き、無事生け捕りにし地上へ降ろしている時に緊急事態が発生!
そうっ! やる気だけではどうにもならないんだ、この世界っ!
今、絶賛人生終了しかけておりますっっ!!
俺は前世で何かやったのかーーっ
ウナギにしがみ付く俺に向かって、小型旅客機並みに大きな蜻蛉が真っ直ぐ突っ込んで来る! 速度は余裕で 100 km/hを超えているんじゃなかろうか。凄い勢いで距離が縮まっていく。
『ヴェイザルト! ルァニエス! どうするんだ? 放棄で良いのか? 流石にアレは止めれんぞ!!』
エルフの一人が念話の悲鳴を飛ばしてくる。
俺だって無理だっ! 第一、デカ過ぎるってのっ
翅に巻き込まれるだけで小間切れ、体当たりされた日には挽き肉間違い無しである! 倒すとかじゃなく、止める事も逃げる事も出来る気がせんわ!
一つ安心できる点と言えば、狙われてるのはウナギであって俺じゃないって事か。
獲物を横取りされるのは嫌だが、あのでかいトンボを撃退できるとも思えん。
そもそも、ウナギもトンボも 30mを超えているのだ。皮でも殻でも貫ける気がしないっての。この世界、色々とデカ過ぎるわっ
迫り来る脅威を目前に、俺は拳を握り覚悟を決める……
次、生まれ変わるならラブコメな世界でお願いしまーーーすっ!
物語は主人公の現地リポート的な独り言スタイルで進みます。
実験としてプロローグを変更しました。
元あった 0話は当初の予定通りエピローグ行きにします。
62話と 63話の間の状態ですが、また変えるかも?
タイトル無しから、「コールドオープン」に変更っ
0話が1500文字ほど、1、2話は分割できず5000文字、3話以降は3000文字で投稿しています。
500字ほど追加。
主人公は ルァニエス 君。
読み辛ければ、「らにえす」で覚えてください。




