プロローグ
懲りずに新作。
拙いですが、成長していければなと思っております。
プロローグですが、下ネタ有です。すみません。
宜しくお願いします。
王都からかなり離れた場所にある、とある町の酒場。
酒を呑み、食事をし、その場の陽気にあてられた者たちが騒いでいる。
喧騒が包むその場所の一角の席で、黒髪に一部白のメッシュが入った青年と茶髪の青年が向かい合う様に座っており、茶髪の青年の背後には、銀髪の少女と金髪の少女が立っている。
青年二人は神妙な面持ちで、少女たちは黒髪の青年を睨むように見ており、そのせいか、周囲とは違い、この場だけが重い雰囲気を流している。
「すまない、もう色々限界なんだ。ユウスケのパーティから俺を追放してくれ」
「レオンに抜けられると本当に困るから! パーティ辞めようとしないでッ?!」
重い雰囲気の中、黒髪の青年、レオンが自身のパーティ追放の願いを口にすると、もう一人の青年、ユウスケが机にぶつける様な勢いで頭を下げて、レオンの自身のパーティからの脱退を阻止しようとする。
「ハァ、レオンさん。そもそも何故、パーティから脱退したいのですか? ちゃんとした理由があるのならそれを仰って下さいな」
「アリッサ……。いや、それは、だな……」
頭を下げた状態のままのユウスケ、その姿を見続けるレオンといった何とも言えない状態になるが、金髪の少女、アリッサが睨むのを止め、一つ溜息を吐きつつもレオンを真っ直ぐに見据え、説明を求める。対してレオンは、彼女の視線から逃れるためか、自身の目を泳がせる。そして、何かを思いついたかのように、アッと呟くと泳がせていた目をアリッサと、いつの間にか頭を下げるのを止めていたユウスケに向け……。
「アレだ。パーティとしての資金の出費が、多くなってき――」
「嘘ですわね」
「嘘だな」
「嘘ね」
「――たから……アリッサ、ユウスケ、リオニー。話の途中で、嘘と決めつけないでくれ」
レオンの話を遮った、アリッサとユウスケ、銀髪の少女、リオニーは、呆れたと言わんばかりの表情で、彼を見る。
三人の視線を受け何処か居心地悪そうにレオンは顔を背けるが、そんな彼に対して畳みかけるように三人は口を開く。
「まず、資金の出費云々に関しましては、この2年間。レオンさんが、このパーティに加入してからなんの問題はありませんわ。むしろ、本来の出費額と比べると、素晴らしい程までに抑えられておりますからね」
「パーティを脱退したいっていう何処ぞの馬鹿が、店主たちと色々交渉したりして、値段を小さくしてくれてるおかげね」
「ああ。それと、これから出るであろう理由も先に潰させてもらいますが、斥候の件に関しては現状、レオンさん以外の適任の方はおりませんので。……以前、気配遮断のスキルを持つ冒険者を仮加入させたとき、大変悲惨な事故が起きたのは覚えていますよね? あの時、斥候役はレオンさん以上の実力者でないと加入させないことを、私たち3人で話し合って決めましたので。あと、恐らく実力不足だからとか仰るかもしれませんが……。馬鹿なんですか?」
「皮肉かな?」
「ぶち殺すわよ?」
「……なあ、お前ら。最後の流石に酷くないか?」
途中でリオニーの茶々が入ったものの、アリッサに考えていた脱退理由を潰され、三人の最後に言われた言葉にレオンは項垂れる。
ユウスケはそんなレオンの肩に手を乗せて、真剣な表情で語りかける。アリッサ、リオニーの表情も真剣なものだ。
「……レオンがどうしてパーティを抜けたくなったのかは、分からない。けど、僕たちにとってレオンは大切な仲間だ。キミが不満に思ってることがあるなら、遠慮なく言ってくれ。僕たちはそれを改善するように頑張るし、キミの気持ちを裏切るようなことはしない」
「ユウスケ……」
「ええ、ユウスケさんの言う通りです。貴方は大切な仲間であり、尊敬できる方。そんな貴方をどうして脱退させることができるでしょうか……」
「アリッサ……」
「まあ、アタシ的にはアンタみたいな奴、脱退してくれるんなら有難いけどね。でも、アタシが、このメンバーが、パーティを脱退させることなんて、絶対にないんだからッ!」
「ばばあ……」
「おい、ちょっと待ちなさい。今、なんて、言った?」
三人の言葉を聞き、レオンは顔を上げる。光のない碧い瞳には薄っすらと、涙が浮かんでおり、その表情は喜びに満ちてる。
そして、レオンはゆっくりと立ち上がり……。
「ユウスケ、アリッサ、ばばあ、ありがとう」
「喧嘩売ってんの?!」
三人に感謝を述べたレオンだったが、彼の言葉にキレたリオニーに思いっきり胸倉を掴まれ、困惑する。何故、胸倉を掴まれているのか分からないようだった。
「お、おい。どうして、俺は胸倉を掴まれてるんだ?」
「ハァン? ハァァン? ハァァァァァァン?! 何故ですって?! アタシのことを、ばばあって呼んだでしょうが、糞レオン!」
「いや、事実だろ? 見た目が、13、4、5の少女に見えるが実際は、ばばあだろ?」
「違いますぅ。私はまだ、ピチピチの29歳ですぅ。まだ、20代の女の子ですぅ」
「いや。十分、ばばあだろ」
「あー! 今、全世界の29歳を敵に回しました! てか、女の子に対して、ばばあとか言う男は最低ですぅ」
「ハッ! 女の子? お前が?」
「鼻で笑いやがったわね! 22歳童貞糞野郎レオン。レオン・ドージから、レオン・ドーテーに改名したら?!」
「言っちゃならねぇこと言ったなッ?! マナイタ・ヘクセ!」
「ハイ残念、まな板じゃありませんぅ。ちょっとした膨らみはありますぅ。てか、年齢とか身体的特徴を馬鹿にするのは、セクシャルハラスメントよ。男として、人として最低ね、アンタの聖剣、親指サイズ!」
「実際に見たこともない癖に何言ってんだ?! てか、テメェも言ってんじゃねぇか。リオニー表に出やがれ!」
「ハッ!アンタなんてけちょんけちょんにしてやるわ。レオン・ドージ!」
互いの胸倉を掴みあい、貧乳、親指サイズ、チビ、フツメン野郎など罵声を浴びせ合いながらレオンとリオニーは酒場から出ていく。そんな二人を見ながら、ユウスケとアリッサはニコニコと笑っている。
「いやぁ、いつものことだけど……。二人ともお互い素直になったら良いのにね」
「まあ、お二人ともそれが難しいのでしょう。それに、レオンさんに関しては過去のこともありますから……」
「……そうだったね。ところで、アリッサ。二人を追いかけようか。早く止めないと本気の戦闘になるかもしれない……。そうなると、洒落にならないことになる」
「そうですわね。ところで、リオニーさんが、聖剣親指サイズと言っていましたが、何のことを言っていたのでしょうか? 聖剣を持ってるのは、勇者であるユウスケさんと、もう一人の勇者だけでしょうに」
「あー、うん。そうだね……。と、とりあえず、二人のところに向かおうか!」
「え、あ、はい。分かりました」
自身の質問に、何処か歯切れが悪い返答をしたユウスケにアリッサは首を傾げつつも。ユウスケを追いかけるように、店を出るのだった。
プロローグですが、感想、ご指摘、宜しくお願い致します。