第二十五話【ちょ!?えっ!?どういう展開ですの~~~~~~!?】
【三ヶ月】という月日は直ぐに過ぎ去った。
エルメロイとヒスイはエルナザール城の前に二人で立っていた。
「なんだかあっという間だったな。」とエルメロイ。
「そうですね。まぁ、とりあえず正面突破といきますかぁ。」とヒスイ。
ヒスイとエルメロイの後ろには各貴族の当主が各自、杖のようなものを持っていた。
各当主の持つ杖は本来星降る夜の儀式で使う魔力を3倍は跳ね上げる杖だ。ヒスイがフルで戦う為、膨大な魔力痕を外へ漏らさない為に各当主には結界を張ってもらう事になっている。
「すみません、こんな余興に付き合わせてしまって。以後気を付けます。」とヒスイは氷属性の貴族に向かって深々と頭を下げて謝った。
氷属性の名門貴族。クルト・クラリアス辺境伯。水色の髪に鋭い目つき。高身長。なんとも威圧的なオーラがでていて、氷を体現したような人だ。
「いい。稀にある。・・・・・・・・・ま、お前のような奴は初めて見たがな。」と重い口を開くクラリアス辺境伯。創世記周辺から今の今までずっと生きているはずなのに見た目の年齢は30代前半くらいにしか見えない。
「では突撃します。フルパワーで・・・。」とヒスイが言葉を途中でやめてしまったのには理由があった。結界の中でアナスタリアが空中を浮いて・・・エルメラルダを抱いて城の中へ入っていくのが見えてしまったからだ。
「…誰だ。手引きした奴は。」と低い声を出すヒスイ。
「エルがどうして・・・。」とエルメロイ。
ヒスイは我を忘れているかのように光の玉となり正面を突っ走っていった。
「おいっ!!開始だ!!作戦開始だ!!ハルク王子、ミロード王子頼みましたよ!!」と言って急いでヒスイを追うエルメロイ。
「いいぜ。王室第二騎士団!!気合いれろ!!!城の中にいる闇落ちした兵を浄化しろ!!」とハルクが言えば、ハルクの後ろについていたハルク付きの第二騎士団員達が「おー!!!」と声を上げた。「僕らも行こうか。」と言ってミロードが率いているのは王室魔法士団だった。
王宮は今やアナスタリアの闇の力により、操られている人達で溢れかえっていた。
相手を気絶させた後、ヒスイがどこからか手に入れてきた聖水をぶっかければ相手の闇が消える。
人を絶対に殺してはいけないという命の元、厳しい戦いが幕を開けた。
エルメラルダは目を覚ました。
起きれば玉座に座っているアナスタリアの膝の上に座っていた。
「え……?」と目の前の現状が理解できなくて固まるエルメラルダ。
エルメラルダは先程までティファニールと一緒にお菓子を食べていた。それが一瞬の光にさらわれてしまった。ティファニールの奥底に潜んでいた闇を操り、ティファニールを使役してアナスタリアは城まで連れてきたのだ。
「良かった…どうしても最後にルディの顔が見たくってね。」と優しく微笑むアナスタリア。
しかし白色が似合うアナスタリアの今の服装は真っ黒でそれが服でない事に気付いてしまうエルメラルダ。闇の力が凝縮してできた服だ。ティファニールにみっちりと魔法について教え込まれていたエルメラルダだからこそ分かった。
「アナスタリア様…どうして闇に…。」と悲しそうな顔をするエルメラルダ。
「俺はね…とっても弱い人間なんだ。だから、母上の欲に負けたんだ。うーん…やっぱりルディと触れてると…意識がしっかりとするよ…。」とアナスタリアはエルメラルダの首筋に頬を擦りつけた。
「や…やめてください…。」と顔を青くするエルメラルダ。
逃げようと思えば逃げれるはずなのに体が動かないのだ。いったい何が自分をそうさせるのか。
「どうせ欲に負けたのなら…最後に俺も欲望のままに生きてみようかと思ってね…。ごめんね。君は全然関係ないのにね。」と言ってキスをしようとすればビリっと電気が走ってそれを阻害された。
