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超最難関攻略不可能な天才王子に溺愛されてます!!~やる気のなかった王子は生きる意味を見つけた。~  作者: 無月公主


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外伝㉒【過去と未来を繋ぐ力】

エルナザール城ではエルメリーチェの曾祖父ヒスイが神王、曾祖父エルメラルダが神王妃として即位し、永遠の平和を誓うと共に世界のバランスを整える儀式【星降る夜の儀式】が行われた。王城内や外には魔法が使える全国民が儀式用の杖を持って集まっていた。

「それでは、皆さん。よろしくお願いします。」

ヒスイ神王が先に杖を振りかざして虹色の魔力を空へ向けて放った。

「なんか閉まらねぇ、合図だな。」とエルメロイが右隣にいるエルメリーチェに耳打ちして、エルメリーチェが「静かに!始まるわよ!」と言えば、二人同時に杖を振りかざして紫色の雷属性魔力を空へ放った。エルメリーチェの右隣りにいるクルトも杖を振りかざして水色の氷属性魔力を空へ放った。

すると次々と会場内にいる人々が杖を使い空へ自分の属性の魔力を放つ。外にいる魔法を扱える国民達も杖を振りかざして魔力を空へと放った。

全ての魔力が王城の最上階へと吸い込まれ、花火のように打ち上げられ、空に沢山の魔力が散っていき、それはまるで流星群のようだった。

エルメロイがサッと移動してヒスイ神王に金の杯を渡した。

「儀式は無事成功しました。さぁ。皆さん。魔力を使い果たしてお疲れでしょう。ささやかですが、成功を祝って乾杯といきましょう。はい、乾杯!」

ヒスイ神王は金の杯を右手で持ち高く掲げた。そして会場から外まで歓声が響き渡った。

【星降る夜の儀式】が成功したお祝いの夜会が開かれた。

神王ヒスイと神王妃エルメラルダが曲が始まると同時にダンスを踊る。

クルトはエルメリーチェに「さて、帰るか。」と声をかけたが、くるっとエルメリーチェに向き直って「一曲…踊るか?」と不器用にダンスを誘う。

「クスッ。えぇ。」

クルトとエルリーチェが曲に合わせてダンスを踊った。


そして神王ヒスイが創り出した装置によって聖女が現れる事なく平和な夜会となった。


翌日、神王ヒスイに呼び出されたエルメリーチェは王城の玉座の間に来ていた。

「曾祖父様、どうされましたか?」

「リーチェ、昔大人になれる指輪を渡したのを覚えていますか?」

「はい。ずっと離さず持ち歩いております。私にとって…お守りのような物です。」

エルメリーチェはドレスのポケットから指輪を取り出した。

「そこには未来から来たリーチェの魂が入っています。」

「え!?ですが…私には未来から来た記憶がハッキリと鮮明に残っております。」

「はい。未来からきたリーチェの記憶がコピーされてしまったんです。自分は2つの魂が混在するのは不味いと思って、分離して指輪に封じ込めました。ですので、その封印を解いて元いた場所へ返してあげようかと思います。」

「元いたって…崩壊しかけている世界にですか!?そんなっ。」

青ざめた顔をして口元を抑えるエルメリーチェ。

「リーチェ。未来から来たリーチェはスタートが違います。例えコピーされていたとしても、環境や受けてきた愛情、それらが違えば同じリーチェでも考えが同じになるという事はないでしょう。実際に今ここにいるリーチェは1000年の時を過ごした記憶があっても実際に過ごしていないはずです。」

「曾祖父様の話が本当なら…そうですね。」

「なら、本人に聞いてみましょう。指輪を貸してください。」

エルメリーチェは神王ヒスイに赤い宝石がついた指輪を渡した。ヒスイは指輪に魔法をかけた。

『こんにちは。』と指輪から声が聞こえるようになった。

「どうも。リーチェ、あっちに戻りますか?」とヒスイが問う。

『できる事なら…戻りたいです。』

「ウソよ!!」

『ウソではないわ。貴女を通して私もちゃんと力をつけたの。不老不死の呪いも、魔力共有の術もしっかり刻まれているわ。だから大丈夫。心配しないで…私を、あの人の元へ行かせて。』

