第2話 お探しの薬草探し
エートラ(疲れたー。)
エートラが、掃除をし終わると、もう日が暮れようとしていました。
おかげで、この家で掃除していないのはテガが寝ているソファーだけになっていました。
テガ「んーぅ、誰…?」
エートラ「あ…お、おはよう」
テガ「え…エートラだ!そう言えば昨日、家に呼んだんだったね、どう、よく眠れた?てか、私の周りだけ何か汚くない?」
エートラ「あの…」
テガ「え、いやいや、私は汚くないって!このソファーがもうボロボロだからそう見えるんだよ!もー、そんなに言うなら一緒にお風呂でも行こ、うちに最近作ったんだ!」
エートラ「え、作ったんだ。」
テガ「お金やっと貯まったんだー。おやつ我慢するの大変だったんだよー?褒めてー!」
エートラ「凄いね!」
テガ「お風呂入ったあと、薬草集め行ってみたら?私はギルドで仕事あるから行けないけど。」
エートラ「うん。」
エートラはテガと共にお風呂に入ったあと、薬草集めの仕事を請け負うためにギルドに行きました。
テガ「エートラ、改めてギルドにようこそ!お探しの薬草探しは…これかな…?なーんて!」
エートラ「ありがとう。」
テガ「探すのはこの絵の薬草だよ!間違えて違う草を持って帰って来ないでね。この前もさー、他の冒険者が鉱石採取の仕事で間違えて変な石を持って来てさぁ…」
エートラ「…あの、じゃあいってくるね!」
テガ「ちょっと待って!その石、爆発するの!」
エートラはテガと急いで別れ、最初と反対側の北にある森までやって来ました。
エートラ(えっと、この森かな?)
エートラは木の板に彫られた薬草の絵と同じ薬草と、使えそうな草も一緒にとって帰ることにしました。
作業に集中していたら、もう辺りは真っ暗です。
エートラ「こんなもんかな?…あれ、誰かいる…?あの、こんにちは。」
???「!?」
エートラ「!?」
???「こんにちはー。サムって呼んでくれていいよー。」
エートラ「誰ですか…?」
サム「サムだよー。」
エートラ「えっ…?」
サム「サムって呼んでねー。」
エートラ「え、あ、サム…?」
サム「はーい、サムだよー。」
エートラ「あの、あなたも薬草探しですか?」
サム「えっとー?…サムはこの辺のみんなにみんなが使えるものをみんなからもらって分けてるよー。」
エートラ「えっ…??」
サム「君もサムに何かくれる?」
エートラ「えっ…?あげません…」
サム「そっかー。」
エートラ「…?」
サム「森で怖いのにあったら逃げた方がいいよー。何もくれないけど注意しといてあげ…あっ、逃げちゃった。」
エートラ「ハァハァ」(ここまで来たら大丈夫かな…。)
サムの忠告はエートラには聞こえていませんでしたが、エートラは既に"怖いものにあったら逃げる"ということを知っていたようです。
エートラ(逃げ切れたのは良いけど、町への道から外れちゃった…)「あっ!」
エートラは森の地面の中に人間らしき足跡を見つけました。
エートラ(やった!ここにも他の冒険者さんが来てたんだ!これを辿っていけば町に…)
エートラは見つけた足跡を辿って、森の奥へ奥へと入って行きました。
エートラ(あれ、どんどん森が深くなっていくような…。もしかしてこの冒険者さん、他の町へ行こうとしてるのかな…。だったら足跡と反対方向に進んだ方がいいよね。)
エートラは足跡をさかのぼりながら森を歩きました。
エートラ(どうしよう…本格的に迷ってしまった。)
エートラ「あれは!」
暗い森の中に光が動いているのを見つけました。エートラが近づくとそこには2つの馬車がありました。どうやら馬車の車輪が壊れて直しているところのようです。
エートラ「高そうな馬車…。」
エートラが少し馬車に近づいてみると、大人が集まって必死で車輪を直しています。
隙をみて、エートラがこっそり馬車の中を覗くと、中には豪華なドレスを着た金髪の少女がいました。
少女「あら、こんなところに人がいるなんて珍しいわね。何か用かしら?」
エートラ「あっ…!いえ、別に、あの何も、失礼します!」
見つかってしまったエートラはすぐにその場から立ち去ろうとしましたが、少女に呼び止められてしまいます。
少女「ちょっとあなた、私の召使いになりなさい。」
エートラ「えっ…!?」
少女「もう、そんなに喜ばなくてもいいのよ、さ、乗って。」
エートラ(!!??)
