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2-12 初めての採集

「シルフさん!それは何ですの?」

「これはですね・・・」


 森への採集に同行したセレンさんはシルフが採集をする度に質問をしている。採集についてくると言った時はどうなるかと思ったがシルフもセレンさんも楽しそうに会話をしながら採集をしている。



「森に出る魔物なんですが、眠らせてきたり麻痺毒とかを使う魔物っていますか?」


 今朝セレンさんが同行すると言いだした後、俺はカーティラさんに尋ねる。


「このあたりでそういう魔物が出たという話は聞いたことが無いな。毒をを持つ魔物には麻痺毒を使う魔物もいるが眠らせてくる魔物というのは俺も噂を聞いたことがあるくらいだが・・・それがどうかしたのか?」

「護衛をするにあたって知っておきたかったので。意識を狩られたり体の自由を奪われるなら対応策を練っておかないと逃げることもできないので」

「なるほど。つまりそういう特殊なことをしてこない相手は敵じゃないと」

「揚げ足取らないでくださいよ」

「ハハハ!まぁそういう変なことをしてくる魔物は出ないだろう。それにチルも腕は立つからな。ギンジだけに任せるわけじゃない」

「なら良いんですが・・・」


 セレンさんの同行を止めなかった時点でそこまで脅威になる魔物がいないとは思っていなかったがまぁ大丈夫そうだ。

 どんな魔物が存在するのかまだまだ知らないことばかりだけど、危険があるとすれば体の自由を奪われる場合とこちらの目で追えないほどの速さの場合だろう。蜂みたいに小さくて大群の場合も苦しいか。今回のセレンさんだけでなくシルフもだが、自分の身だけでなく守る対象がいるのだからできるだけ対策は考えておきたい。



 そんなわけで今は採集をしている二人を少し遠くから見ながら周りを警戒している。腰に剣を下げてきたチルさんはちょうど二人を挟んだ反対側で警戒をしてもらっている。ネコ科の獣人のチルさんは時々耳を動かしながら周りを見渡している。もしかしたら五感も只人より獣人の方が優れているのかもしれない。

 そんな感じの布陣で二人の採集を見守りながら時間が過ぎていった。


「珍しいお客さんですね~」


 素材を売りに魔道具屋に行く。店員さんはセレンさんを知っていたのか。


「買い取りお願いできますか?」

(わたくし)もお願いいたしますわ」


 初めはお手伝いという感じだったがシルフの話を聞いているうちに自分でも採集できるようになったので途中からはセレンさんも自分で採集をして素材を鞄に詰めていた。


「おお~今日は大量ですね~」


 二人が素材を出すと店員さんが査定を始める。シルフもいつも通り採集をした上でセレンさんの分も加わっているので量はいつもの倍くらいだ。

 いつも通り俺は査定の間店の商品を見て待つ。チルさんはセレンさんの近くにいて店員の猫耳少女と何かを話している。


「ありがとうございました~」


 しばらくすると査定が終わったようなので4人で店を出る。何かあったのかチルさんに聞こうとすると


「とりあえず領主邸に戻りましょう。お嬢様、よろしいですね?」

「そうですわね」


 と言われてしまったのでさっさと領主邸に戻る。セレンさんは表情が読めないが急におとなしくなってしまった。横を歩くシルフを見ると前を歩くセレンの方を見つめている。何かあったんだろうか。



(わたくし)、初めてお金を稼ぎましたわ!!」


 領主邸について家の中に入ると鞄からお金の入った袋を取り出してセレンさんが声を上げた。チルさんが「お嬢様、落ち着いてください」と声をかけている。


「お父様とお母さまに報告してまいりますわ!」

「ギンジ様シルフ様、少し遅くなりましたがお食事をご用意いたしますので食堂でお待ちください」


 チルさんは俺たちにそう言うと走っていったセレンさんを追いかけていった。


「とりあえず、お昼を頂こうか」

「そうですね」


 俺はシルフにそう声をかけて洗面所で手と顔を洗い食堂に行く。食堂に行くと給仕の方が食事を運んでくれたのでシルフと並んで少し遅めのランチを頂いた。


「それより魔道具屋でなにかあったの?」


 俺が感じた違和感が気のせいかもしれないのでシルフに尋ねてみる。


「いえ、何かあったというわけじゃないんですが・・・」


 シルフは話しにくそうにしながらも買い取りの際のことを話してくれた。初めは買い取り金は全てシルフのものでいいとセレンさんが言ったらしい。ただ最終の後半はセレンさんも自分で採集していたし、そのお金は受け取れないと伝えたそうだ。店員さんも問題ないと言ってくれたので別々に査定をして買い取りをしてもらったのだが、、、セレンさんはプレートでお金のやりとりをする魔力も流せないそうだ。だから硬貨で直接受け取っていたのか。


「昨日一緒にお風呂に入った時に魔道具を使えないとおっしゃっていたので魔力を流すのが苦手というのは分かっていたんですが、まさかプレートも使えないなんて」


 そうか。セレンさんの魔力の流れが非常に弱いのは分かっていたがプレートのことは失念していた。プレートさえ満足に使えないんじゃかなり生活は大変だろう。


「ギンジさん、セレンさんのことお願いしますね」


 シルフも魔力を流すこともできない大変さを思ったのか俺にそう言った。

 俺も魔法が全く使えない大変さと、それでも明るく元気に振る舞っている女の子を思い浮かべる。


「なんとかしてみせるよ」

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