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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

前向きな独白

作者: カオナシ

良いタイトルが思いつきませんでした。

良いタイトル思いついた方は感想欄にお願いします。

 あの日、あの時、拳を振り上げ暴れた人たちはみんなベタついた口を開いてこう言うのさ。


 『俺らは、正しいことをしたつもりだ』とね。


 心底憐れで独りよがり。頭蓋の中にはさぞたくさんのお花が詰まってるんだろうね。まあ、本当に花が詰まってる訳ないけど。


 ん?……だからお前は何を言ってるんだ、だって?ああ、君は解らないよね。ごめんよ。ちゃんと説明しないとね。


 たった、たったの5年前、あと一回月が巡れば冬になる、そんな頃の話さ。


 5年前僕らは高校3年生で、クラスのみんなと同じ屋根の下で学んでいた。


 誰かが考えた些細ないたずらをクラスが手伝う。そうやっていろんなバカやって、その度に皆で校長に叱られてさ、少し子供臭かったけどホントに楽しかったよ。


 でもいつからだろうね、ドンドンいたずらが過激になって行ってさ、僕も含めていろんな人がついて行けなくなって、ついには注意してくれていた校長を退職まで追い込んでさ。あれは酷かったなあ。


 そんで遂に来たあの日、冬も間近なあの日、未だに忘れられないよ。瞼を閉じればじんわりと生暖かい血の赤色が、冷たいレンズの黒色が浮かび上がるよ。


 あの、クラスの中心グループにいた女子だったアイツがさ、自分以外の目立つ女子がよっぽど気に食わなかったんだろうね。


 あいつは一週間くらい学校を休んで、あの日学校に来て泣きながら言ったよ、私は今まで同じグループの他の女の子達にいじめられてたって。その後転校までしてさ。


 あんまりにも演技が上手いからたくさん騙されたよね。まあ冷静に考えればおかしいな、って気付けたけどね。いじめの内容は誰も知らなくて、そんな話みんな初耳で、可笑しいよね。


 噂にすらならない、アイツが告発するまで誰も知らなかった、普通に考えてそんなこと有り得ないよな。


 

 でも馬鹿な人たちはアイツの言葉を信じた。そんで濡れ衣を被せられたあの子達に"いたずら"とやらを始めた。


 運動靴に画鋲、机に落書きそれくらいはかわいい部類さ。ヒドいのなんて机に暴言をわざわざ彫り込んだり、着替えをビリビリにしたりさ、人にして良いことじゃ無いよね。


 僕達が止めようとしたらさ、俺達は正しい!なんてほざいてね。もう頭に血が登ってみんなで殴り合いだよ。最後は流血沙汰まで行ってさ。元は一緒にバカやってたのにな。


 んで、それがダメだったんだろうなぁ。騒ぎがドンドン大きくなって、SNSで拡散されてテレビまで来てね。


 しかもだよ、嘘つきのアイツが勇気ある告発者みたいに喧伝されてさ、正義様曰く濡れ衣被せられたあの子たちは悪で何もかもあの子達のせいだってさ。


 笑えるよね。自分は笑いすぎて仏壇を地面に叩きつけたよ。



 実は濡れ衣を被せられた子達の中に1人。僕が片思いしてた子がいてね。誰にでも優しい、いるだけで場が明るくなる本当に良い子だったよ。


 でもあの日から変わっちゃったよ、いつも塞ぎ込む様になって、だから少しでもあの子が元気になれるようにと落書きを片端から消して、画鋲もとってさ、それでも全部はごまかせなくてさ。



 でも、あの日から何ヶ月もたって"いたずら"が大分落ち着いた時、あの子が前みたいに明るく振る舞ってくれてさ、、、ラインのアドレスまで交換してくれてね。本当に嬉しかったよ。


 でさ、その時何て言ってくれたと思う?


