第十三話【て、貞操の危機ですわぁぁ~~~~~~!!!】
お昼を食べ損ねているエメラルダの為に城下町の高級レストランへ案内するミロード。
二人はVIPルームへ案内された。長めのフカフカなソファーが2つ、真ん中にローテーブルがある。
店員に此方へと言われて、座れば次々と料理が運びこまれた。運ばれてきた料理はどれも悪役令嬢エルメラルダの好物ばかり、今のエルメラルダはそれらを美味しいと感じる事ができない。お腹も空いていたし、エルメラルダは小さな溜息を漏らして仕方なく食べる事にした。
「どうだい?君の好きなものばかりだろう?」と得意げに話すミロード。
「ミロード王子は、最近の王宮の料理を味わった事がありますか?」とエルメラルダが問えばミロードは困ったような表情をして「あはは、最近朝帰りが多くてね。起きたら用事でまた外へ出かけてしまうんだ。」と言って頬をかく。
「そうですか。たまには王宮で食事してみてください。飛びますから。」と言って淡々と食事をするエルメラルダ。
「はい?飛ぶ?ん?それはどういう意味かな?」と少し汗をかくミロード。
「特に意味はありません。とても美味しいですよと言いたかったのです。」
「…料理が口に合わないみたいだね。」と真剣な顔をしてエルメラルダを見るミロード。
「そうですね。今の私には合いませんね。」
「僕って嫌われてるのかな?」
「嫌ってはいませんけど、どうして婚約者がいる私を影まで撒いて連れてきているのかなと。」
(ヒスイにバレたら絶対怒るだろうなぁ。不安にさせちゃってるかもしれないなぁ。あんなに完璧というか天才なのに情緒だけ不安定なんだよねぇ‥‥。帰ったらなにされるかわかんないよ。)
「あのヒスイが心酔してしまうほどの女性だ。興味があってね。エルメラルダ嬢と言えば、兄上を追っかけ回してたじゃないか。君もどうしてヒスイに?」
「…どうして…ですか。なんだか放って置けないんですよね。今の私を受け入れてくれるのがヒスイだけだからかもしれませんね。」
食事が終わって、お店を出た後はショッピングへ繰り出した。エルメラルダはアンティークなものばかりだと目を輝かせながら色々買い物を楽しんだ。
沢山買い過ぎて、その荷物を全てミロードが持ち「さ、流石に戻ろうか。」と苦笑いされてしまい王宮へ戻る事になった。
「この荷物は部屋へ運ぶから…そこにいる今にも僕の首を裂きそうな影にヒスイの元へ運んでもらうといい。母上の部屋の前にね。丁度良い時間だし。」と言ってウインクするミロード。
「ミロード王子って、凄く弟思いなんですね。」と呟くエルメラルダ。
「はい?」とキョトンとするミロード。
「本当は、ヒスイが騙されてないか確認したかったんじゃないかなって。」と少し自信ありげに人差し指を立てて微笑むエルメラルダ。
「あ、あはは。鋭いねぇ。」と頬をかくミロード。
「悪かったね。君を試すような真似しちゃって。でも、ほんと…恐いなぁ君は。じゃあね。」と言ってワープして消えてしまうミロード。
「ごめんね、勝手な行動しちゃって。」と認識しにくい影に向かって話す。
「いえ、アナタが楽しめたのなら問題ありません。」と言ってエルメラルダの肩に手をおいてワープする。
皇后の部屋の前に到着すれば中からヒスイが出てきた。
「ヒスイ…。」とエルメラルダが声をかければ、ヒスイは安堵したような顔をしてエルメラルダを抱きしめた。影がワープを使ってくれてエルメラルダの自室へと移動した。
「エル、ベッドを借りても良いですか?」
「え?うん。」
ヒスイはベッドに仰向けに倒れ込んで、少し苦しそうな顔をしていた。
「ヒスイ、大丈夫?」と心配そうにヒスイの隣に座るエルメラルダ。
ヒスイは一瞬起き上がったかと思うとエルメラルダを抱きしめて寝転がる。
「うわっ。ヒスイ?」
エルメラルダは抱き枕状態となる。
「あの荷物はなんですか?」とヒスイはソファーの上にある箱や紙袋を指さす。
「あれは…ミロード王子がランチに連れて行ってくれて、その帰りに買ったものなの。」
「エル…。」と言って今度は抱き枕状態からヒスイは体を少し起こして、エルに覆いかぶさるようなカタチとなった。
