第6話 エートラの友達
チールーエ「2人とも、よろしく!改めて、僕はチールーエ・シロイケルニ。エートラは魔物使いなんだけど、僕の友達なんだ!」
カチーア「エートラ…。」
ファウ「それでは早速、案内をお願いしますわ。」
レネヲ「ああ!勿論だ!行くぞ、チールーエ!」
チールーエ「はいっ!エートラ、悪いけど見送れるのはここまでみたいだ、お金のことはいつでもいいから心配しないで。旅の無事を祈るよ。」
エートラ「ありがとうございます。できるだけ早く返せるように頑張ります…!」
エートラが帰ろうとすると、先ほどカチーアと名乗っていた男が3人に気づかれないように手招きをしています。
エートラ(私…?)
エートラは4人が城へ行ったあとに少し門で待ってみることにしました。
エートラ「あっ。」
カチーア「お待たせ、なかなか脱け出せなくて。」
エートラ「あの、何か用ですか?」
カチーア「えぇ!気づいてなかったの!?」
エートラ「は、はい。何のことでしょうか?」
カチーア「私よ、カチュアノ。」
エートラ「え、カチュアノさん!?」
カチーア「もう、『カチュアノ』って呼び捨てにしていいって言ったじゃない。でも、今はカチーアだから変か…。なら『カチィ』って呼んで。私を渾名で呼べるのは家族以外に貴女だけよ。光栄におもいなさい?」
エートラ「うん、カチィ…さん。」
カチーア「もーっ!エートラったら、"さん"はいらないわ!」
カチーア「貴女、私の家を脱け出したんでしょ?どこか嫌なところでもあった?」
エートラ「その節は申し訳ありません。嫌なところは……昔の友達に会えないところですかね。町の名前も言えないけど、よくしてくれたんです。あのままお別れは嫌というか…。あとお城のごたごたはごめんです。」
カチーア「そう…私の家に戻るわよ!貴女のいた町を見つけるために!」
エートラ「…!」
カチーア「さ、行きましょう。」
エートラ「あの、お城の方は良いんですか?」
カチーア「いいのよ。もう私ではどうにも出来ないわ。今はエートラの街を見つけることを優先するわ。」
エートラ「あの…」
カチーア「まだなにか?」
エートラ「実はシロイアの国に600万ラレの借金をしてて…」
カチーア「えっ?」
エートラ「町よりも先に、それを返さないといけないんだけど…」
カチーア「はぁ…まぁ私が払っても良いのだけれど、友達ってだけでお金を渡すのも良くないわね。」
エートラ「友達?」
カチーア「専属メイドを断ったんだから、もう友達って呼んで良いでしょ?」
エートラ「はい…!」
エートラとカチーアは少しの間、お喋りを楽しみました。
カチーア「あなた冒険者だったの?」
エートラ「言ってなかったですか?」
カチーア「だったら話は早いわ。エートラが帰ったら私がギルドにあなた宛に依頼をお願いするわよ。600万ラレのね。」
エートラ「そんなに高額な…いったい何の依頼ですか?」
カチーア「何でもいいんだけど、私とずっと友達でいること、とかだとギルドに怒られちゃうわね。」
エートラ「う、うん。」
カチーア「それにお金で繋がった友達なんて思われてもいやだし。うーん、他に何か困ってることあったかしら。」
エートラ「何が欲しいものとか、足りないものとかないですか?」
カチーア「あっ!それなら、あったわ。2週間後のパーティーで使う食器を取りに行って欲しいの。もう注文してお金も払ってるから、取ってくるだけよ。」
エートラ「仕事もらえてありがたいです。パーティーって何のパーティーなんですか?」
カチーア「もちろん、ファウの婚約祝いよ。式はシロイアで大きいのをすると思うけど、その前にパーティーをダルカールでしようってお父様と叔父様が。」
エートラ「やっぱりあのお姫様がカチィさんがお屋敷で話してたファウ姫だったんですね。あれ、でも結婚はカチュアノさんが男装して止めるんじゃなかったんですか?」
カチーア「私はそんなこと言った覚えは無いわ。」
エートラ「…そういえば、その格好…。」
カチーア「深くは聞かないでほしいわ。こんなところまでファウと来ることになるなんて…。」
エートラ「あはは…カチィさんも大変だったんですね…。」
カチーア「…。まあ、誰でも大変なことはあるものよ。それより、することも決まったし、一旦ダルカールに帰りましょう。ほら、エートラも乗って。」
エートラ「はい、ありがとうございます。」
カチーア「エートラって、いつまでも他人行儀ね。」
エートラ「そ、そう…?これで普通…だよ。」
カチーア「あっ、ほら無理してる!」
エートラとカチーアは馬車でダルカールに向かいました。
