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職業:白銀の乙女  作者: 紀美野ねこ
翔子とチョコと時々ダンジョン

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27. 翔子と魔力測定器

「「ふわぁ〜、おはよ〜」」


 久しぶりに午前九時過ぎまでぐっすり寝た。よくある寝過ぎて眠い感じ。

 別邸の食事は食堂で取ることになってて、朝食はホテルにあるバイキング形式。なんかもう至れり尽くせり。


「おはようございます」


「「おはよ〜」」


 広い食堂に一人座っている美琴さんはとっくに朝食を終えているようで、まったりとお茶を飲んでいる。

 私とチョコはおにぎりを二つずつ、お味噌汁とだし巻き卵の和風朝食を。あ、お漬物。


「ほい」


「ありがと」


 チョコから浅漬けと梅干しを取り分けてもらう。


「「いただきます」」


 うん、おにぎり美味しい。


「翔子さん、チョコさん。食べながらでいいので聞いてください」


 美琴さんの言葉に頷いて答える。

 昨日の夕飯前に向こうに送った手紙の返事が返ってきたのかな?


「昨日の返事が返ってきまして、一通はこちらのチームへということで私の方で開封しました」


 ふむふむ、もぐもぐ。


「捜索対象者リストが大幅に更新されてるようです。それと、各階層の情報が書かれてるんじゃないかと思うんですが、あとで翻訳をお願いします」


 おけおけ、もぐもぐ。


「もう一通は翔子さんあてでしたので、開封せずに持ってきてあります」


 ふーむ、もぐもぐ、ずずずー……

 ちょっとキツく書いちゃったから、向こうも怒っちゃったかな? まあ、その時は館長さんにごめんなさいして許してもらおう。


「あと、金属製のカードが二枚と道具のようなものがいくつか一緒に送られています。取り出して私の方で保管してあるので、こちらも確認お願いします」


 うーん、魔導具なのかな? ぽりぽり……


「「ごちそうさまでした」」


 ほぼ同時に食べ終わる姿を美琴さんがやっぱり不思議そうに見ている。

 食事に関しては思考のずれが出にくいから、どうしても同じになるんだよね。


「私、片付けするから、翔子は手紙読んでて」


「ん、任せたー」


「あ、はい。翔子さんあてはこれです」


 律儀に毎回封蝋がされているので、もうあんまり特別な感じがしなくなったかな。それをパキッと割って中身を取り出す。

 さて……


「カスタマーサポートさん、怒ってる?」


 片付けをしつつ、私に熱いお茶を入れてくれたチョコがちょっと不安そうにそう聞いてくるけども。


「逆かな。めっちゃ謝られてる」


 向こうも大変らしくてろくなサポートができてないことの謝罪。昨日こっちから送った質問というか要望というかは、急いで対応したけど日本語書けるの私だけなのでごめんなさい、そっちで訳してくださいと。

 まあ、これで智沙さんの怒りゲージもなくなることだろう。多分。


「美琴さんが言ってた導具みたいなの説明とかは?」


「うん、それもあるよ。カード二枚はギルドカードだって。私とチョコの分」


「おー、あるあるなやつ? 私たち、いきなりSラン冒険者だったり?」


「まさにそれっぽいけどランクはどうだろ。あとで見せてもらって確認しましょ」


 向こうの世界での身分証明書らしいので、ありがたく使わせてもらおう。いろいろ説明する手間も省けそうだし。


「他には?」


「他はマガジンかな。今度は徹甲弾っぽい」


 もちろん実銃のマガジンではなく、土の魔法でタングステンを打ち出す徹甲弾らしい。

 氷の銃弾でもあの威力だったのに、タングステンはやばすぎじゃないの? ああ、でもオーガが出てきたりすると、氷じゃ勝てないからってことか……


「それって銃弾が残って問題になったりしないんでしょうか?」


「ダンジョン内は魔法で作られたものは一日も経たずに消えるって話だから大丈夫だと思うよ」


「そ、そうなんですね」


 まあ、私も本に書いてあったことの受け売りなので確証はないけどね。

 劣化ウランとか言われるとドン引きだったけど、タングステンならいいかなと。


「で、あとは魔力測定器だって」


「魔力測定器? なぜそれが送られてきたんでしょう?」


「んー、初日に私がゴブリンを撃った威力が想定以上だった件と、智沙さんが向こうの言葉を喋れるようになった件も伝えたからじゃないかな」


 その測定器を握ると魔力量がわかるらしいので、私、チョコ、智沙さんの魔力測定をして欲しいとのこと。休日なのでちょうどいい暇つぶしになりそう。


「私の魔力は五十三万です」


「測定器壊さないでね?」


***


 私たちが使わせてもらってる客室に移動。

 美琴さんにギルドカード、新しいマガジン、魔力測定器を持ってきてもらった。


「ギルカ、ランクいくつ?」


「うーん、ランクっぽい表記ないね。『白銀の乙女たち』もそうだったけど、そもそもランクがないんじゃない?」


 とりあえず、無くすとシャレにならない気がするので、美琴さんにカードホルダーをお願いする。六条の備品にネックストラップタイプがあるそうなので、ちょっと楽しみ。


「徹甲弾のマガジンは予備かな。今のが通用しない相手だけ使う感じだけど……」


「あれ以上の威力が必要な敵は結構ヤバいよね」


 まあ、マグポーチの方に入れておくことにしましょ。

 で、魔力測定器とやらを手に取る。なんというか……


「握力計に見えるんですけど」


「測り方は同じみたい。ぎゅっと握ると表示される三つの数値を教えて欲しいって。ほい」


「おけ。やってみるね」


 まずはチョコに測ってもらうことにする。

 私の利き腕と同じ右手でそれをぎゅっと握ると、うっすらと白い光が瞬いて消えた。


「これでいいのかな?」


「大丈夫っぽいよ。右から並んでる数値言って」


「255が三つ並んでる」


 何かに書いとかないとと思ったら、美琴さんがそれをスマホにメモしてくれてた。

 で、チョコが私にそれを渡してくる。まあ、氷弾を撃ったのは私なので、私の魔力を測るのが本番なんだけど。


「お約束だからって壊さないでね」


「えー……」


 まあ、壊すなって最初に言ったのは私だけど、こういうのは壊して「な、なんだと!」って言われるやつじゃないのかな。でも、壊して弁償しろとか言われると困るな……

 一つ深呼吸してからグッと握ると……なんだかカラフルに光った後に普通に数字が表示された。


「いくつ?」


「255が三つ並んでる」


「チョコさんと同じですね」


 なんか拍子抜け?


「私からチョコができてるわけだし、同じでも不思議じゃないよね」


「銃の方のバグってことでいいんじゃない? もしくは、その測定器のバグ?」


「あの、私も試してみていいですか?」


 と美琴さんが言うので試してもらったら、ほとんど光らなかったけど、数値は240、131、0だった。

 ちょっとガックリしてる美琴さんだけど、ここしばらく魔素に触れるようなことはなかったんだしと慰めておく。


「あとは智沙さんだけど、今日は休みだしどうしよ?」


「時間あるか電話してみましょうか?」


 うーん、休みの日に呼ぶのはどうなんだろう。智沙さん「休みなんだから休め」って言いそうなタイプだしと思っていたら、部屋の扉がノックされ、


「翔子君、チョコ君、私だ」


 と智沙さんの声が。

 私は「お前だったのか……」っていう返事をグッと堪え、


「はい、どうぞ」


 と返事をした。


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