第十四話【そ、そこに水はいけませんわぁ~~~~~!!!!】
今度こそ貞操の危機かと思いきや、ヒスイはよっぽど疲れていたのか眠ってしまった。
それから起きるなりキッチン作りをはじめた。
監禁生活5日目にはキッチンができて、エルメラルダはご機嫌で料理を作ったり、レシピを考えて書いたり、本を読んだりして快適に過ごしていた。
エルメラルダが使っている部屋は7LDKといったところだ。キッチンもヒスイが魔法を駆使して作ろうとしていたところをエルメルダが 現代チート と呼ぶ知識で事細かくヒスイに注文し、地球での人間生活と変わりのないキッチンが完成した。キッチンを作るついでに、浴室も脱衣室も追加注文をして、エルメラルダを監禁しているはずのヒスイだが、魔法の使いすぎと発明の為、大工仕事っぽい事までしていて、連日ヘトヘトだった。
「エル、他何か足りないものはないですか?」と優しく微笑むヒスイ。
「うーん、後は日光浴がしたいかなぁ。小さなサンルームが欲しいかも!!植物もあったら最高!」と理想を遠慮なく注文するエルメラルダ。
「…ほんと凄い発想力ですね。植物付きのサンルームですか。」とヒスイはソファーに座って上を向いて目を瞑った。
「ヒスイって本当に天才だよね。」
「…ん?どうして、そう思ったんです?」
「だって、イメージを伝えてるだけなのに、すぐに作ってくれるし。電子レンジも冷蔵庫も!私ほんとに感動したもん。」と嬉しそうにヒスイの隣に座るエルメラルダ。
「自分にできないものは無いって、ずっと思ってました。この部屋もエルが快適に過ごせるように家具も何もかも全て揃えたはずなのに…足りないって言われて、内心かなりショックで…。まぁ、だから頑張ってます今。傷ついたプライドを回復させる為に。」と拗ねたような口調のヒスイ。
「あっはは!ありがとう。」とヒスイの頬に軽くキスをするエルメラルダ。
「全く。兄上もエルのお義兄様も、可哀想ですよね。中身が三十路過ぎたオバサンになってるなんて。」と皮肉たっぷりな言い方をするヒスイ。
エルメラルダは思いっきり頭に肘鉄をかました。
「イデッ!!」と頭を抑えるヒスイ。
「16歳!!私は16歳なの!!」と頬を膨らませて怒るエルメラルダ。
「酷いなぁ…こき使いまくるは暴力は振るうは。もしかして監禁されてるのは自分…?」等と意味不明な供述をしており動機は未だ不明のヒスイ。
「レディに歳の話は禁止よ!!」とビシっと指を指して注意する。
「はいはい。さて、じゃあ。囚われのお姫様の為に今からサンルームを作りますから、エルは貴族の顔と名前をしっかり覚えてください。結構体力持っていかれるんで、自分はそのまま寝ると思いますから。」
「わ、わかった!頑張る。」と言ってエルメラルダは分厚い貴族図鑑を開く。
ヒスイは立ち上がって2つあるうちの1つのベランダの前に立って両手に虹色の光を灯す。
火属性と水属性と地属性でガラスを作り、次にベランダに手をかざすとメキメキと木が生えて、生えたうちから綺麗にカットされてゆき、さらに地属性のコーティングが施されて、先程作ったガラスをはめ込みながら器用に操作し、あっという間にサンルームの部屋が完成する。
さらに木属性の魔法で芝生の絨毯を作って周りにエルメラルダが好きな草花を生やし、いくつか料理に使うであろうハーブを数種類生やした。それから日光浴をしたいというリクエストに答えて、ワープしてハンモックを購入し、さらにワープして椅子とテーブルを購入し、再びワープしてベランダの前に戻ってくる。それからハンモックとテーブルと椅子を設置して、その後、水属性の魔法を出来る限り最大限に空の魔法石に詰め込み、サンルームの端は全て溝になっていて、魔法石を壁に埋め込めば溝に水が流れ始めてチョロチョロと水の音が聞こえてとても安らげる空間となった。
「ふぅ…。ま、こんなとこですかね。」とヒスイは達成感に浸っていると激しくドアをノックする音が聞こえた。
コンコンコンコンコン…
「ヒスイ…。」と不安気にヒスイの顔を見るエルメラルダ。
