外伝⑭【死闘】
「いいか?リーチェ。今のお前なら、もうヒスイを超えている。今日アレを実行する。」
サルバトーレ邸の門前でエルメロイとエルメリーチェとクルト・クラリアスが3人並んで立っていた。
エルメロイの言うアレとは次元の狭間とやらにいるサルバトーレ家の皆々様を引きずり出すという大計画を指す。ちなみにこの大計画は昨夜の夕食の席でいきなり発表された事だった。
「叔父様、氷属性の覚醒がまだ終わってないのですけれど。」
「心配ない。クルトに手伝わせればあるようなものだ。コイツがひよって継承を渋ってやがるからな。」
エルメロイはそう言ってクルトを小突く。
「なんとでも言うがいい。」
目を閉じ、腕を組んでいるクルト・クラリアス。
「ふーん。じゃあ行きますわよ。」
エルメリーチェは両手を前に出して【火】【水】【木】【風】【地】【雷】【聖】属性の200%の魔力を指先に灯した。そこへクルトが【氷】属性の魔力の光を手のひらに作り出して、完璧なコントロールでエルメリーチェの指先に灯した。すると属性の光が虹色の粒子となってエルメリーチェの手のひらの上でキラキラと光る。
「そのまま扉をこじ開ける動きをしろ。」
エルメロイの指示にコクリと頷いて、何もないけれども扉をイメージしてこじ開ける仕草をすれば本当に空間が歪み始めた。
しかし、背後からとてつもなく強い殺気を感じてエルメリーチェはそれを避ける為に魔法を停止して、横へ飛ぼうとすればクルト・クラリアスに体を包まれて、大きく横へ飛んだ。
エルメロイもまた、別方向へ飛んだ。
「危ないじゃないかぁ…。」
その声を聴いてエルメリーチェは大きく目を見開いた。本来なら今頃絶対に過呼吸を起こしていたであろう・・・。声の主はクロエル・エルナザールだった。
「クロエル!!」
エルメロイが先に反応をした。しかし、クロエルの方が先手をとっていた。エルメロイを聖属性の鎖で縛り上げた。そして次にクルトをも聖属性の鎖で縛り上げた。
「クルト様っ!!」
エルメリーチェは覆いかぶさっていたクルトが鎖によって空中へ浮いていくのを魔法で阻止しようとしたが鎖が頑丈過ぎて切れやしなかった。
「クロエル皇帝陛下・・・。」
エルメリーチェが呟いた。
「驚いたな。俺はお前のいた世界では皇帝になっていたのだな?」
クロエルはニヤリと笑う。エルメリーチェはしまったと思わず自分の口を防いだ。
「リーチェ!!逃げろ!!」
エルメロイは逃げろと指示するが、クロエルは指先をキラキラと虹色に光らせてエルメリーチェに襲い掛かっていた。
エルメリーチェはクロエルと手を合わせて立ち向かう。
「ほぅ。お前も全属性を扱えるのか。ただ・・・俺の氷属性の方が出力は上回っているようだな?」
「聖属性が弱いようね?」
エルメリーチェは焦りながらも自信ありげな笑みを浮かべた。
「サルバトーレの人間はこぞってその笑い方をするなぁ。傲慢だと思わんか?」
互いに指先から魔法をぶつけて一旦距離をとった。クロエルは火属性水属性地属性を指先に灯して爆発する球体をエルメリーチェに飛ばした。エルメリーチェはそれを風属性と氷属性と水属性を指先に灯して爆発物を爆破させてそれを風で吹き飛ばして防いだ。しかし次の攻撃がとめどなく繰り出されて防ぐので精一杯なエルメリーチェは空いている指に聖属性を灯して体に膜を張り、風魔法で自信の体を浮かせて相手の位置を探った。見つけたと思えば相手は炎の竜巻を幾つも作り上げているのを見て、エルメリーチェも水の竜巻を幾つも作り上げて、互いにドラゴンを生成しぶつけ合う。
ドラゴンが相殺されて消えれば今度は直接殴りかかろうとしてくるクロエル。それをエルメリーチェが雷属性のワープを使い避けるが相手もワープを使って襲い掛かってくる。
何度か手を合わせるが何発かは食らってしまい口から血を吐いてしまうエルメリーチェ。
