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職業:白銀の乙女  作者: 紀美野ねこ
永遠と不可視と無邪気な妖精

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84. 翔子と対策会議

「まあ、年齢の話は置こう。それに自衛隊の隊員が魔素に馴染みすぎると、それはそれで問題になる可能性もある」


 あー、超人兵士になりかねないよねー。有名どころだと……


「キャプテン?」


円盾(ラウンドシールド)が欲しいね。ヴィブラニウムって魔法金属かな?」


 そう振ってしまい、釣られてチョコも返してしまう。

 美琴さんと智沙さんが「またなんかオタクな会話してる……」って目をしてて辛い。でも、こういう脱線が良いアイデアに繋がったりするかもしれないから!


「ま、まあ、こっちの世界で魔素で強くなっても、身体強化とかで使った魔素は補充できないわけですし」


「日本で良かったと考えるべきかもしれんな。これが……」


 あー、大陸とかその北の方とかは確実にやばい気がする。デスファクターを持つ赤い戦士が作られかねない。


「あのー、中にいる魔物を外に誘き出して倒すことはできないんでしょうか?」


「「あっ! それだ!」」


 ゲームみたく釣ってくるって考えが欠落してた! と思ったら、


「悪くないけど、相手もそこまで馬鹿じゃないと思うよー。まあ、よっぽど頭に血が上ってたりすると出てくるかもだけど」


 とサーラさん。うーん、良い案だと思ったけど難しい感じなのね。

 というか、そもそも魔物はなんで出てこないの?


「中に籠ってる魔物って食事とかどうしてるんです?」


「ある程度は食料を溜め込んでたんだろうと思うけど、ひょっとしたら今日入った入口以外にも外に通じてる場所があるのかもね」


「む、それはまずいな。今はあのあたりは封鎖されているが、警戒心が薄れるほど日にちが経ってしまうと、また似たような事件になりかねん」


 あー、例のビデオの主って……

 うっ、ダメだ。考えると気分が悪くなってきた。


「ワフン」


 それを察したのかヨミが私のお腹に顔を擦り付けてくれる。はふ、癒されるー……

 うん、私は大丈夫になったし、隣で青い顔をしてる美琴さんにパス。

 撫でることで顔色も良くなって一安心。これほど癒し力の高いアニマルセラピーがあろうか。いやない(反語)


「悠長に構えてるわけにもいかないですね。オークみたいな魔物がいる場所があそこだけならいいですけど」


 チョコは魔導人形だからか平気そう。


 もういっそのこと、コンクリートをだばだばと流し込んで、全面的に埋めてしまうとか? いや、それでどっかわからない場所に出て、あまつさえ人里に向かっちゃったらヤバいや。

 出入口さえ全部わかって塞げればなんだけど、それをするには洞窟内を網羅する必要があるというジレンマ。

 なんかこう、魔法で魔素がある場所をオートマッピングしてくれるやつとかないのかな? ……前にも似たようなこと思った気がする。


「そういえば、あの洞窟はダンジョンではないんですよね?」


「そうだね。今日行った範囲だとただの廃鉱かな。パルテームの北西にあるやつで間違いないと思うよ」


 美琴さんが何か思い付いたのか、サーラさんの答えに何かを思い出したように言った。


「翔子さんの実家の地下にあった、魔素を排出する仕組みを使って向こうの世界に魔素だけ送り返せませんか?」


「「あっ! それだ!」」


 本日二回目。っていうか、私かチョコが気付くべきじゃん。あとフェリア様……はないな。


「む、それについて話してくれるか?」


 智沙さんはあの時はサーラさんと模擬戦をしてたので伝わってなかったかな。魔素の色の話に行っちゃったしね。

 美琴さんからあの時のこと、蔵の地下の研究所、訓練室にある魔素の循環装置のことを話してもらう。


「へー、じゃ、それの排出するやつだけあれば、あそこの魔素だけを元の世界に送り返せるかもね」


「大気中の魔素さえなんとかできれば、銃火器を使っての対処も可能になるか……」


 これはいけるのでは? と思ったんだけど、


「あの装置は取り外しの出来るものでは無かろう。もし出来たとしても、外してしまうと翔子の蔵の地下が魔素で溢れるのではないか?」


 とフェリア様からツッコミが。


「うっ、じゃあ、魔素を部屋に引き込んでる方も止める……とチョコに問題が出るかもしれないか」


 備え付けの機能を剥がして持って行くって、よく考えなくても問題起きそう。

 だいたい、うちの敷地の地下に来ちゃったとはいえ、所有権が私にあるのかって言われると微妙だし。となると、


「あれと同じものってフェリア様は作れたりはしないんです?」


 チョコが聞くが、フェリア様は渋い顔。


「魔法とは各々が持つ魔素を用いて事象を具現化する力。ゆえに誰の魔素でもない魔素を操る術は持っておらん。それが可能なのはダンジョンか、失われた文明によって作られた古代魔導具なのだ」


「ということは、大気中の誰のものでもない魔素を操れるのは」


「そのどちらかということになる」


 チョコが古代魔導具だとは聞いてたけど、私の魂をコピーしただけで大気中の魔素をチャージできるのはそういうことか。

 で、当然、あの施設やクローゼットも古代魔導具。いや、施設はひょっとしたらダンジョンの一部なのかも。


「振り出しに戻っちゃいましたね」


 しょんぼりの美琴さん。着眼点はすごく良かったと思うんだけどなあ。

 なんとかして、坑道内の魔素を減らす方法が他に……


「じゃあ、私や翔子が魔法を使いまくって、その分を補充して減らしていくっていうのは……」


「それだと時間かかりすぎるんじゃない? っていうか、それで私たちが行くことになるんだったら、中の魔物を殲滅した方が早いよ」


「デスヨネー」


 うん、チョコも言ってて気づいたね?

 そこでふと思い出したようにサーラさんが尋ねる。


「フェリア様。あそこならそういう古代魔導具あるかもじゃない?」


「あそことはどこだ?」


「フェリア様のお友達のところ」


 サーラさんがなんだか意地悪く言うと、フェリア様が「むー」とか「うー」とか言いながら百面相しはじめる。そして、一通りの表情パターンを再生したのちに大きくため息をつく。


「大陸の北に古代魔導具が多数眠っておる場所があるのだ。そこを管理する竜族に頼めば、目的にかなう魔導具が借りれるやもしれん」


「「竜! ドラゴン!?」」


 見たい! 会いたい!

 いや、さすがにこっちには来てくれないよねー。ってか樹洞うろを通れないか……


「ま、とりあえず向こうに聞いてみたら?」


 サーラさんの提案もあって、まずはカスタマーサポートさんにその件を連絡しようと言うことに。

 そういや最近、カスタマーサポートさんとやりとりしてないけど、やっぱり忙しいのかな……


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