「へ?」と目をパチクリさせるエルメラルダ。
「当分外出禁止です。」
「は…………はいいいいい!?」と不味いといった感じ驚くエルメラルダ。
そしてカチャリと…エルメラルダの手首に冷たいものがはめられた。
「こ、これはまさか…。」と顔を青くするエルメラルダ。
そうだ…手錠…っぽかったが、手枷のようなブレスレッドだ。
「あの状態ではエルが快適に暮らせないので、改良しておきました。それを着けている限り、絶対にこの部屋から出る事はできません。ですが部屋の中では自由です。」と言って再び仰向けに寝転がった。
「ヒスイ…?」と心配そうにヒスイの頬を触った。
「安心してください、この部屋は元々エルを監禁する為に作った何不自由する事ない作りの部屋です。まぁ、キッチンとやらが無いのが不便ですね…ふむ、明日までに作るとしましょう。」と目を閉じながら喋るヒスイ。
「じゃなくて、ヒスイ辛いの?凄く辛そう。」と言えば勝手に聖属性の光がエルメラルダの手を光らせる。
「エルの魔法はとても心地が良いですね。」とエルの手を持って頬にあてるヒスイ。
「お妃様と何があったの?」
「昨日遅くまで連れ出してたので説教を受けていました。………それと、母上に異世界の記憶があるかどうか聞いていました。」
「それだけ?」
「……とりあえずは。エル、オーブの部屋で7人しか始祖の霊が出て来ませんでしたよね。」
「うん。聖属性以外の人達だったよね。」
ヒスイはもういいよと言わんばかりエルメラルダの手を頬から離す。
「はい、聖属性の方は異世界にいると。ですから、母上が異世界人の可能性があると思って色々聞いていました。まさか…この歳になって自分の母が異世界から来た事を知るなんて…ははっ。」と腕で目を隠し、力なく笑うヒスイ。
「え?皇后様も異世界から?」
「これはまた自分の勝手な妄想ですが、聖属性には異世界へ繋がる何かがあるのかもしれません。」
「そうなの?」
「自分の中では、ほぼ確信しています。最初に聖属性を持った始祖は異世界人だった。母上の幼き頃を調べました。結果、父上の伴侶となる数日前にエルのようにガラッと人格が変わっていたんです。」
「待って、それじゃあ…2年後に現れる聖女って…え?下町にいる後の聖女はどうなるの?」
ヒスイはとんでもない話をされて目に被せていた腕をよけてエルの瞳を見た。
「下町にいる聖女…?」
「あ…そうなの。2年後ってもう後1年11ヶ月ほどになっちゃったけど、聖女は下町生まれで、魔法士のウリュウと幼馴染なの。」
「だとすれば…そうですね…星降る夜に恐らく異世界との門が開かれる感じですかね。」
エルメラルダはガバっと体を起こしてヒスイの方を見る。
「じゃあ明日実際に会いにいってみない!?」とエルメラルダ。
「いえ、エルは当分軟禁です。」と真顔のヒスイ。
「そうだった…。」と再び力なく倒れ込むかのようにベッドに寝転がるエルメラルダ。
「話はウリュウに聞くとしましょう。それに…現れてもらわないと、自分が王になるか兄上にエルをとられてしまうかの二択になってしまうので…。」と言って優しくエルメラルダの頭を撫でるヒスイ。
「そっかぁ…。そうだったね。」とションボリするエルメラルダ。
「はい、誰にも会わせません。社交マナーも全て…自分が手取り足取り教えましょう。」と正面を向いて目を閉じるヒスイ。
「う…。ふ、二人一緒ならちょっとくらい外へでても!」とエルメラルダが言えばヒスイが目を開けて体を少し起こしてエルメラルダに覆いかぶさり軽くキスを落とす。
「エルは…自分の物だ。自分以外を見るのも許しません。たっぷり愛してあげます…だから、エルも自分を愛してくださいね…。」と不気味に、恍惚に怪しく笑むヒスイ。
(終わった…。)と心の中で呟くエルメラルダであった。
R4 8/6 本日の更新はこれで終わりです!
次回更新は明日です!(多分。)よろしくお願いします!!
ブクマとイイネ助かります!!だいぶと体調も良くなってきました!!
12話少しだけ訂正いれたのでよろしくです。ミロードの容姿をすこし細かく書き足しました。あと‥なんか最後書き足した気がします。




