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職業:白銀の乙女  作者: 紀美野ねこ
翔子とチョコと時々ダンジョン

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33/150

33. 翔子と魔導護身銃

 結局、カスタマーサポートさんから返事が来るまでは動けないよねーってことで、次の日はお休み予定になったんだけど、ぶっちゃけ暇です。

 暇つぶしにタブレットを借りて、チョコと二人でアニメとかだらだらと見てる感じ。放送日の地域差がない動画サイト万歳。


「翔子さん、チョコさん、いいですか?」


「はーい、どうぞー」


 美琴さんがスーツ姿で入ってきた。

 私とチョコはジャージ姿だけど、もう申し訳ない感じはしないというか、飾ってもしょうがないと諦めてる。特に何も言われないし。


「向こうから返事が来ました」


「早っ!」


「飲み物もらってくるね」


「すいません」


 チョコが美琴さんのために席を空けつつ食堂へと。

 その席に美琴さんが座る。


「返事はこれです。あと翔子さん宛だと思う物が届いてました」


 テーブルに封筒とマガジン、あとはこれはサブマシンガン……MP7っぽいしPDWかな?

 カスタマーサポートさん、H&K好きなのかな? 次はG11とかPSG-1とか送ってくれるかもしれない。


「おまたせー」


 チョコがお盆に三つ、冷たいお茶を持って戻ってきた。


「はい、お茶で良いよね」


「ありがとうございます」


 持ってきたそれを三つ置いて、自分はベッドへと座るチョコ。


「チョコ、これ試してみて」


「気になってたけどサブマシンガンだよね。MP7っぽいし」


 例によって私のつけてる指輪がないと全く動かないんだろうけど、どういう機能がありそうなのかはわかるかな。しばらく任せておこう。

 マガジンは多分、近接信管の何か魔法が付与されてると思うけど、私には書かれてる術式とかは分からないので放置。

 美琴さんが手紙の方を早く開けて欲しそうにしているので、そうすることにしましょう。というか、別に私宛じゃないから美琴さんが開けても良さそうなんだけど。


「えーっと、捜索対象の更新は無し。ブラッドホーネットについては私の案でやってみて欲しいということらしい。

 で、魔導拳銃じゃやりづらいだろうってことで、その魔導護身銃を送ってくれたと。マガジンは魔導拳銃の方と同じのを使えるんだって」


「護身銃ってことはPDWなのね。マガジンがどっちでも使えるのは魔法って感じだよねー」


 普通は銃弾の共用とかできないもんね。

 マガジンサイズも違うんだろうけど、そこはうまく拳銃の方に合わせてるっぽい。

 

「単射とフルオートの切り替えができるってさ」


「おー、フルオート射撃できるのはありがたいね」


 伸縮するストック、左右上下に20mmのレール、その他にもサプレッサーなんかも取り付け可能らしい。サプレッサーに意味があるのかどうかは不明だけど。


「レールあると夢広がるよね。フォアグリップとか付けたい」


「先にスコープじゃない? ドットサイトの方がそれっぽいかな?」


 とか、チョコと盛り上がっていたら、


「あのー、いろいろわからないことだらけなんですけど……それってどういうものなんですか?」


 ごめんなさい。説明します……


***


 というわけで、今日は午後からダンジョンへ。

 目的は第六階層のブラッドホーネットの駆逐だけなので、ゼルムさんも留守番中。

 まあ、留守番というか、ダンジョン壁に偽装した扉を作ってもらうための雛形作業だったり、昨日助けたイケメン兄弟が暴走しないための見張りという世知辛いお願いもあり……


 場所は第五階層、イケメン兄弟がいた大きい部屋。

 まずは近接信管になってるというマガジンを装着した魔導護身銃で試射をする。三人しかいないので気兼ねなく。


「じゃ、ちょっと後ろで見ててくださいね」


 何かあった時のためにチョコが隣に。智沙さんは後ろに控えている。

 新しくもらった炸裂弾のマガジンは要望通りの近接信管。説明を読む限りだと弾の一定距離に物体が近づくと、その方向に向けて石礫が四散するらしい。

 まあ、試せばわかるよねということで。


「撃ちます」


 ストックを伸ばして右肩付け根に当てる。

 サイトがないのが不満だけど、今回は近接信管なんだしざっくり照準でいいかな。

 単射モードでトリガーを引くと、銃口の一メートルほど先に現れたピンポン球サイズの石が真っ直ぐ飛んでいき、狙った謎の果実の手前で弾けた。


「うわあ……」


 チョコが思わず声をあげる。

 弾けた破片が謎の果実だけでなく、周りの枝葉までもズタズタに引き裂いた模様。


「どういう理屈なのかわかんないけど、勝てそうな気はする……」


「翔子君に負担はなさそうか?」


「あ、はい。一発撃ってすぐに辛いとかはない感じですね。ちょっと連射してみます」


 対ブラッドホーネットでは数との勝負なので、長く連射できる方がいいと思う。

 もちろん、それが続かなくなった時のための準備もするけど。


「撃ちます」


 フルオートモードに変更してトリガーを引くと、マシンガンのような連射が始まって、謎の果実の樹がボロボロになってしまった。ごめんなさい……


「押しっぱなしじゃなくて、指切りすれば良くない?」


「だよねえ」


 フルオートだと完全に『弾幕を張る』っていう感じ。魔素がもったいない。

 今の数秒のフルオート射撃はさすがに「あ、これはMP減ったな」っていう感覚があって、三分もすると疲れが来そうな気がするし。


「ちょっとフルオートをワントリガーで打ってみますね」


「うむ」


 さすがに樹が可哀想なので、その奥にある小ぶりの岩を目標に。

 ワントリガーで十数発が放たれて、ほぼ同じ感じに破裂すると、つるっとしていた岩の表面とぶつかってっ!


「ちょっ!」


 チョコが瞬時に大盾(ラージシールド)を目の前に割り込ませて、跳ね返ってきた破片から私たちを守ってくれた。


「ごめん。考え無さすぎた……」


「ううん、私も気づかなかったし。智沙さんは大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だ。ありがとう、チョコ君」


 跳弾なのにチョコの大盾(ラージシールド)とぶつかって大きな音を立ててたし、威力としては申し分ないと思う。というか、前と同じで威力ありすぎる気がする。


「そういえば、魔力測定器で測った結果は送ったけど、それについての話は無かったよね?」


「うん、無かったね。よくわからない感じなのかな」


 今は仕事に使ってるからあれだけど、一段落したら魔導拳銃そのものを送り返して見てもらったほうがいいのかもしれない。


「さて、では駆除に行こうか」


 智沙さんはやる気の模様。

 私もさっさと終わらせて神樹を近くで見てみたいんだよね。

 なんかこうご利益がありそうだったし、しめ縄とかつけちゃダメかな?


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