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第七話【お魔法のお勉強ですわぁ~~~~!!!】

エルメラルダは自室のベッドにくるまって相当悩んでいた。

(何コレ。どうなってるの。色々ヤバイ。王宮からは逃げられないわ。貞操の危機は感じるわ。監禁されそうだわ…。散々過ぎない?どうして前世の記憶なんて思い出しちゃったんだろう。ほんとに聖女が現れなかったらどうしよ。)

「うあーーーーーー!!」と言いながらエルメラルダが枕を乱暴に振り回して放り投げると、放り投げたはずの枕が真隣にパサッと戻ってきてギョッとする。

「へっ!?何!?何ですか?」と部屋をキョロキョロすれば、ドアの近くに人がいるような気配がしたエルメラルダは目を凝らせば辛うじでヒトと認識できる何かが見えた。

「だ、誰!?」

「自分は…影です。王命によりアナタを守る為だけに存在します。お気になさらず。」

(そうだった…そうだった…影がついてるんでしたね。すっかり忘れてました。)

「何か喋らない?」と気を使って声をかけるエルメラルダ。

「いえ、結構です。ヒスイ様に殺されてしまいます。」と静かな声が聞こえた。

(あれ?…この声どっかで…。でも影だし、いつも近くにいたのかも。)

「で、ですよね。」

(出だしから一番やっかいなキャラと遭遇しちゃったなぁ。)

ふと影の気配が消えて、変わりにコンコンとドアをノックする音が聞こえた。

「はーい。」と返事をすればヒスイがドアを開けて入ってきた。

「あ、おはようございます。」と言ったエルメラルダは絶賛寝巻姿であった。

「おはようございます、よろしければお着換えのお手伝いをしましょうか?姫。」と少し色気を出して言うヒスイ。

「じ、自分でできます…。」

「エルメラルダ嬢に似つかわしくないセリフですね。自分の記憶を辿ってみて下さい。」

「…確かに一人で着替えた事なんてありませんことね。」

「昨日、父上と母上の前で散々な言葉使いをしていて正直驚きました。」と少し嘆くような仕草をするヒスイ。

「す、すみません。全くもって一般庶民の暮らし方しか分からないもので…エルメラルダに生まれ変わってからの記憶も…勉強や魔法訓練も全て放棄してずっと王宮で第一王子のケツを追いかける毎日。」と遠い目をするエルメラルダ。

「今も好きですか?兄上の事。」と少し寂しそうな不安そうな顔をして聞くヒスイ。

「今は全く。攻略した事あるなー程度で。物語上の登場人物を好きになるかのような感覚かな。」と前世の事を思い出す為に口元に人差し指をあてて上を向いてしまうエルメラルダ。

「なら、チャンスありますね。良かった。」と安堵するヒスイ。

(ほんとに私の事好きになっちゃったんだなぁ。変なの…でも無下にすればこの人は直ぐにでも私を監禁するか自殺してしまうんだろうなぁ…。)

「ねぇ、ヒスイ王子。」

「はい?ヒスイでいいですよ。」と言ってヒスイは適当な椅子に座った。

「ヒスイ、私がヒスイの事好きになってなくても絶対に自殺だけはしないでね。」

「…どうして?」と目を細めて問われる。

「監禁されるかも、自殺されちゃうかも…じゃ本当に好きにはなれないじゃん。ヒスイは皆が認める天才だから私を惚れさせるくらいどうってことないと思うし…ダメかな?」

「…それって…本気で自分の事を好きになる努力をしてくれるって事ですか?」

「えっと…まぁ、そういう事になるのかな。」と言えば顔が少し熱くなるのを感じるエルメラルダ。

「そういう事なら良いですよ。まぁ、監禁はともかく、エルを見ていて退屈はしないんで、死ぬって事はないでしょうけど。」とふわりと微笑むヒスイ。エルメラルダは不覚にもはじめてキュンとした感情が芽生えた。

(これ…スチルかな。スチルだよね…?)