クロエルもまた、頭から血を流していた。次にクロエルは炎のライオンを作り上げてエルメリーチェに飛ばした。一度ワープで避けてから水のライオンを作りだして相殺して消し去った。さらにクロエルは天候を操り雨を降らした。エルメリーチェはクロエルの指先に灯る属性の種類を見て酸系の攻撃だと察知し、素早く鎖で縛り上げられて身動きのとれないエルメロイとクルトに聖属性のバリアを張った。よそ見をしてしまった為にクロエルに思いっきり思いパンチをお腹に食らってしまうエルメリーチェ。衝撃で城に激突し墜落する。
「リーチェ!!!」
エルメロイが叫んだ。
クルトがクロエルの動きを止めようと足を凍らせればクロエルが鎖に電気を走らせクルトを気絶させてしまった。
「ク・・・ルト・・・様。」
お腹を抑えながら立ち上がるエルメリーチェ。
「おい・・・クロエル正気か?クルトが機嫌を損ねて儀式に参加しないと言い出したらどうするつもりだ?」
エルメロイはリーチェが回復する時間稼ぎをしようとクロエルに話かけた。
「参加しない等という事にはならんだろう。愛するエルメリーチェを人質にとればなぁ!!」
とても歪んだゲスイ笑みを浮かべるクロエル。
「私は・・・負けない!!」
エルメリーチェは思いっきりクロエルを殴ればクロエルは吹き飛んだがワープでエルメリーチェの背後に回り、エルメリーチェはワープで避けて、お互いに爆発魔法をぶつける。
「俺の動きについてこれる奴に会うのは・・・初めてだよ。」
クロエルは歪んだ笑みを浮かべて口からタラリと出ていた血を舌でペロリと舐めた。
互いに攻撃をしかけもう一度手を合わせた。
「この聖属性の膜に何か意味はあるのかね?」
「大有りよ!!王族の血が入れば呪われるって本で読んだわ!!」
「ほぅ。勉強熱心だねぇ。」
お互いに手から爆発魔法を繰り出して距離をとる。クロエルは雷と炎と風でドラゴンを作り出した。
エルメリーチェも負けずと水と聖と地のドラゴンを作り出した。互いにぶつけ合えば、城と門が半壊してしまった。
互いに大きな爆発魔法をぶつけ合い、一発がクルトの方へ飛んで行ってしまいエルメリーチェは咄嗟にクルトを庇った。
一応バリアは張っていたがまともに食らってしまい血だらけになるエルメリーチェ。聖属性の魔法で治癒を施すが、血を流し過ぎたせいか肩で息をしてしまう。
後ろの聖属性の鎖をチラリと見て、エルメリーチェはクロエルを聖属性の鎖で縛り上げた。
「ほぅ…俺の使った魔法を真似たか。」
「終わりよ・・・。」
エルメリーチェは大きな火炎と雷を纏う光の球体を作り出してクロエルにぶつけようとすれば、ロジェルが突如現れてクロエルを庇った。
「父上!!」
「ロジェル王子殿下!!」
「ロジェル。」
咄嗟にロジェルを庇うクロエルとエルメリーチェ。クロエルは聖属性の鎖を断ち切りロジェルを庇ったのだ。そしてエルメリーチェもワープを使ってロジェルを庇った。クロエルとエルメリーチェは互いに血だらけになる中、互いに回復させまいと激しいスピード勝負の殴り合いが始まった。
そして互いに手を合わせて最後にエルメリーチェが炎を手からだし、クロエルが水を出し風をだしてエルメリーチェが吹き飛んでしまった。とんでもないスピードで遠くまで飛んで行ってしまったのだ。クロエルは顔と手に大やけどを負ってしまい、これ以上魔法を出せないようになってその場に倒れた。
「父上!!!」
そして、しばらくしてエルメロイとクルトの聖属性の鎖が解けた。
エルメロイは気を失っていて空中から落下するクルトをキャッチして、ゆっくり地面に寝かせた。
「ロジェル殿下、王城へお送り致します。」
エルメロイは王族を安全に王城へ送り届ける事を優先した。
「頼む。」
ロジェルがそう言えばエルメロイはロジェルと瀕死のクロエルを王城の医療室へとワープさせた。
そして直ぐにエルメリーチェが飛ばされた方向へ飛び立つエルメロイだった。
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