その間エートラはカチーアに、前のエートラが記憶を失って、新しい"エートラ"としてこの世界に来てからの事をすべて話しました。
カチーアはおとなしくエートラの話を聞いていました。
カチーア「エートラも大変だったのね。ねぇ、エートラの元いたところってどんなところだったの?こことはかなり違うのかしら?」
エートラ「…あれ?……私、元いたところの事、何も分からないです。こことは違うって事しかわからない。」
カチーア「えぇ、自分のいたところの事でしょ?」
エートラ「そうなんですけど…何も思い出せないというか…。」
カチーア「そうなんだ。でも、違うってことだけ覚えてるのも変な話ね。」
エートラ「確かに変ですね。」
カチーア「何かあったのかも。ここに来るときに記憶を失ったとか?」
エートラ「かも…。」
カチーア「ま、考えても分からないなら、今は出来ることをしましょう!」
エートラとカチーアは馬車でダルカールに入りました。
カチーア「そろそろ家につくわ。」
エートラとカチーアは馬車からおり、カチュアノの部屋に行きました。
カチーア「じゃあちょっと着替えてくるから、ソファーにでも座って待っていてね。」
エートラ「うん。」(なんだか高そうなソファー、座りたくないな…。…それにしても私は何で元いた場所の事が思い出せないんだろう。)
エートラは立ったままボーッと考えていました。
カチュアノ「あら、ずっと立っていたの?」
エートラ「…カチィさん。そんなことないんですけど…。あ、やっぱりその格好の方が落ち着きますね。」
カチュアノ「エートラもそう思う?やっぱり私の方が私らしいわよね。」
エートラ「?」
カチュアノ「慣れない服を着ると疲れちゃうわ。お父様がまた変なことを言い出さなければいいのだけど。」
エートラ「あはは…。」
カチュアノ「お茶でも飲みましょうか、エートラはお茶菓子はどんなのが好き?」
エートラ「なんでしょうねー。」
カチュアノ「そっか。」
エートラ「そもそも私はお茶菓子を食べたことがあるのでしょうか…。」
カチュアノ「どちらにせよこれから知っていけばいいわ。私はチョコが好きだわ!」
エートラ「甘いもの好きなんですか?」
カチュアノ「そうよ!レヨ兄様にはよく似合わないって言われてるわ。失礼よね。」
エートラ(確かに元気なカチィには似合わないかも…。カチィって何でも食べそうだよね。カチィはご飯ならどんなのが好きなんだろう。なんか、お腹空いたなぁ。最近、まともな食事とれてないし…。今なら、カチィみたいに何でも美味しく食べれそう。あ、でも、お嬢様って甘いものを好んで食べてるイメージもあるなぁ。というか、私のこの『"お嬢様"へのイメージ』はいつの記憶なんだろう。私が初めて出会ったお嬢様はカチィの筈なのに…。前住んでたところでもカチィみたいな人に出会ったことがあるのかなぁ?)
カチュアノ「ねぇエートラったら!」
エートラ「はっ!」
カチュアノ「考え事?」
エートラ「ごめんなさい…!」
カチュアノ「きっと旅で疲れてるのよ。エートラの町は私が探しておくから、エートラは休んでるといいわ。」
エートラ「悪いよそんな。」
カチュアノ「いいのいいの!じゃあ早速行ってくるわね!」
エートラ(…カチィ、あんまりお菓子食べずに出ていっちゃったな…。)
エートラはカチュアノの部屋にポツンと残されてしまいました。
エートラ(とりあえず、ここのお菓子を食べよう。腐っちゃったら困るしね。お腹すいたし。)
エートラは割とすごい速度でお菓子を口に運んでいます。
エートラ(あ、このお菓子美味しい…。これも、これも…。)
皿の上にあった沢山のお菓子が、ドンドンなくなっていきます。
エートラ(全部食べてしまった…。カチィさんも食べたかったかな?ん?)
エートラは窓の外に気配を感じ、中庭を覗きました。
エートラ(私が執事さんから逃げてたところだ…。誰かいるな…あれはサム!?)
それは少し前に森で出会った少年でした。
エートラ(な、何でこんなところに…!?)
サムは庭から二階の窓を見つめています。
エートラ(怖っ…。目を合わせないようにしよう。なんかお腹いっぱいになったら眠たくなってきたな…。カチィのベッド…は止めてソファーで寝よ。)
エートラはサムの事は忘れてソファーで眠ってしまいました。
それから数時間後。
エートラ(結構寝ちゃってたな…。カチィはまだ帰ってきてない?)
エートラが部屋を見渡していると廊下から足音がしてきました。
エートラ(カチィかな?)
エートラがカチュアノだと思い、部屋の扉を開けます。
??「わっ、こんにちはー。」
エートラ「!!??」