 貴方は私を傷付けない良い人だね。だってさ。


 頭が真っ白になって言葉が出なかったよ。人が人を傷付けないなんて当たり前の事、それを忘れてしまうくらいあの子は傷付けられていたんだよ。


 そんでその後、一ヶ月もしない内に卒業が来てバラバラになってね。しばらくは普通に過ごしていたのさ。

 

 でもある日、僕は嘘つきのアイツとたまたま出会ったのさ、そんであの日の事を聞いてみたんだ。ホントはどうだったのかって。そしたらさ、あんなの真っ赤な嘘だって言ったよ。ザマアミロだって。


 そのあと、片思いしていたあの子にラインで聞いたよ。もしも、もしもアイツが何の罪悪感も抱かずあまつさえザマアミロ何て思っていたらどうする?って聞いた。


 そしたらさ、絶対に許さない。でもそれ以上に直接傷つけて来た人達が許せない。って返答が来たよ。





 だから僕はアイツをこの地下室に閉じ込めてるのさ。


 そしてあの子達を、優しいあの子を傷つけた君達は殺す。


 おいおい、暴れちゃだめだろ。良い子にしなさい。一応猶予は与えたんだから。僕は。


 僕が君を誘拐して、この地下室に連れてきた時聞いただろ?高校生の時のあの事件をどう思うかって。


 実は僕、あの質問みんなにしてるんだ………で、もしごめんなさいとか、申し訳ない、とか素直に謝る人がいたら僕は殺さず開放して警察に自首するつもりなのさ。


 だけど一人もいなかった、みんな自分は悪くないって言う。だからみんな殺して来たんだ。


 でもあれだね。なんの事だ?って言う君の返答は初体験だったよ。

 

 え?殺すのはやり過ぎだって?確かにね。実際自分も最初から殺すつもりでいた訳じゃ無かったんだ。


 いや、本当なんだよ。最初はただあの日のことを聞きに行って、謝罪を引き出してそれで終わりのつもりだったんだ。



 まだアイツを攫ってもいない、昔の頃の話さ。"いたずら"をしていたやつらの中に、不良やってフラフラしてる奴がいてね、どこに居るか噂で聞いていたからソイツのとこにいって例の質問をしたのさ。そしたらお相手さん逆上して殴りかかって来てね、怖かったよ。


 相手は不良、マジで強くてさ。念の為持ってきたダンベルをがむしゃらに振り回したんだよ。そしたら見事クリーンヒット、うっかり殺しちゃったんだよね。


 あの時は本当にパニックでね。自分でも何を思ったかわからないけど、あの子のところに行ってこう話しちゃったんだよ。『君を虐めていた人間を間違って殺しちゃったんだよ!どうしよう!』ってさ。


 そしたらあの子、黙っちゃって。そんで僕が慌てて、『君は無関係だから!』て言って一人自首しに行こうとしたらさぁ、肩にそっと手が置かれて、あの子は薄く頬を染めて僕に『ありがとう』って言ったんだよ。


 あんなキレイな笑顔、初めて見たんだ。僕があの子に見惚れてるとさ、あの子は僕の耳元でこう囁いたんだ。『次は写真もお願いします』ってさ。嘘つきのアイツはどうするの?って聞いたら、『殺しはしないで下さい、でも顔はもう見たくないです』って蒼く透き通る声であの子は答えたんだ。


 僕はあの時から、あの瞬間から、何かが壊れたんだろうね。



 っと、まあ。僕の身の上話はそろそろ置いといて、君の話をしようか。


 実は君が最後の"いたずら"をしていた人間なんだよね。ハハ、そうなんだよ君で13人目。凄いだろ、いや凄くはないか。


 君を殺せば目標は全員始末したことになる。そしたら僕はあの子にプロポーズして、それでもし、あの子がプロポーズを受けてくれたらさ、僕はこの家であの子とアイツ、3人で暮らすことになるんだ。良いだろ。


 見てよほら、プロポーズのために3ヶ月分の給料はたいて買ったサファイアの指輪。君の顔色と同じ青。そして、これが君を殺すためのナタ。これで首をスパンと落とすんだ。最後だからね、ピカピカに研いであるんだ。


 首を狙ってナタを振り上げて……ん?俺が悪かったから許してくれって?

 

 もう遅いよ。サヨウナラ。 

主人公はサイコパスじゃ無いです。後戻り出来なくなった一般人です。

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