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【 11歳 晩秋 】
何かバチの当たる事をしただろうか?
異世界に転生して早 11年、俺は今、安全装置も着けずに空を飛んでいる。
魔法が何かを理解してからなら僅か 5年しか経っていないってのにだ。
いや、4年かな? つーか、飛ぶ練習に関してはひと月もしてねーわっ
正直、夢なら早急に覚めて欲しいっっ!
ただ、海が見たいな~とか思っただけなのに、森でエルフに出会った事で俺の人生はハードモードに突入したようだ。巨大なナメクジに丸呑みされるわ、山の上からダイビングさせられるわと、現在進行形で散々な目にあっている。
今回だって秋の祭り用のお肉を獲りに行くから、一緒について来いってエルフが言い出したのが理由だぞっ 小学生くらいの子供を気軽に酸素も無いところへ連れてくんなと言いたい。
エルフに背負われ雲より高い山脈の頂上まで行き、サーフボードに乗り迷わず飛ぶ連中に付き合って俺も飛んださ。魔法で酸素を用意して重力に逆らい、体温の拡散を防いでな。
子供にはちょっと過酷過ぎやせんかね?
今、上空では大量のエルフが風に乗りサーフィンをしている。
狙う獲物は 4本脚の空飛ぶ白い鰻っ
去年肉を食べた時はこんな形をしてるなんて思ってもいなかった。
『ルァ~ニ~ がんばれ~』
地上のエルフのお姉さまより魔法で声援を頂く。
問題が起きたのはその直後!!
漸く見つけた獲物に取り付き、生け捕りで地上へ降ろしている時に緊急事態が発生!
そうっ! 今、絶賛人生終了しかけておりますっっ!!
俺は前世で何かやったのかーーっ
ウナギにしがみ付く俺に向かって、航空機より大きな蜻蛉が真っ直ぐ突っ込んで来た! 速度は余裕で 100 km/hを超えているんじゃなかろうか。凄い勢いで距離が縮まる。
『ヴェイザルト! ルァニエス! どうするんだ? 放棄で良いのか? 流石にアレは止めれんぞ!!』
魔法でエルフの一人が思念を飛ばしてくる。
俺だって無理だっ! 第一、デカ過ぎるってのっ
翅に巻き込まれるだけで小間切れ、体当たりされた日には挽き肉間違い無しである! 倒すとかじゃなく、止める事も逃げる事も出来る気がせんわ。
一つ安心できる点と言えば、狙われてるのはウナギであって俺じゃないって事か。俺は雲の真下あたりで漁をしていたのだ。そしてそれがトンボに見つかり餌と認識されてしまった訳だ。
獲物を横取りされるのは嫌だが、トンボを撃退できるとも思えん。第一、両方とも 30mは超えているのだ。皮でも殻でも貫ける気がしないっての。この世界、色々とデカ過ぎる。
迫り来る脅威を目前に、俺は覚悟を決める……
次、生まれ変わったらラブコメな世界でお願いしまーーーすっ!
実験としてプロローグを変更します。
62話と63話の間の状態です。また、変えるかも?
主人公はルァニエス君。
読み辛ければ、「らにえす」で覚えてください。
元あったプロローグは当初の予定通りエピローグ行きにします。