「自分が出ます。」と言って一度エルメラルダの頭をポンポンとしてからドアを開けるヒスイ。
ドアを開けるなり「馬鹿野郎!!!」と怒鳴り声が部屋に響く。
「うっるさ。なんですー?兄上。」とヒスイは面倒臭そうに答えた。
声の主は第二王子のハルクで、髪も服もビショビショだった。ハルクは金髪に緑色のメッシュが入っている。それが水に濡れてメッシュが分かりづらいくらいだ。
ハルクはヒスイの胸倉を掴もうと手を伸ばして「てめぇ!!いい加減に……っ!!??」と言いながら掴もうとするとドアに仕掛けてある結界が発動してヒスイの胸倉をつかめないで驚く。
「その恰好でここまで来たんですか?」と呆れ顔のヒスイ。
「てめぇ!!俺が魔法苦手だって知ってるだろ!!つか!!俺のベランダ水漏れしてんだけど!!てめぇの仕業だろ!!」と怒鳴る。
「てめぇ、てめぇ、って本当に王族ですか?言葉使いが野蛮すぎです。」
「仕方ねぇだろ!!俺は王位継承権も捨てて騎士団入ってんだからよぉ。全員口わりぃんだよ。」とハルクは罰が悪そうな顔をして頭を掻く。
「わざわざ口に出さなくても、仕方ないですね。」と言ってパチンを指を鳴らすヒスイ。
ヒスイの魔法でハルクの髪と服が渇いた。
「ったく。何やってんだよベランダで。」
「エルがサンルームが欲しいっていうから魔改造を。水の捌け口を作るのを忘れてたんで適当に下の階へ流しました。」
「テメェ!!やってんじゃねぇか!!」と届かない拳を突き上げるハルク。
「まぁ、まぁ。今操作も終わったんで、水漏れも解消されてますし、帰っても良いですよ兄上。」
「……疲れる。お前と会話するの疲れる。」とゲッソリした顔をするハルク。
「ははは。確かに兄上とまともに会話するのは…エルが高熱で倒れて看病してる時以来ですね…その前は…5歳とか?」と恐ろしく真顔なヒスイ。
「そーだな。めんどくせー弟だからな。」とハルクは帰ろうと後ろを向くといつの間にかしゃがんでいるヒスイにズボンの端を引っ張られてビタンと盛大にコケてしまう。
「ってめぇ!!やりやがったな!!!」とハルクは鼻から血が出たらしく鼻を抑えながらヒスイの方へ振り向く。
「兄上。最初から魔法が使えなかったんですか?」
「は!?…あ、いや、いつからだったか調節がきかなくなってな。学校に入る前だったか?って、そんな事よりテメェ!!」と怒るハルク。
「こんなショボい魔法にやられちゃって。もっとちゃんと会話しとけば良かったですね。兄上。」といってヒスイは手を光らせてハルクの足首のホクロを押すとホクロが消えた。
「ん?なんだ?何したんだ次は。」と足首をさするハルク。
「邪悪なホクロを消し去りました。ちょっと試しに指に火を灯してみて下さい。」
「は?無理だって。俺が魔法なんて、ましてや火属性を使っちまったら火事になるぜ?」
「ここに天才児がいるじゃないですか。サポートしますから。ほら。」
ハルクは恐る恐る指に火を灯してみた。優しく温かい火が指に灯る。
「は?え!?なん…で…だ?」と驚き、目を見開くハルク。
「魔法阻害の呪いを受けてましたので水浸しにしてしまったお詫びに解呪しておきました。」と口元だけニコリとするヒスイ。
「お、お前凄いな!!!なんだよ…誰がこんな事。」とハルクが呟けばヒスイは立ち上がる。
「ミジンコ並みに簡単な呪いなんで、子供にイタズラでもされたんじゃないですか?」と言って部屋に入って、ドアの隙間から顔を出すヒスイ。
「くっそぉー!!許せねぇ!!ガキども!!俺の人生台無しにしやがって!!」と言ってハルクは立ち上がり自室へ帰っていった。それを見送ってドアをパタンと閉めて、エルメラルダを見れば青い顔で小刻みに震えて立っていた。
「ん?どうしました?」と首をかしげるヒスイ。
「第二王子の…攻略に必要な…重要イベントが…破壊された…。」
「え。」
3件誤字報告ありがとうございます!!訂正しました!!1~5話は高熱の中書いてたので助かります!!本日もありがとうございます!ブクマとイイネ待ってます!!力になります!!頑張ります!!




