第十一話【やはり、ワタクシはこの世に必要とされてなかったのですわね。】
「はぁ。エルメルダが3歳の頃からだ。ジワジワと消失して…5歳になった頃には完全に消え去った。ルディが3歳の頃、アナスタリア第一王子殿下が目の前で落馬したんだ。酷い出血だった。ルディが聖属性でそれを癒した。恐らく始まりはそれだ。俺はその日の夜にはもう…その件について一切何も喋れなくなっていた。書くことも許されない。恐ろしい呪いだった。」
とゆっくりと丁寧に過去を話しすエルメロイ。
「3歳ですか。ま、確かにそのくらいでしたね。」と遠くを見ているヒスイにエルメロイは不信感を抱き「なんですか…その言い方では、まるで知ってたかのような口ぶりですね。」と返す。
「自分は裏付けが欲しかっただけなんで。舌についていた呪いも、エルの魔力が徐々に消失していく呪いも全部自分が作って兄上に献上したものです。」と悪魔で態度は変えず適当な感じで喋るヒスイ。
「なっ!!お前!!!」と席を立ってヒスイの胸倉を掴むエルメロイ。
「なっ!?お兄様!不敬罪になってしまいます!!」とエルメラルダが立ち上がってエルメロイの行動を止める。
「いいんです。エル、この胸糞悪いくらい失礼な お義兄様 は自分の一番の学友だったんです。」と不敵に笑うヒスイ。それを聞いて「え?」と一言発し、止める事をやめるエルメラルダ。
「はぁ…。学友だ?ふざけるな!!俺は3年間、お前のパシリ…いや、もしくは奴隷以下のように扱われてきたぞ!!それを一番の学友だ?我が崇高なるサルバトーレ家の血縁者に呪いまでかけおって!!クソヒスイが!!馬鹿ヒスイが!!」とエルメロイは若干唾を飛ばしながら胸倉を掴んだままグラグラと揺らせばヒスイの頭がグラグラ揺れる。
「はっはっはっは。仕方ないですよ。あの時のエルに一ミリも微塵も良さを感じませんでしたから。そもそもニンゲンに興味を持てませんでしたし。それに兄上がエルにご執心だって自分も知ってましたし、誰が未来の皇帝アナスタリア殿下に逆らえます?」と半笑いで説明するヒスイ。
エルメロイは掴んでいた胸倉を勢いよく離して椅子に座った。ヒスイもその反動で椅子に座った。
「ところで、ルディ。お前もお前でどうした。別人のように先程から大人しすぎる。」とエルメロイは次にエルメラルダを見る。エルメラルダはどうしようと困った顔でヒスイを見た。
するとヒスイは小さな溜息をついてから口を開く。
「エルは自分とぶつかって前世の記憶を思い出したそうです。思い出しただけではなく、人格が前世より?というべきですか。自然と身についていた作法全てができなくなっていますからね。今のエルは。」とエルメラルダの代わりに丁寧に説明するヒスイ。
「そうなのお兄様。記憶は思い出せばあるんだけど、ごめんなさい…私エルメラルダだけど意識がエルメラルダじゃないの。……ごめんなさい。」と少し影を落とすエルメラルダ。
自分がエルメラルダの体を奪ったと罪悪感を感じしまっているようだ。
「いや、いい。ちゃんとお前はルディだ。俺の妹のな。」と言って、ハァと深い溜息をついて目を閉じ、頭をかくエルメロイ。
「随分と物分かりが良いですね。お義兄様。」と若干茶化すように話すヒスイ。
「もともとその兆候はあった。ルディが初めて文字を書いた時。それは俺達が見た事もない法則性を持った文字だった。それだけじゃない、船だ。ほら、覚えてないか?ガキの頃、お前に船の絵を見せた事があっただろ。」とエルメロイはヒスイを見る。
「ん?あー…ありましたね。そんな事。苦労しましたよ。船を水に浮かせるのには。」
「あれはエルのラクガキだった。それを俺が根掘り葉掘り聞きまくって、退屈そうにしてるお前に与えてやったんだ。」
「へぇ~。なるほど。確かにあれは退屈しませんでした。」と目を閉じ、思い出して笑うヒスイ。
「なぁ、ルディ船とはどういうものだ?」とエルメロイは真剣な顔をしてエルメラルダに問う。
