外伝⑬【属性魔力強化の課題】
エルメリーチェは15歳になった。
学校を卒業して、エルメロイが出す課題をこなしていた。
エルメリーチェが得意とする魔法は雷属性のみ。と言ってもどれも一般人以上に使いこなす事ができるが、魔力を200%出力する事が難しいのだ。唯一雷属性の魔力のみ200%出力する事ができた。
全属性を200%出力させるにはそれぞれのゆかりの物に触れて感じるしかないそうだ。
エルメリーチェが最初に来たのは山の中だ。草木に触れて魔力を感じなければならない。
山の中でも一番大きな木のところへ行き、木を抱きしめてみた。魔力を感じる事なんて微塵もできそうにないと思いながらも日が暮れるまでずっと抱きしめていた。
すると生命の呼吸のようなものが感じられた。
-あぁ…不思議。緑色の光が見えるみたい。これが木属性魔力なんだ。-
エルメリーチェは手に緑色の光を灯した。木属性200%だ。
「帰るぞ。」
懐中時計を手にしたクルトにそう言われてコクリと頷いてサルバトーレ邸に帰った。
翌日
キャンプファイヤーでもするのかというくらい薪を積んで並べて火をつけて、今にも火傷してしまいそうな近さで火を浴びるエルメリーチェ。
-皮膚はヒリヒリするし汗だくだし最悪・・・これをいつまで続ければいいの?-
すると段々と赤い光が見えてきた。これが火属性なのかと手ごたえを感じる。試しに出力してみれば200%と感じられるくらいの光をしていた。
「やった!!終わった!!」
その場で仰向けになるエルメリーチェ。近くで見守っていたエルメロイが水でキャンプファイヤーを鎮火した。
「良くやった。火傷だらけだな。よし、このまま聖水の滝に行くか。」
「…?はい。」
返事をするや否や、ワープで一度溺死しかけた滝へ連れてこられた。
異様なくらい静かな森林。そして虹を作りながらザーッと勢いよく流れる滝。
「あの滝に打たれてこい。」
エルメロイは滝を指さした。
「えぇ!?」
「ドレスは脱げよ。溺れるからな。」
そう言われて、農民が着用するような麻でできた服に魔法で早着替えをし、滝の側へ行こうと水に足をつけてみれば刺すように冷たくて驚いた。
「つっめた!!!」
「魔法で皮膚を覆え。基礎の基礎だろう?忘れるなよ。」
エルメロイは腕を組む。
「そうだった。」
エルメリーチェは火属性をほんの2%ほど出力して体に膜を張る感じで魔法をかけた。
泳いで滝の側へ行き、丁度座る用に岩が置いてありそこに座って滝に打たれた。
「おーい!!そこまで行ったら魔法を切れー!!」
エルメロイの叫び声を聞いて、先程張った膜を切れば刺すような痛みに襲われた。
「あ゛ーーーーーーーーーっ!!!」
大声で叫びながら滝に打たれていると、先程の火傷が消えている事に気が付いた。しばらくすれば痛みに慣れて、とても晴れやかな気分になり、心地よくなってきた。
-滝に打たれてるはずなのに、嘘みたいに心地よい。凄い・・・。-
そして、聖属性魔力200%を出力してみれば、しっかりと指に光が灯り、滝から上がった。
「お疲れさん。」
エルメロイはバスタオルをエルメリーチェに渡す。
「ありがとう。」
エルメリーチェは水を拭きとろうとしたが、一旦側へおいて、もう一度聖水の池の中へ入って潜った。
すると・・・水色の光が見えた。
-これだわ!!水属性の力。-
池から上がった。
「叔父様がどうしてバスタオルを渡してきたのか、わかったの。」
「良く分かったな。言わなくても池に入っていったから驚いていたんだ。」
エルメロイはもう一度池に入るから良いだろうとバスタオルを渡したのだ。でなければ魔法で乾燥させれば良いだけ。それをエルメリーチェは察知して自ら池に入り水を感じに行ったのだ。
エルメロイは今度こそパチンと指を鳴らしてエルメリーチェを乾かした。
翌日
エルメリーチェはエルメロイと一緒にサルバトーレ邸内の砂地に寝転がっていた。
「どうして叔父様まで寝転がってるのよ。」
「ついでだしちょっと話でもしようかと思ってな。」
「話?」
