外伝最終話【蘇る幸せな日々の記憶】
《過去》
サルバトーレ邸へと帰ったエルメリーチェ。意外な事にエルメライドが玄関に立っていた。
「お父様?」
「エルメリーチェ。本当にすまなかった。私は父親失格だな。」
顔をしかめるエルメライド。
「はい、お父様は父親としても、男性としても失格だと思います。反省して、しっかりと雷領を守って行ってください。跡継ぎは…エルメロイ叔父様がどうにかして下さいます。あ、曾祖父様もまだまだお若いですし、きっと大丈夫です。ですが、お父様は独りで生きて下さい。お母様以外のお母様は私許しませんから。」
「…わかった。肝に銘じるよ。直ぐに出てしまうのか?」
「一応貴族同士の結婚ですから、半年はかかるそうです。それまでは家にいます。」
「そうか。その…。」
「その間、お話くらいならしても良いですわ。お父様。」
「リーチェ…。」
エルメライドは嬉しそうな顔をした。リーチェも少しだけ微笑んだ。
《半年後》
エルメリーチェ・サルバトーレとクルト・クラリアスの結婚式が王城で開かれた。
神王ヒスイが教壇に立ち、純白のヒラヒラした美しいドレスを着たエルメリーチェと白いタキシードに身を包むクルトが教壇の前に立っていた。
「汝、クルト、貴方はエルメリーチェを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓おう。永遠にな。」
クルトはエルメリーチェを見て微笑んだ。
「汝、エルメリーチェ、貴女はクルトを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。永遠に。」
エルメリーチェもクルトを見て微笑んだ。
「それでは指輪の交換を。」とヒスイが言えばサッとエルメロイが二人の指輪が入った小箱を持ってきて渡す。
クルトからエルメリーチェ、エルメリーチェからクルトの順にお互いの左手薬指に結婚指輪をつけ合った。
「次にサインを。」
教壇の前にとても分厚いボロボロの本が目の前に現れて、それは独りでに羽ペンと一緒に空中に浮いていた。
サラサラとクルトが先にサインし、次にエルメリーチェがサインをした。
「では結婚成立です。最後に誓いのキスを。」
心臓をバクバク言わせているエルメリーチェにクルトは少し微笑んで、サッとキスを済ませた。
………
そんな過去の記憶を王城に泊まる事にしたエルメリーチェとクルトは同じ部屋で別々のベッドに入って思い出していた。
「私達…結婚したんですね。」
「そう…だな。忙しかった記憶がつい昨日のように思い出されるな。昨日は何も無かったというのにな。」
「はい。半年間、結婚の準備で中々会えませんでしたから、結婚式で久しぶりに会えて心臓がドキドキして大変でした。」
「あぁ、俺も……その…なんだ。あぁ。いつもと違う君を見て少しは緊張していた。」
「クスッ…本当ですか?」
スルっと衣擦れするような音が聞こえたと思えば、クルトが自分のベッドを抜け出してエルメリーチェのベッドに入った。
「クルト様っ///」
「クルトと呼べ。いつもそう呼んでいるのだろう?」
「そう…ですね。そうみたいです///」
次々と思い出されていく記憶の中で、体外に名前で呼び合っているのを思い出す二人。
「防音魔法をかけろ。」
「えっ///あ…はい。」
エルメリーチェはこれから何が起こるのかわかってしまい心臓をドキドキと煩くならしながら防音魔法をかけた。
「リーチェ。子供は何人欲しい?」
「…えっと、沢山///」
「ハッ。大馬鹿者。」
二人は同じベッドで朝まで愛し合った。
二人が起きたのは昼過ぎだった。同じタイミングでガバッと起き上がって、互いに顔を見合せてから段々と顔が青ざめていく。
「どうして待てなかった。」と片手で頭を抱えるクルト。
「だって!!気持ちが昂っちゃって!!クルトからだし!!」
「うっ・・・お、男とはそういうものだ。」
「開き治らないでよ!!」
一夜ですっかり全ての記憶を取り戻した二人。
「ゆ、夢かもしれないし、家に帰ってから考えない?」と提案するエルメリーチェの瞳はグルグルと回っていた。
「そ、そうだな。」と普段なら絶対に「馬鹿者」と一括するクルトだったが、動揺しているのか普通に同意してしまう。
二人は服を着て、ワープで家へと帰った。
「お父様!どこへ行ってたんです?」とクルトそっくりな長男。
「また二人で出かけて!」とエルメリーチェそっくりな長女。
「えー!二人だけで旅行はずるいです!」と長髪でクルトそっくりな次男。
「ほんとよずるいわ!」とクルトとそっくりな次女。
「どこに行ってたんです?」とクルトとエルメリーチェがしっかり混ざった三男。
「お土産はありますか?」とクルトとエルメリーチェがしっかり混ざった三女
「「おかえりなさーい。」」と男女の双子の四男四女。
「お母様!妹が僕のお菓子を食べてしまって喧嘩になったんです!」と五男。
「いいえ、名前が書いてませんでしたもの。私のものですわ!」と五女。
「姉上、兄上、うるさいです。」と六男。
「ママ~どこ行ってたのー?」と六女。
そう、エルメリーチェとクルトの間には既に12人の子供達がいた。
「夢じゃ…なさそうね。」
「そう…だな。」
そして後に、二人の間には13人目が誕生し、“クロエル”と名付けられた。
-おしまい。-
最後まで応援して頂き、ありがとうございました。これにて完結とさせて頂きます。
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