「あの人って…あっ。」

エルメリーチェの頭の中にクルトの顔が浮かんだ。

「リーチェ。過去は変わりました。きっと大丈夫です。」

「本当に大丈夫?せめて私の魔力を全て渡せないの?」

『大丈夫。私は私だもの。魔力も同じだけ持ってるわ。』

「リーチェ、奇跡を起こす魔法は300%以上からです。奇跡を起こして来てください。」

『はい、曾祖父様。それと…過去の私、安心して。貴女と私は同じだから。』

「えぇ…。」

ヒスイが「それでは。」と言って、見た事もないようなキラキラした大粒の虹色粒子を指輪に振りかけていくと、指輪自体が虹色になって空へと飛んで行った。


-色んな事をして、色んな事があった。戻りたいと思うのは…アナタを1人にさせてしまっているから。-


《1000年後の崩壊世界》

エルメリーチェが目を覚ますと、手の中に淡く光輝く真珠色の少し大きめなオーブを抱えていて、誰かに抱っこされている状態だった。周辺は真っ黒だオーブの光で周辺だけ照らされていた。上を見上げればクルト・クラリアスがいた。

「クルト様。ここは…。」

「エルナザール帝国があった場所…と言えばいいか。」

「そう…。全て滅んでしまったの?」

「そうとも言えるな。過去は変わったか?」

「えぇ。沢山変わりました。とても良い方向に。」

-貴方の親友以外は…。-

「そうか。話し方や目の輝きを見ればわかる。それに…お前に不死の呪いとやらを掛けた術者は大馬鹿者だな。命と引き換えに術を完成させたように見える。」

「そうですね。彼は私に…神になる事を望んでいました。だから今から世界を同期させます。」

クルトは一瞬目を大きく見開いてから微笑んだ。

エルメリーチェは想像した。沢山の思い出を詰め込んで魔力をオーブに注いだ。

自分の持っているオーブこそが世界の均等を守っていた、バランスを保っていた機械なのだという事を理解していた。オーブにありったけの魔力を込める。

「俺の魔力も使え。」とクルトが言えばエルメリーチェはコクリと頷いて惜しみなく魔力を注いだ。

するとオーブから視界が広がって、今までと何の変わりのないエルナザール帝国が広がり、自分達は玉座の間にいた。

そして玉座には曾祖父ヒスイと隣に曾祖母エルメラルダが並んで座っていて、その隣にはエルメロイが立っていた。

そして不思議な事にエルメロイの隣には水色の髪色をした美少女が立っていた。

「おかえり。リーチェ。」と曾祖父ヒスイが先に声をかけた。

「曾祖父様、ただいま。体が元に戻ってますね。」

「はい、リーチェのおかげで死なずにすみましたから。」とヒスイは笑う。

「辛かったでしょう。リーチェ。」と曾祖母エルメラルダ。

「いいえ、曾祖母様。むしろ楽しかったです。沢山色んな事を経験して強くなれましたから。」

「全く、よくやってくれたよ。」とエルメロイ。

「叔父様、隣の方はどなたですか?」

「あ。あー…俺の嫁さんだ。」と目を少しそらしながら話すエルメロイ。

「リーチェお姉ちゃん。お帰りなさい。」とエルメロイの嫁がリーチェに声をかけた。

「えっ!?貴女まさか…クーなの?」

エルメリーチェは凄く驚いていた。声と少しの面影でなんとか分かったのだ。

「はい。クー・クラリアスです。今はクー・サルバトーレですけど。」

「ごめんなさいね。まだ1000年分の記憶がちゃんと更新されてなくって。」

「それは、ここにいる我々も同じですよ。王宮に部屋を用意してあります。ゆっくり思い出してから家に帰らないと大変な事になりますよ。」とヒスイ。

「へ?」


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