「お前の出生について詳しい事が分かった。お前の母親アリアラは代々聖属性持ちが生まれる家の生まれで、本来なら神官として王宮で働くみたいだが、魔力はほとんどなかった。だから王族に嫁ぐか、無職でいるかのどちらかしか選択肢がなかったようだな。丁度、聖女降臨を封じていたから王族に嫁ぐ予定でいた。本来ならそれで良かったんだが、クロエルがそれを壊したんだ。エルメライドがそれを利用して結婚まで持って行った。規格外の強い子供を作る為にな。だが最初に生まれたのは女だった。狙いはその後に生まれた子供だろう。」
「お父様もお母様も愛し合ってると思っていたけれど、生まれてすぐにお母様が私に毒を吐いていたのを聞いてしまって、あぁ二人は愛してなかったんだなぁって、なんとなく分かってしまったの。でもこんな、利用するようなカタチだったなんて…。お父様なんて私が塔に閉じ込められてる間、最後の最後までずっと話しかけてくれてたわ。」
エルメリーチェは空を見つめる。
「お前、兄弟はいたのか?」
「弟が二人。双子のね。」
「髪の毛と瞳の色を覚えてるか?」
「白い髪の毛に黄金の瞳のシロと黒髪で紫色の瞳のクロ、私の大切な弟よ。」
「生まれてなくて良かった。完全に破壊人形だぞソレ。シロは聖属性だ。クロは魔力があるのなら全属性持ちだな。教育次第では破壊道具になる。」
「恐ろしいわね。可愛い弟達だったのよ。」
「この世に生を受けさせるわけには行かないな。」
そんな会話の中、茶色の魔力の光を見出すエルメリーチェ。
「こんな簡単な事で突破できるのね。」
「そうだ。なぁ…、エルナザール帝国を出れば俺達は神なんだってさ。知ってたか?」
エルメリーチェは体を起こして地属性魔法が200%出せるかどうか灯してみる。
「どういう意味?」
「そのままさ。だからフワッとした想像だけで、色んな事ができるんだ。外へ出れば俺達は本当に神だってわかるさ。」
「ふーん。」
地属性魔法200%出力を確認したエルメロイは起き上がって土埃を払った。そしてエルメリーチェに手を差し出した。エルメリーチェはその手を掴み立ち上がった。
すると一瞬チカッと視界が光って暴風域かというくらい酷い地域に到着したエルメリーチェとエルメロイ。
「いきなりワープするのやめてもらえますか?」
エルメリーチェはジト目でエルメロイを見る。
「すまん、すまん。ここが帝国の外だ。」
「ここが帝国の外?凄く荒れてるじゃない。」
「だろ?しかも魔法を使える奴なんて、ほんの一握りだ。稀に帝国の凡人が人に崇められたいが為に帝国の外に出るくらいだな。」
「風は感じる事が難しい。でも、ここなら…早いはずだ。」
エルメリーチェは目を瞑って風を感じる。
-光の粒が見える。だけど…わからない。どれが風の魔力なの?確かに感じにくい。魔力が凄く細かく分散してる…。どうやって感じれば良いの?-
「どうだ?」
クルトが突如エルメロイの隣に現れた。
「おい、俺の髪を無駄遣いするなよ。」
エルメロイは眉間に皺を寄せた。
「無くなったらもう一度切り落とせば良い。」
「おい!!」
「この世で唯一。ヒスイに氷属性を継承させたが、俺はアイツが最初で最後だと本気で思っていたんだがな。」
「俺にも継承させろよ。」
「無理だな。継承は弱みを握られているようなもんだ。」
クルトは手を出して魔力を放出した。
「何してるんだ?」
「さぁな。」
-小さな粒みたいな粒子の中に別の粒子が見える…。もしかして風って風自体が魔力なわけ?じゃあそこに留めておく必要があるわね。-
エルメリーチェは目を開けて風属性魔力を指に灯す。ただ灯すだけではない、留まらせるというイメージをしてみれば簡単に200%の輝きを保つ事に成功した。
「できた!!できたわ!!」
エルメロイが拍手をした。
「良くやった。とりあえず今日は家に帰ってゆっくり休むか。」
「早くしろ。煮込みハンバーグだな。」
「クルト様、いつの間に…。」
三人は仲良くサルバトーレ邸へワープした。
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