第二十六話【雷 その身に宿す時 時空へ旅立たんですわぁぁ~~~~!!!】
光の中で皆が夢のようなものをみた。
険しい森の中を奇抜なワンピースに裸足で泣きながら歩くエルメラルダだ。ボサボサのツインテールにワンピースも泥まみれだった。
「雷 その身に宿す時 時空へ旅立たん…雷…その身に宿す時…時空へ…。」と呟くエルメラルダ。
ポツポツと雨が降り始めた。そしてエルメラルダの髪の毛の色が金髪へと変化した。
「こんな体で…どうしろと…こんな体で…どうやって生きていけと…。アナスタリア様ぁぁぁ!!!」と叫べば近くに大きな雷がピシャンっと落ちた。
そして…エルメラルダの体には頭の上から足の先までビッシリと白色の紋章が浮かんでいた。
「この紋章がある限り…簡単に死ぬことも…誰か他の人と添い遂げる事も叶わず…なんて酷いお人なの。捨てるくらいなら…最初から…出会わなければ良かった…。…あぁ、本当に私の事を離されるのですね…。」と自信の魔力が戻ってきた事に気付くエルメラルダ。
エルメラルダは両手を高くあげ、天を仰ぐ。
「雷 その身に宿す時!!」と叫べば雷がエルメラルダ目掛けて降ってきた。それを浴びたエルメラルダは焼け焦げる事なく、言葉通りその身に宿し、エルメラルダの体は発光した。
(神はこの国を地球という星を模したと…そんな本をたまたま目にした事がありましたの。一度見て見たいですわ。神が模したいと思った星を。)
「時空へ…旅立ちますわぁぁ~~~~~~~~~!!!!!」と言ってエルメラルダから光が抜けて体だけそこに残った。
死体のように生気を失った目。ダラリと空いた口。
光が収まると同時に目の前に金髪ツインテールで体に白い紋章が広がるエルメラルダが横たわっていた。
「ル…ルディ!!」とアナスタリアが急いで近寄ろうとするが、自身に宿す闇の力に恐怖し、体を止めた。
「待ってください。中身がありません。これはただの器です。」とヒスイが冷静に言った。
アナスタリアはガクリと床に膝をついて、ドンッと床を殴った。
「何故俺は…どこでルディを捨てた!!!捨てるはずがないだろう!!!!」と怒りを露わにするアナスタリア。
「きっと兄上は自分に殺して欲しいと願ったんでしょうけど…予定は変更です。自分も殺そうと思ってましたけどね。まぁ。死ぬ覚悟で行ってきて下さい。それでやっと…エルは自分の物になります。」と言うヒスイ。
「…どういう意味だ。」
「今から、ロイと共に兄上に雷を宿します。だから探して来てください。中身を。」とヒスイ。
「は?何を言っているんだ?そんな事ができるはず……いや、お前なら…できてしまうのか?」とアナスタリアが顔を上げる。
「まぁ。闇を宿したんですから、それくらいしてもらわないと。ついでに闇は宇宙の果てにでも捨てて来てくださいね。」と言ってヒスイはアナスタリアの肩を持った。
するとシュンッと光の玉がそこにいる人らの目の前を通ってエルメロイが現れ、アナスタリアの肩を持った。
「では、良い旅を。大丈夫です。兄上は自分の次の次くらいには天才ですから。」と言って笑って、エルメロイの目をチラリと見た。ヒスイとエルメロイの二人で雷属性の膨大な魔力をアナスタリアの体の中に注いだ。するとアナスタリアの体が先程見た夢の中のエルメラルダのように発光し始めた。
「いくぞ!!!」とエルメロイ。「はぁぁぁぁぁ!!!」と二人声を合わせてアナスタリアの体に雷属性の魔力を流し込んだ。
「おい!へばるな!!」とヒスイがエルメロイに声をかける。
「お前こそ!!弱っているぞ!!」とエルメロイ。
そんな中エルメラルダが二人の間を割って入ってアナスタリアの頬を両手で持った。
「エル!?」とヒスイが焦る。「危ない!!」とエルメロイ。
「行ってらっしゃい。」と言ってエルメラルダはアナスタリアの体を一瞬で浄化して、アナスタリアの中に眠る聖属性を活性化させ雷属性の魔力を注いだ。