執事「貴方は誰です?ちょっと兵士さん、ちゃんとお嬢様を見張っていてください!」
少女「いいのよ。この人は怪しくないわ。私は彼女が気に入ったから召使いにしたいのだけれど。」
執事「いけません。素性のわからない者をお嬢様の近くにおいておいたら危険です。」
少女「なら国に帰ってから彼女の素性を調べればいいわ。とにかくあなたは後ろの馬車に乗りなさい。」
執事「しかし…いや、分かりましたが…お前、お嬢様にくれぐれも変な気を起こすなよ!」
エートラ「…」
馬車も直り、お嬢様と呼ばれる少女とエートラはその馬車でどこかに運ばれていました。
少女「じゃ、自己紹介しましょっ!貴女の名前は…?」
エートラ(…え、これ、私、どうなるの?)
少女「…名前を聞くときは、まず自分から名乗れってことね。貴女、なかなか度胸があるわね…!」
エートラ(これ、もう町に帰れないんじゃ…)
少女「私の名前はカチュアノ・ユテタラム・ダルカールよ!カチュアノって呼んで!それであなたは?」
エートラ「エートラ・シエクって言います…」
カチュアノ「エートラね、これからよろしくね。」
エートラ「あの…私家に帰りたいんですけど…。」
カチュアノ「…貴女、足をケガしてるでしょ。」
エートラ「えっ…。」
カチュアノ「私には、あまり詳しいことはわからないけれど早く治療を受けたほうが良いわ。あなたの家はどこにあるの?」
エートラ(どこだろう。テガの家は家じゃない…?)
カチュアノ「ないの…?」
エートラ「いや、ありますって!あの、この近くの町に…」
カチュアノ「この近くに街なんかあったかしら?エートラ、なんて街なの?」
エートラ「えーっと…それは…」
カチュアノ「自分の住んでる街の名前も覚えてないの?エートラ、大丈夫…?」
エートラ(えっと、あの町の名前は…全然、思い出せない…。確か、テガが、シロイアとダルカールって国が近くにあるって…え?ダルカールって!?)「あのカチュアノさんの名前…ダルカールって。」
カチュアノ「ええ、そうだけれど。」
エートラ「えぇ!」
カチュアノ「もしかしてエートラの住んでるところってダルカールなの?」
エートラ「いえ、ダルカールって国が近くにあるとしかわからなくて。」
カチュアノ「でもそれだけじゃわからないわ。森に放っておかれるよりは私の家に来た方が良いと思うわよ?」
エートラ「そう…ですね…。」(というか、もうかなり運ばれてるような…)
カチュアノ「そんな悲しい顔しないで!貴女はこのカチュアノの召使い、専属メイドになれるのよ!」
エートラ「は、はぁ…そうですね。」(確かに、凄い人ではあるなぁ…)
カチュアノ「もう、もっと喜んで良いのに…!そうだ、私専属就任祝いにこのネックレスをあげる。身に付けた人をなんかすごい守ってくれるらしいわ!しかも、私のお下がりよ!」
エートラ「で、でも…このネックレス国の紋章が描いてあるけど…。」
カチュアノ「あぁそれお父様から頂いた物だから。」
エートラ「そんなもの頂いたら、わ、悪いです…!」
カチュアノ「いいのいいの。あげるエートラには悪いけど、このネックレスあんまり気に入ってなかったから。そうだ!私がつけてあげる。」
エートラ(怖い…。)
カチュアノがエートラにネックレスを着けたとたん、ネックレスがものすごい光を放ちました。
エートラ「うぇえっ!?」
カチュアノ「わっ!」
エートラ「あ、あの!これは!?」
カチュアノ「あー、なんかたまに光るのよ、このネックレス。今日のはいつもより激しかったけど。たぶん、持ち主を守るパワーが溢れてるのよ。良かったわね!」
エートラ「……。」
それから彼女たちは一晩、馬車の中で会話を楽しみました。
カチュアノ「もうすぐ国が見えるわ!」
馬車のカーテンを開けるカチュアノ、そこには…
エートラ(わぁ…!私はこれからこの国で生活するのか…。テガ、何も言わずに出てきてしまった。大丈夫かな…。)
これからエートラの不安ながらも新しい生活が始まるのであった。