「私の知ってる船は鉄の塊が海の上をプカプカと浮いてました。」と答えるエルメラルダ。
「鉄だと?ヒスイ聞いたか?鉄だったんだ。」と少し嬉しそうな顔でヒスイを見るエルメロイ。
「…鉄…ですか。なるほど。後ほど、また改良するとしましょう。」と顎を持つヒスイ。
「俺はルディが3歳までに書いたラクガキを全てコレクションしているんだ。だからな、むしろ俺にとっては お帰り が正しい。」とエルメロイはエルメラルダを見て、とても優しく微笑む。
「お兄様…。」と瞳に涙が溜まるエルメラルダ。
「うわー…兄の力つえぇー。」と棒読みで若干の嫉妬を抱くヒスイ。
その後、エルメラルダの3歳までのラクガキを持ってきて、それについてエルメロイが根掘り葉掘り聞き、ヒスイも興味津々に話を聞いており、気付けば夜中になっていた。
「あ、まずい。そろそろ帰らないとオミドーがオドオドしてそうですね。」と時計を見ていうヒスイ。
「せっかく、妹に出会えたというのに。人の妹を監禁しやがって!!やっぱり結婚するまではうちで面倒を見た方が…。」とエルメロイは言いかけて言い切るのをやめた。ヒスイが本気の殺気を当ててきたからだ。自然とニンゲンの本能で縮み上がってしまう。冷や汗をダラダラと流し、生唾を飲み込むエルメロイ。
「ルディ、お前の力は特別だ。よりにもよって聖女しか扱えない聖属性をその身に宿している。王宮で保護してもらいなさい。」と作り笑いをするエルメロイ。とても顔が引きつっている。
「はい。ありがとうございます。お兄様。お兄様のおかげで少しスッキリしました。」と言って嬉しそうに微笑むエルメラルダを見てヒスイは嫉妬し、再びエルメロイに殺意を当てる。
「ば、馬鹿!!今のは不可抗力だ!!本気でやめろ!!お前のそれは夢に出るんだ!!」とヒスイの殺気に慌てふためき青ざめるエルメロイ。
「ヒスイ、何かしてるの?」とキョトンとした可愛い顔でヒスイに聞くエルメラルダ。
「いえ?エルがこっちを見てくれないので、変顔してただけですけど。」と優しく微笑むヒスイ。
「ひぃっ!!」とそれを見てドン引くエルメロイ。
(かつてアイツがあんなに優しく微笑むなんて事あっただろうか?いや、ない!!!)とエルメロイの心の叫び。
「あっはっはっ。変顔って!ヒスイもそういう事するんだね。」と無邪気に笑うエルメラルダ。
「ルディ…いや、エルを頼むぞ。親友。エルは…自由に生きろ。それはお前の体だ。それから正真正銘俺の妹だ。」とエルメラルダの頭に手をのせて撫でる。
「お兄様…///」と照れ臭そうに兄であるエルメロイをみる妹エルメラルダ。
「ヒスイ、1つだけお前に言っておこう。エルには雷を宿した痕がある。泣かせるような事だけはするなよ。」と真剣な顔をしてヒスイの瞳をじっと見つめるエルメロイ。
「1度だけ。1度だけどうしても泣かせてしまうと思います。まぁ嬉しくて泣かせてしまう事は沢山あるかもしれませんけど。この先の事を考えると一度だけは許してください。というか許せ。」と少し小さな溜息混じりで言い、目を閉じた。
「…全てを決めるのはエルだ。エルがいいのなら俺はそれでいい。」とエルメラルダをもう一撫でする。
「お兄様…//」と猫が気持ちいところを撫でられるかのように撫でられていて、それに先程から嫉妬して我慢していたヒスイの握り拳からボタボタボタボタと血が滴った。
「えっ!!わーーーー!!ヒスイ?どうしたの?」とエルメラルダは急いで駆け寄って治癒しようと怪我をしている手を握った。その瞬間ワープして自室に戻っていた。
「あ、あれ?」とエルメラルダは辺りを見渡しながらも聖属性の光を自分の手に灯してヒスイの手を握って治癒をする。
「聖属性は秘密です。誰かに見られまいと思って移動しました。」と微笑み目を瞑るヒスイ。
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