2-2 犬の衛兵さん
「おはようございます!」
窓から差す朝日で目を覚まして体を起こすとすでに起きていたシルフが元気に挨拶する。
「おはよう。起きるの早いね」
「私もさっき起きたところです!」
「それならいいけど。これからはもし先に起きたら起こしてくれて大丈夫だから」
「わかりました!」
自分だけグースカ寝坊するのは何か気まずいしな。そんな会話をしながら立ち上がり体を伸ばす。昨日は1日歩いたから疲れがあるかと思ったけど魔法の力はすごいもんで疲れはほとんど無かった。
「それじゃあ食堂で朝ご飯食べたら出発しようか」
そう言って部屋を出る。食事の前に井戸の方で顔だけ洗って食堂で食事を・・・昨晩と同じメニューだ。まぁいいんだけどさ。
食事を終えて部屋に戻って荷物を取ると宿を出発した。
街道沿いは昨日と大きく変わりなく見晴らしのいい平原なので急に魔物に襲われたりすることもなさそうだ。
途中の草むらでシルフが植物採集をしたり小川があったのでそこで休憩しつつお昼にした。
昨日と変わらず徒歩で移動する人はおらず何度か馬車を見かけるくらいだった。
基本的に馬車が来たら道の端に寄ってやりすごす。そうすると通り過ぎる時に御者の人が軽く手を上げて通っていくので間違った対応では無さそうだ。
一度だけ後ろから来た馬車の御者の人に「街まで乗ってくか?」と声をかけてもらった。話を聞くと徒歩でも日暮れまでにはつけそうなので丁重にお断りした。「若いのに頑張るねぇ」と御者さんは手のひらサイズの果物を2つくれた。皮ごと食べれるそうだ。シルフと二人でお礼をして馬車を見送った。果物は甘さはそんなになかったがみずみずしくておいしく頂いた。
街が近づいて来たのかヘルムゲンと同じように道の両側に畑があるのが見えてくる。この調子なら日が暮れるまではかなり余裕があるな。
「あ、見えてきましたね!」
遠くに街を囲う塀が見えてくる。街の近くにはやはり牧場があって馬や牛のような動物が飼われていた。牛は食用なのだろうか?畑などを耕す労働力かもしれない。
街道がそのまま街の入口の門に繋がっていたのでこのまま街に入る。門番をしていた衛兵さんは・・・首から上が犬だった。良く見ると体も毛が生えていて尻尾も生えている。二足歩行の犬が服と鎧を着て槍を持って立っている。獣人っていうのかな?この世界では人にも色んな種族があるみたいだけど一部の純血をのぞけば色んな種族の血が混じっていることは普通なので特別な呼び名などは無いみたいだ。ヘルムゲンでも獣耳を生やしてる人は少し見かけたがここまでがっつり獣な見た目の人は初めて見た。
「見かけない顔だな。通行証はあるか?」
犬のお兄さん(おじさんかもしれない。見た目で年齢が分からない)が声をかけてくる。
「ヘルムゲンから来ました。通行証はありませんが無いと入れませんか?」
「商人ではなさそうだが・・・リアンクルに何しに?」
俺とシルフが比較的軽装なのを確認した後、二人が腰に下げている剣を怪訝そうに見ながら質問される。
「ヘルムゲンから出たことが無かったので見聞を広めようと思いまして」
「家族や知り合いを訪ねてきたわけではないんだな?」
「はい。二人とも家族はいませんし、街の外には知り合いもいません」
「お前たちは兄妹ではないのか?」
「違います。一応僕がこの子の保護者ではありますが」
「それなら詰め所の方で身元確認だけさせてもらう」
「わかりました。よろしくお願いします」
お兄さんが門の内側にあるベルを鳴らすと別の衛兵の人が門にやってきて門の外に立つ。交代で来た人は獣耳が生えていたが見た目は人だ。犬のお兄さんが詰め所に案内してくれるみたい。
「それにしても二人だけで歩いて来たのか」
「はい。途中の宿で1泊して2日かけて来ました」
「魔物はほとんど出ないとはいえ何があるか分からないからな。その剣はハッタリじゃなくてちゃんと使えるのか?」
「一応自分たちの身を守るくらいなら」
「若いのに大したもんだ」
詰め所に着くとヘルムゲンに初めて入った時のように前科チェックのボックスが出てくる。俺とシルフがそれぞれプレートをかざすと白く光る。詰め所にいた他の衛兵さんたちは獣耳の人や犬のお兄さんみたいに獣人って感じの人ばかりだった。ここはそういう人が多い街なのか。
「ギンジとシルフか。問題なさそうだな。リアンクルへようこそ」
「お手数かけました」
「これが俺たちの仕事だからな」
どこの街でも衛兵は頼もしいな。
とりあえず宿の場所だけ聞いて詰め所から出る。他にも聞きたいことはあったが衛兵さんの時間を取るのは悪いので宿で役場の場所を訪ねてそこで情報収集しよう。
宿ではやはり1部屋しか取れなかったので今日もシルフと同室で寝ることになった。
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