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2-4 リアンクル散策②

「シルフ!ちゃんと動きを見て横に回り込まれないように!」

「はい!」


 両手で剣を握り構えたシルフが魔物と相対する。


「ちゃんと正面で迎え撃てばリーチはこっちの方が長いから。落ち着いて」

「はい!!」


 猫耳少女の魔道具屋を出た後、人が少なくなった役場に戻った俺とシルフは受付の人にこの街の近くの狩場や魔物の話を聞いた。

 街の近くに森がありその森を超えたところに鉱山があるそうで役場としては森にいる魔物を間引いてほしいとのことだ。森の浅いところには猿の魔物が多く出るそうだ。脅威度はゴブリン辺りと変わらないようだがゴブリンよりもすばしっこく木にも登るので狩りの難易度は少し上がる。


 本格的な狩りや採集は後日にするとして下見がてら街を出て森を見に行くと猿が襲い掛かってきたのだ。

 猿は3匹いたので2匹は俺が棒で殴り倒し、残した1匹をシルフの狩りの練習に使っている。1匹になったら逃げるかと思ったが仲間をやられて怒ったのか逃げずに襲い掛かってきている。

 ヘルムゲンでも何回かゴブリンと闘う練習はさせたがゴブリンよりもすばしっこい猿にシルフは翻弄されている。


「ほら!右側に回り込まれるぞ!目だけじゃなくてちゃんと体の向きを変えて正面で猿を見て!」

「はいー!!でもお猿さん早くて!!」

「来た!構えて!しっかり剣振って!」

「ええぇ!!?はあああああ!!」


 襲い掛かってきた猿にシルフが剣を振ると猿がそれをよけるようにしてシルフとすれ違う。完全に避けられずシルフの剣が当たったが致命傷ではなさそうだ。すれ違いざまにシルフの足に爪でキズを付ける。


「今度は後ろに回り込まれた!猿から目を離さないで!」

「は、はい!!」


 猿は踵を返すとすぐにシルフに襲い掛かってくる。そんな感じで2,3度すれ違って切り合うと力尽きた猿が倒れて戦闘が終わった。


「お疲れさま」


 そう言って俺はタオルと水を入れたコップを渡す。


「はぁ、、はぁ、、、ありがとうございます」


 シルフは受け取ると軽く汗を拭いた後コップを一気にあおった。


「速さもだけど、縦の動きもあるからゴブリンよりはちょっと対処が難しいね」

「そうですね。ただゴブリンより爪が短いので慣れれば相手の攻撃をちゃんと避けれるようになると思います」


 そう言って切りキズがついた足を見ながら「ははは」と照れ笑いした。俺はそんな足を治癒するためにシルフの足元にしゃがみ込んで手をかざす。


「ああ!自分でできますから!!大丈夫ですよ!!」

「いいからいいから。戦った後だし疲れてるでしょ」


 そう言ってシルフの足を魔法で出した水で洗い、治癒していく。キズがふさがって元通りキレイになったシルフの足をタオルで拭く。


「何から何まですいません」

「せっかくのキレイな足だから大事にしないと」

「きききき!!キレイですか!?」

「うん、キレイキレイ」

「ありがとうございます!」


 ありがとうございます?お礼を言われた意味はわかんないけど喜んでるみたいなのでいいか。


「じゃあ磨晶を取りだして今日は戻ろうか」

「わかりました」


 倒した3匹の猿から磨晶を取りだして街に戻る。火の魔法が使えたら死体の焼却もできるんだけどな。早く使えるようにならないと。


 役場に戻って磨晶の買い取りをしてもらうと「もう行ってきたんですか!?ありがとうございます!」と喜んでもらえた。


 夕方にはなっていたがまだ日が暮れるまで時間がありそうだったので残りの目的地である教会に行ってみよう。


 俺とシルフが隣街のヘルムゲンの教会出身であることを告げると快く迎え入れてくれた。

 教会には猫のシスターと男の子が3人暮らしていた。男の子たちは10歳前後かな、犬の獣人の子が2人と半獣人の子が1人、3人とも元気な子だった。

 俺とシルフが腰に剣を下げているのを見ると子供たちはテンションが上がって「戦うの?」「強いの?」など色々聞いてくる。話を聞いてみると3人とも教会を出たら衛兵か戦士になるつもりみたいで今も毎日3人で稽古をしているそうだ。

 教会の庭を見ると木剣や木槍があり、稽古の的にしているのか庭の木にはキズがたくさんついていた。

 もしよかったら稽古つけましょうか?とシスターに言うと「ぜひお願いします」と言ってもらえたので明日以降で顔を出そうと思う。

 夕ご飯一緒に食べようと子供たちに誘われたので肉を買ってきて差し入れた。子供たちは大喜びしていたし、心なしかシスターも嬉しそうに食べていた。

 泊まれと子供たちにせがまれたが宿も取っているのでまた来るからと約束して教会を後にする。


「他の教会なんて見たことなかったですが、この街の教会も仲良く暮らしていて安心しました」


 教会では子供たちと俺のやり取りをニコニコと見ていたシルフが言った。

 俺も同じことを思った。親のいない孤児というとつい悲観的な想像をしていたがヘルムゲンでもリアンクルでもみんな元気に暮らしている。


「もう戻りたくなった?」

「そんなんじゃありません!ただジャックとメグが元気にしているかは心配になりますね。ずっと一緒でしたから」


 '家族'と離れるのは不安だよな。俺は・・・どうかな。そんな不安を感じる暇が無かった。いや、この世界でいうと俺はもう一人立ちしている年齢だからそんなことも言ってられないのかもしれない。


 そんな会話をしながらシルフと宿への道を歩く。明日からは本格的に採集と狩りをしていこう。時間があれば役場の資料室も覗きたい。ヘルムゲンとは違う情報が得られるかもしれないからな。魔法に関する知識がもう少し手に入っ


「兄ちゃん、どっから来たんだい?」


 すれ違いざまにかけられた声の方を見上げると白い虎の獣人の人が立っていた。


 '戦士同士の喧嘩は珍しくない'


 宿屋の女将さんに言われたそんな言葉を思いだしながらただただ面倒だなと俺は思った。

読んでいただきありがとうございます。

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