「危ないものを着けてるね。俺の唇が無くってしまいそうだったよ。ふむ、古代の廃止された魔法か。やっぱり我が弟は天才だね。この魔法の事なんて教えられてる?」
「…廃止された魔法としか…キスマークと一緒だって聞きました。」とエルメラルダ。
「これは…紋章をつけた本人しか唇を近づける事ができない魔法だよ。とっても簡単な理由で廃止されたんだ。独占欲の強い王女様がいてね…それを使った対象の男性が運悪く溺れてしまったんだ。誰も彼に人工呼吸ができなくて救えなかった。ただそれだけの理由さ。」と今度は指でアナスタリアの耳を愛おしそうに触る。
「アナスタリア様…貴方…今正気に戻ってる…。」と直感でそう感じて口に出すエルメラルダ。
「うん、そうだね。ルディが近くにいるからね。」とアナスタリア。
「もうこんな事やめよう?アナスタリア様の闇を払うからっ。」と涙ぐむエルメラルダ。
「嬉しいね。ルディの残思が感じられる。動こうと思えば動けるのに動けないのかな?」とアナスタリア。今度は耳から首をやたらと触る。
「んっ……今なら、まだ間に合います。」とエルメラルダ。
「間に合うわけがない…俺の体は…汚れてしまっているからね…。君が夢で見たんだろ?そしてそれをヒスイに伝えた。」とアナスタリア。
「どうしてそれを。」と驚くエルメラルダだが言葉を続ける「でも、前世では…地球という星では誰だって誰かと関係を持っていたし一人きりっていうのは無理よ。その…相性があるし…出会いと別れ…とかも。だからそこは気にしなくても良い気がします。」とエルメラルダ。
アナスタリアは首を左右にふった。
「この星だってそうさ。同じだよ。俺が許せないのは……相手が母上だからさ。」と衝撃的な言葉受けて唖然としてしまうエルメラルダ。
「ど……して…。わ、私の…せい?」と顔を青くして震えが止まらなくなる。
「そう…とも、違う…とも言えるかな。どうしても叶えたい夢があってね。この身に闇を宿す為に自ら受け入れたんだ。」とアナスタリアはエルメラルダに頬擦りをした。
「アナスタリア様の…夢って…。」とエルメラルダが問う前に玉座のある部屋の扉が開いた。
「エルを離せぇぇぇ!!!!」とらしくもない叫び声をあげ凄く怒っているヒスイ。
「はい、はい。ありがとう。時間をかけさせて悪かったね。」とアナスタリアはあっさりエルメラルダを離した。すると直ぐにヒスイはエルメラルダを抱き寄せた。
「あぁ…エル…エル…大丈夫でしたか?どこか傷つけられたりしてませんか?」と強くエルメラルダを抱きしめて確認するヒスイ。
「うん、大丈夫。」
「予定が変更されました。」とヒスイはアナスタリアを真っ直ぐみつめて伝える。
「変更?」とビックリといった顔をしてみせるアナスタリア。
すると部屋の奥から王妃が現れた。
「母上。」と細い目をして王妃を睨みつけるアナスタリア。
「全て…私の欲が招いた事だったのですね。」と申し訳なさそうな顔をする王妃。
「いえ、私が不甲斐ないせいです。」とアナスタリア。
「先程、王には別れを告げてきました。私が正気に戻ったとして、このまま生きる事は叶いません。…王への裏切り行為により死刑となるでしょう。ですから…聖属性の奥義により、器を残します。」と強い意志を持つ王妃。
「何の話だ。これは。」とヒスイを見るアナスタリア。
「兄上を無事に連れて戻った時、入れ物が必要だろうって事ですよ。」とヒスイ。※「兄上が」にしたければ「無事に連れ戻された時」。『を』だと自分が行う事。『が』だと自分以外の誰かが行う事。
「入れ物?まさか…。」とアナスタリアは立ち上がった。
王妃は早速体に光を灯した。それはとてつもなく強烈な光で目を開けていられないほどだった。
ぎゃああああ!!ってなるくらいのイイネとブクマありがとうございます!!!
連続更新がんばりまあああああああす!!!誤字報告ありがとうございました!24話3ヶ所訂正いれました~