すると夢の中で見たエルメラルダのように光が体から抜け、アナスタリアはバタリと体を倒した。
生気のない目、口をダラリとあけて本当の抜け殻みたいになった。
「エル!!いつの間にそんな技を…。」とヒスイ。
「危ないだろう!!何かあったらどうするんだ!!」とエルメロイ。
「なんだかできる気がして…。雷属性の体と魂を分離させる技。」とエルメラルダ。
「終わったんだな…。」とエルメロイ。
「終わりましたけど、酷い魔力痕です。一般人が入ったら感電死しちゃいますね。」と魔力切れのヒスイはバタリと倒れる。
「掃除からか…。」と同じく倒れるエルメロイ。
「もう…二人とも情けないなぁー。」と言ってヒスイとエルメロイの手を握るエルメラルダ。
そして横たわっているアナスタリアの体と何処かの未来のエルメラルダの体を一瞬見つめて、すぐにワープをした。
ワープ先にはティファニールが今にも泣きそうな顔をしてソファーに座っていた。
「に、にー様!!エルお義姉様!!…無事だったんですね…。」と申し訳なさそうな顔をする。
影がすかさず無言でちゃっちゃと男二人の体をソファーに運んだ。
「うん。」と言ってティファニールに触れて、残っている闇の残留思念を払った。
「あ…。」と息を吞むティファニール。
「ティ…そこにいますか。」とヒスイは、ほぼ意識が途切れるか途切れないかギリギリの中ティファニールに話しかける。
「なぁに?にー様。」とヒスイを見るティファニール。
「城内の掃除を…頼み…ました。それから…アナスタリアと…エルメラルダが玉座の間に…いる…ので…。安全な場所に…。ティな…らでき………。」と言えばヒスイは眠ってしまった。
「全く。いつも僕ばかりに後片付けをさせるんだから。」と文句を言ったかと思えばティファニールもワープを使って消えてしまった。
「ねぇ、影さん。ヒスイを自室のベッドに運んでくれない?」と言えば影がコクリと頷いてヒスイを持ち上げてワープした。
エルメラルダも自室へ移動し、ベッドに寝転がる。
「ん~~~~~~終わったーーー!!!」と言って大きな伸びをして笑うエルメラルダ。
一方エルナザール城では、ほとんどの人が浄化されており、闇はある程度払われた。残りの闇はエルナザール城の敷地内にある離塔にて時期王妃が現れるまで幽閉される事が決定されていた。
但し、酷い怪我人が後を絶たない。
今まで王妃の魔法で怪我は治療されていたが、その王妃は光となって消えてしまったのだ。
そしてエルメラルダは公には聖属性を使う事ができない。
執事のダリはミロードを庇い、顔に酷い火傷をおってしまい片目を失った。
騎士団長グランドリヒは闇の属性魔力に触れすぎて浄化しきれず目が曇り、この先隔離塔で暮らさなければならない。王国騎士のディールはハルクと戦い片腕を失ってしまった。メイド長とその子供はサルバトーレ家へ引き取られた。魔法士ウリュウとアナスタリアの秘書のキュールも闇に犯されて幽閉が決定されていた。コックのエドウィルもサルバトーレ家に引き取られた。
オミドーは王と共に付き添い、ストレスからか髪の毛が全て抜け落ちてしまった。
色んな人が傷つき苦しんだ。王城内は凄まじい魔力痕で誰も立ち入る事ができない状態だったが、ティファニールが見事にそれを掃除した。
全てはヒスイが7ヶ月かけて作った魔法陣のおかげだ。外へ絶対に漏れないようになっており、それを利用して端から楽に魔力痕を消していく事ができた。
王妃は亡くなったが、罪が大きすぎる為葬儀はしない事となった。
そうして慌ただしく時は過ぎて行くのだった。
バリバリ更新する前に1日お盆休みとろうかな…!!沢山のブクマとイイネありがとうございます!!
ちょいちょい誤字報告も適用していきたい所存でござりまする。