「自分の顔に何かついてますか?」とキョトンとした顔をするヒスイ。

「い、いや…そういえば何か用事があったんですか?」

「その前に着替えましょうか。」と笑顔のヒスイ。

「あ、はい。」


エルメラルダはジロジロみてくるヒスイを()と考えて着替えを済ませ、姿勢を正してヒスイに向き直って「で、何か御用でしたか?」と聞く。

「ぷふっ。とりあえず魔法について説明しておこうかと。」と盛大に吹き出して笑ってしまうヒスイ。

「魔法!興味あります!私の家は何の魔法が使えるんですか?」と食い気味に聞いてしまうエルメラルダ。

エルメラルダは前世の記憶が入ってからというもの、魔法というものがキラキラして見えるようになっていた。

だから時間ができたらコッソリ勉強しようと思っていたところだ。

「サルバトーレ侯爵家は代々雷属性の名門です。と、言っても伯爵以上の家は王家の血筋が嫁ぐ事があるので、魔法が全属性使えたりもします。大体の家が長男、次男、関係なく自分の家の属性が強い男を次の跡継ぎにするので、まぁーその属性が強くなっていくわけです。それから自分の属性によって瞳や髪の色も変化したりします。」

「なるほど、昨日ヒスイの怪我を治した時って王妃様みたいに私の髪の毛の色も変わってた?」

「いえ。全く。エルはきっと特殊なんだろうなってくらいしか今はわかってません。」

「へぇー…じゃあ王家は?全属性使えるんだったら魔法を使う時レインボーになるの?」

「知性があるんだか、ないんだか。レインボーにはなりません。王家は王妃以外変色しないです。ちなみにご存知の通り、王妃は代々聖女です。聖女は聖属性しか扱えません。」

「そうなんだ。でもどうして王族としか結婚できないの?」

「聖女と男が合わされば何故か、全属性持ちの子が生まれるからです。これは何代目かの聖女が浮気をして発覚した事なんです。聖女ってのは星降る夜に現れるので恐らく儀式の副作用のようなもので現れるのかなーとか、勝手な推測ですけど。あ、基本的な属性を教えるのを忘れてましたね。この世界には【火】【水】【地】【風】【木】【雷】【氷】【聖】の8属性があります。大昔には【闇】という属性があったらしいですが…これは大昔の人が【聖】をとってしまったので消えてしまったそうです。【聖】と【闇】は相容れぬ関係という事ですね。」

「覚醒遺伝とかで【闇】が生まれてしまうって事はないの?」

「はい。【聖】を受け入れてしまった我々には【闇】は一生生まれもしなければ、この国に入国すらできません。もし…【闇】を持った子が宿ってしまえば死産するか…謎の病気にかかって死んでいくんでしょうね。」

「そんな…。」

「だから無いと思ってください。ですけど国外には【闇】は存在してます。だから今【闇】について説明しました。」

「そうなんだ…。そっか国はここだけじゃないんだね。」

「はい。ですけど、ここが一番安全ですよ。国外の歴史を振り返ってみれば周辺の国が全滅してたりしますからね。」

「はい!?」とつい目を大きく見開いてしまう。

「うちみたいに、しっかり魔法を統制して道徳を学ばせないと、変な思想を持った魔力持ちが国を火の海にしちゃったり、領土欲しさに魔法で攻めまくったり。もうめちゃくちゃなんですよ。周辺よりも遠い国は上手くやってるみたいですけどね。この国ほど豊ではないでしょうけど。」

「そうなんだ。」と話を聞きつつも自分にも雷の魔法が使えるのかなと手をグーパーさせて何かを感じようとしてみるが全く魔法を出せる気がしないエルメラルダ。

そんな様子を見て、ヒスイは魔法の使い方の基礎を説明しようと口を開く。

「王族って聖属性も持ち合わせていますけど、実際には上手く扱う事ができません。それは、気持ちが足りないからです。」

「気持ちが…足りない?」

「はい。癒さなきゃ…治さなきゃ…という気持ちの足りなさから来ています。かすり傷程度なら治せますけど、昨日の兄のようなズタズ…コホンッ…打ちどころが悪い場合は治せません。代々雷属性が強い家なら、雷の神の意志があるはずです。」

「雷の神の意志?神様がいるの?」と問えばヒスイは少し目を大きく開けた。

「えーっとんー…まぁ。これは創世記から話さないといけないですかね。」

「ごめんなさい。私何も知らなくって。」と少し申し訳ない気持ちになる。

「良いですよ。いくらでも何度でも教えますから、そんな悲しい顔しないで下さい。」とヒスイは席から立ち上がってエルメラルダの近くへ行き、頭を優しく撫でた。

そしてちゃっかりエルメラルダを自分の膝の上に乗せるヒスイである。


コロナの後遺症が重たすぎて、倦怠感が酷いのとまだ味覚が戻ってないのと、咳がつらくて、もう普通に座ってる事も厳しく、もしかしたら更新遅れるかもです。もちろん微熱も続いています。ですがブクマもイイネも沢山いただいてる分精一杯頑張ります。よろしくお願いします。

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