第十九話【最強コンビですわぁ~~~~~~~~~~!!!】
エルナザール城最上階 王妃の部屋。
とても煌びやかな部屋にアナスタリアが生気を失ったような目をしてアンティーク調の椅子に座っていた。
(いつからこうなってしまったんだろうか…いつから…。元々母上は格好良くて女性なのに男気のある素晴らしい皇后で…俺も尊敬していたのに。)
「あぁ…可愛い可愛いアナスタリア。大丈夫、安心して頂戴。この母が必ず、アナタを時期王にしてみせるわぁ…。」とアナスタリアに頬擦りをする王妃。
(やめてください。母上。)
「この母の失態を許して頂戴。…その為にはヒスイをなんとかしなければ…。アナスタリアは何も心配しなくていいのよ。」と王妃は床に座り、アナスタリアを抱きしめる。
(やめてください。母上。)
「母を信じてここで待っていて頂戴。もう一度、邪魔な王子共を退けてみせるわ。」と今度はアナスタリアの唇に口付けをする王妃。
(もう…やめてくれ…。)
正気に戻った王妃は「あら、どうしてここにいるの?」と不思議そうな顔をして、アナスタリアを解放した。
アナスタリアは真実を喋れない。昔エルメラルダの兄エルメロイにかけたものと同じ呪いを自分も受けていたからだ。これは自業自得なのかもしれないなんて思っており、ヒスイに相談する事もなく耐えていた。
エルメラルダがいた頃は、邪悪なる王妃の力に抗う抵抗力があったものの、隣を去ってしまってからは全く抗えなくなっていた。
だけど、今エルメラルダがヒスイの元にいるのは返って好都合かもしれない。とアナスタリアは考えていた。
(どうか…この国の平和が続く事を願う。ヒスイ…お前が王になれ。それで……俺を…殺してくれ。)
一方ヒスイはエルメラルダとサンルームで日光浴を楽しんでいた。
「案外良いものですね。こういうのも。」
「ねーやっぱり王妃様の事教えてくれない?」とできるだけ自分の中で可愛くおねだりしてみるエルメラルダ。
「またですか。この前も言いましたけど、とっても危険な匂いがプンプンするんでエルにはまだ早いですって。それに良い歳したババアが何可愛い子ぶってるんだか。」と呆れた顔をするヒスイ。
「ひ、酷すぎる!!!そこまで言う!?……家出する。」と拗ねるエルメラルダ。
「は?」と驚くヒスイ。
「実家に帰らせて頂きます!!」とヒスイに指を指して断言するエルメラルダ。
「分かりました、言います!言いますから…。すみませんでした。」とかなり慌てるヒスイ。
「じゃあ残る。」と嬉しそうにするエルメラルダ。
「まだ確かではないというか、確信が持てませんので、うーん…まず、母上そのものが悪とは自分は思ってないんですよねー。悪は兄上、アナスタリアを王にしようとしている事は確かじゃないですかね。結構複雑な呪いをかけてくれちゃって…ほんと。エルがいるから解けたようなものですよ。」
とぼーっと空を見上げながら話すヒスイ。
「え?私何もしてないよ?」と首を傾げるエルメラルダの頬をむにっとつまむヒスイ。
「肺と鼻を治してくれたのはどこの誰ですか?」とヒスイはジトッとした目でエルメラルダを見る。
「私?え?あれが呪いと何か関係あったの?」と頭に大量のハテナを浮かべながら考えこむエルメラルダ。
「兄上、ミロードにかけられた呪いは、解呪者の呼吸器官を壊すような反撃魔法が組み込まれていました。大量の魔力を消費して何とか抑え込んでいましたけど、抑えきれず結果、エルの前でみっともない姿を見せるはめになってしまいました。」とガックリといったジェスチャーをするヒスイ。
「…ヒスイ。お兄様って呼べないの?」と全く関係ない話をぶっこむエルメラルダ。
「はい?」と言って目をパチクリさせるヒスイ。
「…あまり、兄っていう血の繋がり的な意識をした事がないので。まぁ。兄弟は仲良くするものだという道徳は学んでますから、最低限は…兄だと思ってはいる…ような?」と難しそうな顔をするヒスイ。
「ふーん、ちゃんと名前で呼んであげたら喜びそうだけど、みんなヒスイの事、大事に思ってそうだけど。」
「…喜ぶねぇ。」
「ヒスイは私にヒスイって呼ばれるの嬉しくないの?」
「嬉しいに決まってます。」とキリッとした顔をして答えるヒスイ。
