第十八話【おめでとうございますわぁ~~~~~~~~!!!】
第二王子のハルクは後ろでヒスイが何かをしている事に気付いた。
ハルクだって、優秀な腹心の一人や二人はいる。あの日から秘密裏に呪いの調査をさせて判明した事がある。通常の魔法士が呪いを解くと数日は呪いの痕、煙のような残り香がする。超がつくほどの天才児ヒスイは流石としか言いようがないほど呪いの痕を綺麗に消しさっていた。
魔力操作が不自由で苦労した数年間、見る力だけは通常以上に育っていた。微かな、ほんの1ミリくらいの煙でも誰の魔力かくらい見分けがついた。王妃だ。
ハルク自身ショックを隠せなかった。だけど、天才とはいえ、血をわけた可愛い弟が頑張っているのだ。自分だけショックでふけっているわけにもいかない。
(上手くやれよ。弟。時間は稼いでやるから。)
入場するなり全ての電気が消えて「キャッ」と悲鳴が上がった。
ヒスイ以外の人はなんだ?と一瞬会場を見る。
すると直ぐに色んなカラーの雪のような光がチラチラと降る演出をしてみせるハルク。
「わぁ!!!」と歓声が上がった。
ヒスイはミロードの火傷の痕に三本指を押しあえてて、拭うように擦れば火傷の痕が消えた。
「成功しました。」と言ってエルメラルダの隣へ颯爽と帰るヒスイ。
「良かった・・・。」とヒスイの腕に手を絡めるエルメラルダ。
入場の順番になって、ヒスイは入るなり、花火のような光を作り出し、会場にいる人々を盛り上げた。
次にティファニールが入場し、第二、第三王子がやらかしたものを魔法で綺麗に片付けてペコリと礼をした。魔法を綺麗に片付けるというのは、とても繊細な魔力操作、魔力相殺が必要だ。だからこそ、それを綺麗に片付けられたティファニールには盛大な拍手が送られていた。
それから王族達は所定の席に座る。
そして最後に今日の主役、ミロードが入場した。
「本日はお忙しい中、僕の誕生祭にお集まりいただき、誠にありがとうございます。堅苦しいことは抜きにしましておくつろぎいただき、楽しいひととを過ごしていただければと思います。スカートとスピーチは短いほど喜ばれますので、手短かにご挨拶させていただきます。このような日を迎えられましたのも、こうしてここにお集まりいただいた皆様のお蔭でございます。そして、この度、隣にいるキャサリン・エーデルハイツ公爵令嬢と僕は婚約しました事を報告致します。
それでは、そろそろ皆様の腹時計が一斉に鳴り出す前に、乾杯の挨拶に移らせていただきます。」と言ってミロードはキラキラとした聖杯のようなカップを執事のダリから受け取り高く掲げた。
それが乾杯の合図で盛大な拍手と共にパーティーが始まった。
暫くすると曲が流れはじめ、ヒスイはエルメラルダと共に立ち上がりダンスをする。
今日の為に一生懸命ヒスイと共にダンスを練習したエルメラルダ。緊張しながらも背筋をピンと伸ばし踊ろうとすると、体が勝手に動いて見事すぎるダンスを披露してしまう。
「ヒ、ヒスイ!?」と驚いた顔をするエルメラルダ。必死に笑いをこらえながらダンスを踊るヒスイ。周りもヒスイとエルメラルダの美しいダンスを見て ほぉっとしてしまう。
ダンスを終えて席へ戻る二人。
「……あの鬼のような練習の日々はいったい…。」と魂が抜けてるかの様に座るエルメラルダ。
「面白すぎて吹き出しそうになりました。」と飄々としているヒスイ。
「エルの反応があまりにも可愛いもんですから、つい。」と悪戯な笑みを浮かべるヒスイ。
「もう…。」と仕方がないなぁと言いたげな顔で落ち着くエルメラルダ。
パーティは何事もなく終わった。…何事も。
自室のベッドへ倒れ込むようにして寝転がるエルメラルダ。
「あーーーー疲れたーーーー。」
ヒスイはエルメラルダの隣に座って優しく微笑みながら、よしよしと頭を撫でた。そんなヒスイの顔を見て、エルメラルダも微笑む。
しかし、次の瞬間。
ボタ、ボタボタと…口から鼻から血が出るヒスイ。一瞬でエルメラルダの顔は青ざめてしまう。
「え!?え…どうして…?」とパニックになっていると影がやってきて「胸に手を当ててください。」とエルメラルダにアドバイスする。