「全く一緒ってわけじゃないけど、それと同じだよ。家族ってそういうものなんだよ。」と言いながら温かく微笑むエルメラルダ。
「分かりました。エルのいう事は何でも実践してみます。」
「うん!良い子!」と言って嬉しそうにヒスイの頭を撫でる。
「…エル。やっぱり早めに母上をどうにかしようかと思います。」とヒスイが言えば撫でる手を止めるエルメラルダ。
「ん?」
「何年もかけて計画してきた全てを自分は壊してきました。きっと今直ぐにでも何かしかけてくる気がするんですよねぇ…。」
「なるほど?」
「ここも安全とは言えません。エル、全ての事が終わるまで実家に帰っててもらえますか?」とヒスイは寂しそうな顔をして提案する。
「そんなに危険なんだね。」とエルメラルダも悲し気な顔をする。
「はい…。」と真剣な顔のヒスイ。
「うん、わかった。ずっと一緒にいたから離れるのは寂しいけれど…。」
・・・・
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「おい。どういうつもりだ。」と怒りを露わにする雷属性名門貴族エルメロイ・サルバトーレ。
「いやぁ、城が危険なんで、ここを拠点に動こうかと。」と言って口角を上げるヒスイ。
城が危険だと判断し、エルメラルダに依存しまくっているヒスイがエルメラルダと離れられるわけもなく、ヒスイの中で一番信頼が置ける、サルバトーレ家へ避難する事にしたわけだ。
到着するなり、ヒスイは勝手に離れの城を短時間で魔改造してしまった。もちろんエルメラルダ好みに。
「誰が勝手に住んでいいと言った!!!」と怒鳴るエルメロイ。エルメロイからバチバチと雷属性の魔力が溢れ出す。
「お兄様!!すっごく素敵な離れになったよ!ヒスイの魔法って本当に凄いの!!」と、意味不明なくらい喜んでいるの見て、エルメロイも「そうか。良かったな。」とか細い声で顔を引きつらせながら返事する。エルメロイは非常に妹に弱かった。
「お兄様、私もうちょっと探検してくる!」とウキウキで魔改造された離れの城へ走っていくエルメラルダ。
「気を付けてな。」と力なく手を振るエルメロイ。
「センス抜群だと思いませんか。ほぼ全魔力を使い果たしましたよ。」とヒスイ。
「センスは認めてやらん事もないが、急過ぎないか。」と片手で額を抑えて顔を青くするエルメロイ。
「急といえばエルメロイ。自分と一緒に行動を共にしてもらえませんか。」とヒスイ。
「ほんっっとに急だなぁ!!それはっ!!」と再び怒るエルメロイ。
「将来はニートになる覚悟で自分について来てください。」と人差し指を立てて言うヒスイ。
「ニート?なんだそれは。」と眉を顰めるエルメロイ。
「エル曰く、学生でもなく、働いてもおらず、仕事に就くための職業訓練も受けていない、つまり仕事をする意思のない人らしいです。」と丁寧に説明するヒスイ。
「アホか!!働く気ならあるわ!!!」と怒鳴るエルメロイ。
「職を完全に失う覚悟で自分についてこいって言ってんです。」と真剣なヒスイ。
一応ヒスイとは長い付き合いのエルメロイは知っていた。このヒスイは真剣なのだと。そして、職を失うという事はほぼ死ぬ覚悟でついてきてほしいと言われている事も。
「何をすればいい。」と落ち着いた声で問うエルメロイ。
「ただ、側にいてくれればいいです。アンタなら……自分の計算通りに狂いなく動きますから。こんな事になるなら…時期王になると意思表示してなっとけば良かったですね。反省してますよ、今更ながら。」と少し笑うヒスイ。急にバタンと床に倒れ込むヒスイ。
「…変わったな。お前。……いいだろう、暇だしな。」とニヤリと笑うエルメロイ。ヒスイが倒れている事についてはスルーを決め込む。
「…既にニートだったんですか?」と怪訝そうな顔をするヒスイ。
「違うわ!!!」と怒るエルメロイ。
「起こしてくれないんですか?」と魔力が空っぽで立ってる事もできないヒスイ。
「ふんっ、お前がセンス抜群だと豪語していた離れを見物してきてやろう。」と良い顔をするエルメロイ。
「おい…。」と恨めしそうにエルメロイを睨むヒスイであった。
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