ヒスイの胸に手を当てれば勝手に聖属性の癒しの光が手に灯った。
影はそのままヒスイの血を拭きとってエルメラルダのベッドへ寝かせる。
「ヒスイ…。」
「大変お疲れの様ですね。」と影。そんな影の声をどこかで聞いたようなと少し怪しむエルメラルダ。しかし、聞いたと思ったらすぐに声が思い出せなくなる。
癒し続けているとヒスイは眠ってしまった。影は診察するかのようにヒスイの体を触った。
「問題ありません。」とだけ言って再びドアの近くで待機する影。
影に目がいっていたエルメラルダだが、ふとヒスイを見ると寝巻らしき姿に変わっていて、髪の毛もいつも通りになってしまって驚いた。いったいどんな早業を使ったら今の一瞬でここまで完璧に睡眠スタイルになれるのか。
(そうはならんだろ…なっとるやろがい。)と心の中で一人ボケツッコミをするエルメラルダ。
「私も疲れたし、お風呂に入って寝ようかな。」と言えば影がサッとバスタオルや寝巻を用意して渡してくれた。……ヒスイの影っていったい何なの。
一方、今日の主役だった第三王子ミロードはキャサリンと自室にいた。基本的にミロードには執事のダリがついていた。しかし、ダリもこうして本業をこなすのは初めてといっても過言ではない。
何故ならミロードは呪いのせいで見境なく女性についていってしまう癖があったからだ。魔法が使えない民の事を一番に考えるミロード。公務だって真面目にやりたかった。しかし、ついフラっと誘われる香が発生すれば女性についていってしまって、声をかけざるを得なくなってしまう。
それもこれも…首の後ろを、とある事故で焼かれてから始まった。親友だった友達の魔法が暴発し当時髪の毛が短かったミロードの首の後ろに当たり火傷を負った。
幸い、王妃の聖属性の治療のおかげで難なく終えたが、親友は不敬罪で処刑されてしまった。どれだけ減刑を求めても罪は罪だと聞き入れてもらえなかった。深い悲しみの中…女性を追う日々。
公務とちゃんと向き合えたのは初めてだった。やりたい事をしっかりこなせる事に喜びを感じるミロード。ダリもやっと使えるべき主人の病が治ってホッとしていた。
キャサリンの生まれは火属性の名門貴族の令嬢。それだけではない。ミロードの親友の妹だ。親友が処刑されてしまう前に面会した時にキャサリンを頼むと言われた。
しかし、キャサリンは隠されていた。とある秘密を知っていたからだ。
「私は、幼い頃に見てしまいました。王妃様が…兄の魔法を阻害するところ。」と悲し気に報告するキャサリン。
「こんな真似はヒスイか母上にしかできないさ。だけど、呪われた対象者は呪いだと気付けないようになっている。それに聖属性なんて誰にもまともに扱えないんだ。仕方がないさ。もっとヒスイと接触すべきだった…のかな。」と憂いを帯びた顔をするミロード。
「いえ、婚約者様が現れるまでのヒスイ様といったら…きっとまともに相手はしてくれないでしょう。」とダリがモノクルをクイっと上げて言った。
「間違えないねぇ。ほんと…どうしちゃったんだろうねぇ。アイツ。」
「ヒスイ様はそんなに変わられたのですか?」とキャサリン。
「変わったよ…ほんと。…そんな事より、僕は君を救う事ができて嬉しいよ。」と立ち上がり、キャサリンを後ろから抱きしめるミロード。
「まぁ、ミロード様ったら。」と頬を赤らめて嬉しそうにするキャサリン。
ミロードはずっと、キャサリンという名の女性を探し回っていた。時には国外まで。一件だけ桃色の髪をしたキャサリンという名前の女性がいるという場所を特定した。そこを訪ねるが毎度毎度、仕事の時間だ帰れと追い返されてしまっていた。王族だと言って、王命だと言って脅しても辞めた等と抜かし、絶対に会えないように仕組まれていた。
相当困っているとこにヒスイからの助言だ。ヒスイが言った仕事が終わる時間とは仕事が終わる時間という意味ではなかった。彼女が外へ出させてもらえる時間だったのだ。
ミロードは感謝してもしきれない思いをヒスイに抱いていた。
ブクマとイイネが沢山きていて、気持ちよくなってしまったので、追加更新する事にしました!!!
お楽しみくださいませ~~~~~!!!!




